2014年3月11日火曜日

「天安門広場の金水橋付近で5日、焼身自殺」:そして武装集団が警官襲撃、全人代期間の警戒中

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レコードチャイナ 配信日時:2014年3月10日 22時18分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=84700&type=0

天安門前で焼身自殺情報、中国当局が認める―米華字メディア


●10日、中国北京市の天安門前で5日白い煙が上がった事件で、北京市は火を消し止めた警官2人を表彰した。当局によると、発生前に「天安門で焼身自殺をする」との情報を得たため、警戒を強化していた。写真は天安門。

 2014年3月10日、米華字ニュースサイト・多維新聞によると、中国北京市の天安門前で5日白い煙が上がった事件で、北京市は火を消し止めた警官2人を表彰した。
 当局によると、発生前に「天安門で焼身自殺をする」との情報を得たため、警戒を強化していた。

 中国人民公安報によると、市当局は「天安門広場の金水橋付近で5日、焼身自殺がある」との情報を確認。
 当日上がった白い煙は
 「40歳前後の女性が着衣に火を付けたもので、警官が駆けつけて消火器で消した」
との情報も出ている。
 この騒ぎを受け、警察は一時現場を封鎖した。

 天安門周辺では最近、男が突然ビラをまき、警戒中の武装警官らに取り押さえられ、連行される事件も発生。
 天安門前では昨年10月、ウイグル族によるとみられる車両突入事件が起きており、現在北京では全国人民代表大会(全人代)が開催されているため、警戒態勢が強化されている。



AFP BBニュース 2014年03月14日 19:56 発信地:北京/中国
http://www.afpbb.com/articles/-/3010349

天安門での焼身自殺伝えた市民サイト、関係者が相次いで拘束


●中国・北京(Beijing)の天安門広場(Tiananmen Square)を行進する保安要員(2014年3月2日撮影、資料写真)。(c)AFP/WANG ZHAO

【3月14日 AFP】
 中国・北京(Beijing)の天安門広場(Tiananmen Square)で女性が焼身自殺したニュースを報じた市民ニュースサイトの運営者ら、少なくとも4人が当局に身柄を拘束された。
 国際人権団体アムネスティ・インターナショナル(Amnesty International)が13日、明らかにした。

 アムネスティによると、四川(Sichuan)省成都(Chengdu)で13日、中国全土のボランティアから寄せられた記事を掲載する市民ニュースサイト「六四天網(64TianWang)」の創設者、黄琦(Huang Qi)氏が警察官11人によって「連れ去られた」という。

 このほかにも先週実施された一連の強制捜索で、少なくとも3人の「六四天網」市民記者が「もめ事を記事に取り上げ、混乱を誘発した」容疑で拘束されたという。

 また目撃者情報として、拘束されたうちの少なくとも2人は、天安門広場で女性が焼身自殺を試みたと外国メディアに語っていたという。
 「六四天網」は、天安門広場から黒煙が上がる写真を掲載した。

 アムネスティ・インターナショナルの中国調査員、ウィリアム・ニー(William Nee)氏は、中国当局が一斉に「六四天網」の関係者への脅し的な警告を開始したようだと述べ、
 「当局は再び、国内における人権に対する議論を締め付ける意志を見せている」
と語った。
(c)AFP




サーチナニュース 2014-03-14 10:13
http://news.searchina.net/id/1526849

武装集団が警官襲撃、全人代期間の警戒中―応戦で1人射殺=中国

広西チワン族自治区公安庁(自治区警察)は13日、同自治区凭祥市で12日午後3時20分、銃や刃物で武装した集団が全国人民代表大会(全人代)会期中の「安全確保路上検査」活動をしていた警官隊を襲撃したと発表した。
 警官隊は応戦し、1人を射殺し1人の身柄を拘束した。
 2人が逃走したという。


●(写真は中国新聞社の13日付報道)

  中国では3月上旬から中旬にかけて、北京市内で国会に相当する全人代と、共産党以外の政治団体を含む各界からの提言を政策に反映させるための中国人民政治協商会議が北京市内で開催される。
 治安維持活動が強化されるのが通例で、今年(2014年)は昆明市内(雲南省)で3月1日に150人以上が死傷する無差別襲撃事件があっただけに、公安当局は厳戒していた。

 凭祥市での襲撃の状況は詳しく伝えられていない。
 同僚の負傷を見た警察官が発砲し、襲撃者1人が死亡。
 警察側は現場で自製のレボルバー短銃1丁、銃弾5発、刀3振りを押収したという。
 負傷した警察官の容体は紹介されていないが、収容された病院を見舞った政府幹部に対し、ベッドに横たわりながらも対応する写真でみるかぎり、意識ははっきりしているようだ。







2014年3月10日月曜日

いよいよはじまったのか、おから工事の悪災が:中国の築15年以上の建造物は要注意になる

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●斜塘大橋


サーチナニュース 2014-03-10 17:49
http://news.searchina.net/id/1526412

上海の斜塘大橋が傾く、崩壊の危険もありで通行止めに

 上海市内を流れる川、斜塘に架けられた松蒸公路・斜塘大橋が10日朝、封鎖された。
 橋面に傾きがあると分かったため、交通警察が同橋を封鎖し、通行を禁止した。
  歩行者の通行も禁止され、利用者は迂回を余儀なくされている。
 交通警察は市民に
 「迂回に協力してください。自分の命をもてあそばないでください。
 くれぐれも、警察の制止を聞かずに強行突破したりしないでください」
と呼びかけている


 いよいよ始まったのか、おから工事の問題発生が。
 急速な経済発展によって強度計算もずさんな建設工事が続いてきた。
 さらには、上層部の汚職ピンハネによっておから工事が当たり前に横行したという。
 通常、新築建造物はメンテナンスなしでも30年は正常に機能する。
 その後はメンテナンスを強化することで寿命をのばすことができる。
 しかし、構造強度計算が不備だったり、おから工事だったりするとその半分くらいで不具合が表面化し、想定外の荷重がかかると一気に崩壊へと進む。
 築15年以上の建造物は要注意になる。


 続報によると、当て逃げのようである。
 話が面白い。
 「大型船が橋に当て逃げした」
 一般の国では考んがえられないが中国では起こるようである。


サーチナニュース 2014-03-11 10:41
http://news.searchina.net/id/1526466

橋傾き「倒壊の恐れ」で封鎖・・・原因は大型船「当て逃げ」=上海

 上海市内を流れる川、斜塘に架けられた松蒸公路・斜塘大橋が10日朝、橋面に傾きがあり倒壊の恐れがあるとして封鎖された件について、橋に異常が発生した原因は船舶の「当て逃げ」だったことが分かった。
 京華時報などが報じた。  
 松蒸公路・斜塘大橋に船舶が衝突したのは9日夜という。
 同船はそのまま逃走した。
 当局が行方を追っている。

 道路行政部門の関係者によると、大型船が同橋の9号橋脚に激突したとみられる。
 猛烈な勢いだったのは確実で、衝突部分のセメントは砕けて飛び散り、内部の鉄筋も破断された。
 橋脚上部にも亀裂が走った。
 衝突の結果、橋の構造全体が重大な損傷を受けたという。
 当局は早急に修理すべく、方策を検討しているという。
 
  中国、特に南部では内陸水系を利用した水運が、重要な運搬手段だ。
 海から離れた西部地区の四川省瀘州市までも通常時、長江を使って3000トンの船舶の航行が可能。
 満水時には7000-8000トンの船舶が通航できる。
 この長江水運を十分に利用するために、瀘州国際コンテナバースが設けられた。  
 内陸水系を利用した水運は、陸運に比べて大量の物資を1度に運べ、道路や鉄道建設に比べればインフラ整備への投入が少なくて済むと言う利点があるが、渇水期には輸送能力が大きく減じるなどの問題がある。

 また、河川を通航する船舶が橋脚などに衝突する事故も、時おり発生している。
  2011年には武漢長江大橋の橋脚に排水量約1万3000トンの原油タンカーが衝突し、逃走する事件が発生した。



サーチナニュース 2014-03-11 11:00
http://news.searchina.net/id/1526467

中国でまた道路陥没事故、巨大穴出現で住民100人が避難=広西

 中国南部、広西チワン族自治区の柳州市で10日夜、集合住宅近くの道路に突然、6―7平方メートルの巨大な穴が開き、一部の住宅に亀裂が入った。
 消防士らが出動し、集合住宅4棟に住む住民約100人が避難した。
 中国では各地で道路の陥没事故が相次いで報じられている。



レコードチャイナ 配信日時:2014年4月4日 21時18分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=86076&type=0

浙江省で5階建てビル倒壊、住民が生き埋めに―中国


●4日、中国浙江省奉化市で5階建てビルが倒壊し、住民とみられる2人が生き埋めになっている。

 2014年4月4日、海外網によると、同日午前8時45分ごろ、中国浙江省奉化市で5階建てビルが倒壊し、住民とみられる2人が生き埋めになっている。

 住民の話によると、同日午前8時20分ごろにビル脇の地上を歩いていたところ、上空から破片が落ちてきたという。
 その5~10分後、ビル全体が倒壊したとみられる。
 救急隊が駆け付け、住民とみられる5人を救出した。

 ビルは1994年に建てられ、20世帯前後が入居していた。
 開発主体は同市の不動産企業で、合わせて40世帯が入居可能なビルだった。
 同市当局が現場検証している。

 1994年で「築20年」となると手抜き工事が行われていると、新築時のマッチングがズレれて崩壊する。
 今後、この手のビルの崩壊は多発することになる。
 おそらく「築30年」となる前にヤバイことが起こる可能性が大きい。
 


すれ違う日米同盟、防衛指針改定で中国めぐり温度差:「オバマの裏切り」で推移する

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●3月10日、自衛隊と米軍の役割分担を定めた防衛協力の指針の改定をめぐり、日米に温度差が生じている。写真は尖閣諸島(中国名:釣魚島)。2012年9月撮影。台湾のCentral News Agency提供(2014年 ロイター)


レコードチャイナ 2014年 03月 10日 10:00 JST
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYEA2900W20140310

焦点:すれ違う日米同盟、防衛指針改定で中国めぐり温度差

[東京/ワシントン 10日 ロイター] -
 自衛隊と米軍の役割分担を定めた防衛協力の指針(ガイドライン)の改定をめぐり、日米に温度差が生じている。

 平時とも有事とも判断がつかない「グレーゾーン」事態への対応が見直しの重要議題という点で両国の意見は一致しているものの、中国に対する抑止、特に尖閣諸島(中国名:釣魚島)を念頭に議論を進めたい日本に対し、米国はもっと幅広いテーマを協議したいと考えている。
 日本政府の関係者や専門家の間では、中国に誤ったメッセージを送りかねないとの懸念が広がっている。

■<中国船が大挙して押し寄せたら>

 2月中旬、日米は外務・防衛当局の審議官級協議を米国で開き、安全保障問題について幅広く話し合った。
 議題の1つは、昨年10月に改定作業に入ることで合意した日米ガイドライン。
 1997年に見直された現在のガイドラインは、武力衝突など有事が発生した場合の日米の役割分担を明確にした。

 今回の見直しの最大の目的は、有事には至っていないが、平時とも言えないグレーゾーンの対応を確立することにある。
 両国は年内にガイドライン見直し作業の完了を目指しており、10日にハワイで開く実務者級の会合でも重要議題のひとつとして話し合う見通しだ。

 「97年のガイドラインは平時か有事か、ゼロか1だった」
と、ワシントンの国防総省の関係者は話す。
 「あまりに柔軟性がなく、日米の動きを硬直化させていた」。

 しかし複数の関係者によると、今回の見直しは、ある部分で日本と米国に意見の隔たりがあるという。
 日本と中国が領有権を主張している尖閣諸島をめぐる対応だ。
 97年は朝鮮半島の有事が懸念事項だったが、現在は東シナ海の離島をめぐって日中の緊張が高まっている。

 中国の漁船や監視船が大挙して尖閣諸島に押し寄せたときに日米はどのような協力ができるのか、漁師に扮(ふん)した人民解放軍の兵士が尖閣諸島を占拠したら両国はどう動くのか──。
 日本側は、武力衝突にまでは発展していないこうした具体的なシナリオをいくつも設定し、机上演習を行って問題点を洗い出し、米国との間で対応策を練りたいと考えている。

 一方、米国は尖閣諸島を念頭に議論することに後ろ向きだと、日本側は感じている。
 「中国、とりわけ尖閣を想定したシナリオを議論したがらない」
と、日本の政府関係者の1人は言う。
 「もっと幅広いことを話し合いたいと言っており、日米間で温度差がある」。

 実際にワシントンの関係者からは、宇宙やサイバー空間といった新たな安全保障の分野も含めた包括的な議論をすべきとの声が聞かれる。
 「朝鮮半島情勢や、世界的な不測の事態にも備えておかなければならない。
 中国についてだけ話していればいいというわけではない」
と、国防総省の関係者は言う。
 「(日本側は)尖閣ばかりに注目するきらいがある」。

 日本側が尖閣にこだわるのは、岩でできたこの無人島に対する米国の態度がはっきりしないためだ。
 米国は尖閣諸島が日本の施政下にあり、日米安全保障条約が適用されるとしている。
 だが、日中どちらが領有権を持つのかについては立場を明確にせず、領土問題から距離を置いている。
 中国に対する抑止力を高めたい日本は米国の関与を模索するが、米側は
 「尖閣をめぐる日中の争いに巻き込まれることを懸念している」
と日本政府の関係者は話す。
 
 オバマ政権は、アジア太平洋地域を重視する姿勢を強調している。
 このほど発表した国防計画でも、米軍全体が規模を縮小する中、アジアに軍事力を重点的に配分する方針は維持した。
 しかしイラク、アフガニスタンでの戦いを経て、米国の国民は戦争に嫌気が差している。

 「ベトナム戦争直後よりも、米国内では外国の問題に関与することを避けるという雰囲気が強い。
 議会には影響するだろう」
と、元外務事務次官で、現在は日本国際問題研究所理事長の野上義二氏は言う。
 「同盟関係が安定して抑止力が効いていれば、巻き込まれないで済むということが(米国内で)理解されにくい」。

■<日米同盟の信頼低下へ>

 米国の姿勢を懸念する声は、日本の制服組の間にも広がっている。
 自衛隊のある幹部はロイターに対し、ガイドライン協議で温度差が生じていることについて「(外部に)漏れ伝わっているのか」と認めた上で、
 「合同演習でも米軍は特定の訓練をやりたがらない」
と打ち明ける。
 尖閣諸島の奪還を想起させるようなシナリオは嫌がるのだという。

 防衛研究所の元研究員で、政策研究大学院大学の道下徳成准教授は
 「中国との衝突に引きずり込まれることを恐れて米国があいまいな態度をとるのは当然だ」
と語る。
 その上で
 「米国がこの問題に関与しないと決めれば日米同盟の信頼性を低下させ、中国がさらに大胆な行動に出る可能性がある」
と語る。

 同時に日本はグレーゾーンに対応するための法制度を整えたり、自衛隊と米軍の連携強化に向けて集団的自衛権の行使容認を決めなくてはならない。
 米側からは、集団的自衛権に関する日本国内の議論が決着していないのに、ガイドラインを協議する意味があるのかとの声も出ているという。

 米国の政治が専門の青山学院大学の中山俊宏教授は
 「(米国にとって)中国は不確定要因なので備えておかねばならないが、敵ではない
と指摘する。
 「ガイドラインの改定は、日本と完全に目的を共有してトントンと進んでいく雰囲気ではない」
と話す。

(久保信博、リンダ・シーグ、スチュワート・フィリップ、竹中清 編集:北松克朗)



中国J-20最新鋭戦闘機は本物か、こけおどしか?:単なるプロパガンダの産物ではなく開発が進展している

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レコードチャイナ 配信日時:2014年3月10日 7時50分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=84611&type=0

中国最新鋭戦闘機は本物か、こけおどしか?
ステルス性能向上へ改良進む―米紙


●6日、ニューヨーク・タイムズ中国語電子版は記事「中国のJ-20ステルス戦闘機のステルス性能はいかほどか?」を掲載した。先日、新たな試作機の写真が流出したが、ステルス性能を高めるための改良が施されている。

 2014年3月6日、ニューヨーク・タイムズ中国語電子版は記事
 「中国のJ-20ステルス戦闘機のステルス性能はいかほどか?」
を掲載した。

 中国人民解放軍は新型ステルス戦闘機J-20の開発を進めている。
 米国のF-22、F-35、ロシアのT-50と同等の第5世代ジェット戦闘機として高いステルス能力を保持することが目標だ。
 だが2011年にお目見えした型番2001の試作機を見る限り、カナード翼やノズルの形状などステルス性能を考慮しているようには見えない。
 専門家からはそのステルス性能に疑問符が打たれている。

 だが今年写真が流出した型番2011の改良型試作機は形状を微調整しステルス性能強化のための仕組みも取り入れている。
 塗装も一変したが、ステルス性能を高めるための電波吸収塗料が採用されている可能性もある。

 まだ開発途上のJ-20。
 米国防総省は早くとも2018年以後の配備になると予想している。
 その性能が果たしてどれほどのものなのかは今後を待たなければわからない。
 ただ唯一明らかになったのは中国のJ-20は単なるプロパガンダの産物ではなく、実際の性能向上を目指した開発が進展しているという点だ。




wikipediaより

J-20は、中国航空工業集団公司が、中国人民解放軍空軍のために試作中の、第5世代双発ステルス機である。

中国語では殲-20(歼-20、ピンイン:Jiān-20)または殲撃20型と呼び、欧米メディアではChengdu J-20とも表記される。
「殲撃」の発音は「チエンチー」に近い。Chengdu(成都)は、テスト飛行場を所有する成都飛機工業公司または所在地の四川省成都が由来。J-20という名称はメディア報道によるもので正式名称はまだ不明である。
1号機と見られる機体の機首に書かれた2001をJ-20の01号機とする解釈には一応の合理性があるが、中国当局は公式に肯定も否定もしていない。開発時のコードネームを「鯤鵬」(こんぽう=伝説上の巨鳥)とする報道もある[2]。

正式な愛称ではないが、J-20を含むJ-XXとして開発された機体のいくつかは、中国の軍事マニアからは「絲帯(絲帶/丝带、リボンの意)」と呼ばれている。
これは第5世代機の中国での呼び方である四代機(四代机)の「四代」と「絲帯」の発音が類似すること(四代はsìdài、絲帯はsīdài)と、これらの機体の胴体が薄く平らな印象を与えることに由来している。

J-20は1990年代にコードネームJ-XXとして開発されたステルス機の1つで、第5世代とされる。#2001および#2002と呼ばれる2つのプロトタイプが2010年末までに製作された[3]。
成都市の成都飛機工業公司テスト飛行場敷地内で飛行を伴わない地上走行が確認されたとされ[4][5]、また、その容姿は2010年年末に非公式の軍事関連のウェブサイトにJ-20のものと思われる画像が掲載されたことで明らかになった[4]。
2011年1月11日に初飛行に成功したと公表された。

中国空軍首脳は2009年時点において、中国初のステルス戦闘機がまもなくテスト飛行の段階に入ると述べており、その8-10年後に配備されるであろうとしていた[4]。

1999年にコソボ紛争で撃墜されたF-117の残骸から得られたステルスの技術情報を転用した可能性があるとする報道もある[6]。

2012年3月11日付英サンデー・タイムズ紙によると、中国のハッカーがBAEシステムズのコンピューターに侵入し、1年半に渡ってF-35に関する情報を盗んでいたと報じた[7]。









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日本企業の中国離れ:ASEANへのシフトを加速:中国に残れるのは大企業のみになる

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●17日、タイの英字紙バンコクポストによると、日本貿易振興機構(ジェトロ)の調査で、タイは政治的混乱があるにもかかわらず、日本企業にとってアセアン地域での最大の投資先であり続けるとの結果が出た。

今の中国に進出できる日本企業は大企業のみになってきている。
 その理由は、資本の凍結をはじめ、デモによる資産の損傷、あるいは政府による資産没収などがあったとき、
 その問題を自力でその問題を解決できるだけの力があるかないか
である。
 中小企業にその力を求めることはムリである。
 今後はさらに当局の締め付けは厳しくなって、独裁化の方向へ動きが反転していくことだろう。
 よって、十分に体力のないものは中国への進出はできない。
 つまり、端的にいうと、中国への中小企業進出はできない、ということである。
 代わって中小企業の問題で浮上したのがASEANである。
 資本力の小さい企業は特に海外に活路を見出したいと願っている。
 また、中国から逃げ出さざるをえなくなった企業にとっては、行く先確保は死活問題になる。
 この穴埋めをすることに」なるのがASEANということになる。


レコードチャイナ 配信日時:2014年3月10日 13時26分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=84672&type=0

「日・ASEAN商談会&交流会」を開催―中小企業基盤整備機構

 2014年3月10日、独立行政法人・中小企業基盤整備機構が企画した「日・ASEAN商談会&交流会」が東京国際フォーラムで開催され、日本の中小企業とASEAN地域の企業経営者との商談や交流が行われた。

 午前中はASEAN統合後に各国で成長が期待できる分野と魅力について、インドネシア共和国協同組合省・イワヤン副大臣、ミャンマー商工会議所連盟・モエ事務総長、タイ工業省 産業振興局のコッブチャイ副局長が登壇し、各国の現状や、海外からの投資の状況、これからの成長戦略について話した。
 
 インドネシア共和国協同組合省・イワヤン副大臣によると、海外からの投資は中国が一番多く、全体の76%に及んでいることで、中国も大きな期待を寄せている事がうかがえる。

 ミャンマー商工会議所連盟・モエ事務総長は、勤労人口が4000万人いること、勤勉で努力を厭わない、学習能力が高い資質を持つ国民性、輸出の事務手続きの簡素化に務めていることを、アピールした。

 タイ工業省 産業振興局のコッブチャイ副局長は、ASEANのHubを目指していきたいと力強く話した。

 主催者側からは、中小企業基盤整備機構・高田坦史理事長や、中小企業庁・横田俊之次長が、挨拶に立った。

 午後から商談会、夜は交流会が催され、積極的な交流が行われる予定。 
 このフォーラムは、12日に大阪のグランフロントでも開催される。



レコードチャイナ 配信日時:2014年3月10日 8時10分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=84610&type=0

帰国しても仕事がない!日本に留学した中国人学生の悩み―日本華字紙


●8日、日本華字紙・中文導報は、日本に留学した中国人留学生の就職難について報じた。かつてはエリートの代名詞だった留学組だが、今では中国に帰国しても仕事を見つけることが難しいという。写真は東京・新橋。

 2014年3月8日、日本華字紙・中文導報は、日本に留学した中国人留学生の就職難について報じた。

 かつて「海亀派」(留学経験者の意、海帰と似た発音)といえばエリートの代名詞。海外での学位、職歴を武器に中国で好待遇の仕事にありつけた。
 だがその状況に変化が生じている。
 最大の要因は中国大学定員の急増だ。
 14年の大学新卒生は727万人。
 「史上最も困難な就活」と呼ばれた昨年よりも35万人も卒業生は増えている。

 加えて留学組も多く、海外経験だけでは好待遇の仕事を得ることは難しい。
 在日中国人の朱さんは02年、日本で修士号を取得。
 当時は引く手あまたで中国国内の大学から教員になってほしいとの引き合いが殺到したが、給料が安いと日本にとどまる道を選んだ。
 経験を積みお金を貯めてから帰国しようとの考えだったが、今では博士号がなければ大学教員は無理。
 完全に状況が変わってしまったと嘆いている。

 また、日本人の海外就職組も中国人留学生のライバルだという。
 かつて日本企業は中国業務向けに求めていた人材には「母国語は中国語」「中国人留学生募集」という条件がついていたが、今では「国籍問わず。日本語と中国語に精通していること」という条件が主流。
 成長が続く中国で働こうと海外就職を目指す日本人も就職のライバルとなってしまった。
 日本外務省の統計によると、中国はすでに日本人在住者数で世界2位。
 12年10月1日時点で約15万人が居住している。



レコードチャイナ 配信日時:2014年3月15日 16時17分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=84837&type=0

タイ東北部と東部で新たに工業団地の開発が認可される、日本からの投資に期待


●10日、タイの英字紙バンコクポストによると、タイ工業団地公社は新たに東北部ウドンタニー県と東部チョンブリー県の2カ所で工業団地の開発を認可した。

 2014年3月10日、タイの英字紙バンコクポストによると、タイ工業団地公社(IEAT)は新たに東北部ウドンタニー県と東部チョンブリー県の2カ所で工業団地の開発を認可した。

 東北部ウドンタニー県で開発する工業団地は2200ライ(3.5平方キロメートル)の土地に約740億バーツ(約2220億円)の投資を期待している。
 ウドンタニー工業都市会社が運営、電機、自動車部品、ゴム産業などを誘致し、1万6900人規模の雇用を見込んでいる。

 ヤマト工業団地は東部のチョンブリー県で690ライ(1.1平方キロメートル)の土地に220億バーツ(約660億円)の投資と5000人の雇用を見込み、アメリカンビルダー社が運営を行う。
 ウドンタニーと同様の産業を誘致する。

 IEAT会長を兼ねる工業省のウィトン事務次官は、これら2つの新工業団地への投資(両団地で約960億バーツ=約2880億円)がタイの経済成長を支えると述べた。
 両社はIEATが定めた基準に基づき、インフラ整備に投資することになる。

 IEATは工業省管轄の公社であり、タイ全国の工業団地の開発と運営を通じて国内産業を発展させることを目的にしている。
 日本は海外からの投資受け入れの41.44%(2009年)を占めており、
 タイへの最大の投資国
となっている。



レコードチャイナ 配信日時:2014年3月22日 19時49分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=85148&type=0

タイは今後も日本企業にとってアセアン地域での最大の投資先―日本貿易振興機構

2014年3月17日、タイの英字紙バンコクポストによると、日本貿易振興機構(ジェトロ)の調査で、タイは政治的混乱があるにもかかわらず、日本企業にとってアセアン地域での最大の投資先であり続けるとの結果が出た。

 タイで長年にわたり事業基盤を築いてきた日本企業にとって、ベトナムやカンボジアに拠点を移すという選択肢は少なく、むしろアセアン地域の本社機能をタイに置くことを考えている企業が増えている。

 2013年11月と12月にバンコク日本人商工会議所の会員412社に実施したアンケート結果から、回答者の60%がタイで会社を運営できるタイ人マネージャーを必要としている、とジェトロ・バンコクの井内所長は述べた。

 過去数年間、熟練労働者の不足が問題となっていたが、最近は管理者の不足が深刻な問題となりつつある。
 優秀な人材の育成が急務となっている。

ベトナム、カンボジア、インドネシア、ミャンマーなど周辺の新興諸国に対する投資を増やすとしても、結局は各国の強みを活かした事業展開をするしかない。
 例えば、自動車メーカーはタイで生産した部品を人件費の安いカンボジアに送り、そこで組み立てを行う。
 その後、タイに送り返し、品質検査を行ない、それぞれの市場に向けて輸出する。

 タイで登記している日本企業約7000社のうちの多くが、タイをアセアン地域の製造拠点と考えている。

 BOI(タイ国投資委員会)の認可を待っているプロジェクトを含め、日本の投資家は政治的混乱が収まるのを待っているが、インラック暫定政権には新委員を任命する権限はなく、多くの事業計画が宙に浮いたままである。



ニューズウイーク 2014年3月25日(火)12時15分
http://www.newsweekjapan.jp/stories/business/2014/03/post-3223.php

中国から東南アジアへ進むマネーシフト
Newsweek [2014年3月18日号掲載]

中国の対外投資拡大もASEAN5の追い風に


●建設ラッシュ 外国投資を引き付けるフィリピン Erik De Castro-Reuters

 アジアにおける外国直接投資(FDI)の流れに変化が生じている。
 13年の外国投資は、インドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイの5カ国向けが初めて中国向けを上回った。
 ASEAN(東南アジア諸国連合)でも特に経済規模の大きい「ASEAN5」と呼ばれる国々だ。
 しかもASEAN5に対する投資のかなりの部分を、今や世界第3位の対外投資国となった中国からの投資が占めている。

 バンクオブアメリカ・メリルリンチ・グローバルリサーチの先週の発表によれば、
★.13年のASEAN5に対する外国投資は1284億ドルと12年の1200億ドルから7%増。
★.一方、中国に対するFDIは1176億ドルで12年の1211億ドルから2・9%減となった。

 昨年の外国投資はマレーシアで19%、インドネシアで17%、シンガポールで5%増。
 タイだけは政情不安が影響して12%減少した。
 フィリピンでは第1〜第3四半期までは188%増と驚異的な伸びを記録。
 第4四半期は11月の台風30号直撃が響いたものの、それでも通年では24%増加した。

■人気の秘密は安い労働力

 実はこれらの数字は意外ではない。
 ここ数年間、投資の流れは中国から東南アジアへシフトする傾向にある。
 中国への投資は11年の1240億ドルをピークに減少に転じ
★.外国企業は生産拠点を中国から本国に戻すか、
★.周辺のマレーシアやタイなどの国々にシフト
している。

 こうしたシフトの大きな理由は、人口構造と賃金の面でASEANのほうが魅力を増していることだ。
 中国では長年の一人っ子政策の影響で急速に高齢化が進んでいるのに対し、ASEANでは若い労働力がはるかに安い賃金で確保できる。

 しかしより大局的な見方をすれば、
 中国がそれだけ豊かさを増しており、外国に投資する段階に入った
ともいえる。

 中国の対外投資は2000年には世界で第32位だったが、中国政府が対外投資拡大を図る「走出去」戦略を打ち出した01年以降、急速に増加している。
 11年には世界第6位となり、12年にはアメリカと日本に次いで第3位(878億ドル)となった。

 香港の対外投資は単独で世界第4位にランクインしており、香港と中国本土を合わせると12年の対外投資は1680億ドルと、日本を抜きアメリカに続く2位になる。

 投資の大半は東南アジア諸国に対する投資だ。
 外国企業と同様、中国企業にとっても東南アジアの若くて安い労働力は魅力を増しており、中国からASEANへの投資は今後数年増加が続きそうだ。

 ASEAN5以外の東南アジアの国々でも中国からの投資は急拡大している。
 ラオスと中国を結ぶ総額70億ドルの高速鉄道プロジェクトは、費用の大部分を中国が負担することになっている。
 ミャンマー(ビルマ)への投資は89〜2012年度の累計が約420億ドルだが、140億ドル超が中国からだ。

 「メイド・イン・チャイナ」があふれる時代は完全に過ぎ去ったらしい。





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 「きっと、上海でもジョブスのような男が生まれるはずだ!」:願望を持つことは大切だ

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レコードチャイナ 配信日時:2014年3月9日 23時5分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=84535&type=0

上海自由貿易区から中国のジョブズは生まれるか?―中国メディア


●5日、中国の李克強首相は全人代第2回会議で政府活動報告を行った際、「中国上海自由貿易試験区」について2回言及した。写真は上海環球金融中心からの風景。

 2014年3月6日、新華社によると、中国の李克強(リー・カーチアン)首相は5日、第12期全国人民代表大会(全人代)第2回会議で政府活動報告を行った際、「中国上海自由貿易試験区」について2回言及した。
 この誕生から半年も経たない「新生児」が中国における改革の全面的な深化のよりどころとなっている。
 同区は中国の改革プロセスにどのような影響をもたらすだろうか。
 同区から「中国のスティーブ・ジョブズ」は生まれるだろうか。

 ある統計によると、昨年9月に同区が開業して以来、区内で毎日約100社の企業が誕生している。
 2013年版の同区の外資系企業投資参入特別管理措置「ネガティブリスト」が優れていたためでもあるが、同区に入居したマイクロソフトやシティバンクといった多国籍大手は、区内での各種制度の変革という新しいチャンスも高く評価する。

 さきに海外の起業家たちが同区で「モニター起業」に参加し、そう遠くない将来に同区で登録企業の仲間入りをする意志を示した。
 「外人さん」たちは、同区で身を起こし、大いに腕を振るおうとしている。

 自由貿易区のプラン設計に携わった全国政治協商会議の王新奎(ワン・シンクイ)委員は次のように解説する。
 自由貿易区の設立は中国の工商登記制度の改革プロセスと密接な関連がある。
 「1元で会社設立」というのは生動的な比喩だ。
 ここには自由貿易区の世界と軌を一にした投資の利便化の実現という発展状況が反映されている。
 区内の工商登録・登記の実施細則は世界の慣例にますます近づいている。

 昨年9月末時点で、同区は登録資本の登記について引受資本を登記する制度を実施すると他に先駆けて宣言。
 法律や行政法規に特別な規定がある場合を除き、一般的には企業の株主、発起人がその引き受けた出資額、出資方式、出資期限などについて自主的に約定を定め、企業の規定に記載するという方法を採るとした。
 これが俗に言う「1元で会社設立」で、理論的には資本金が1元でも会社を設立できるというものだ。

 王委員の分析によると、一連の先進国では「1元で会社設立」というのは抽象的な比喩であり、たとえばスティーブ・ジョブズ氏が友人達と出資し合って設立したアップル社でも、起業の段階で用地や労働力など一定のコストが投入されている。

 工商登録・登記に長らく従事してきたある専門家はさらに次のように説明する。
 仮に上海自由貿易区の中で「中国のジョブズ」が生み出されるとしよう。
 この「ジョブズ」が計画し起業する「アップル」のコストは極限まで切り下げられるものとし、「ジョブズ」は株主の出資比率に応じて約定を定め資本の引き受けを行い、理論的には集める資金には下限がない。
 最終的に自由貿易区で中小企業を開設する場合のコストは、
 関連企業の経営地点の賃貸価格によって決まるのであり、これ以外の資本はほとんど考えなくていいという。

 李総理の政府活動報告では、同区がもつ「複製可能、普及可能」という意義が強調された。
 実際、昨年に同区で登録資本の引受資本登録制度などの改革事業が試験的に行われた後、今年3月1日には国によって登録資本登記制度の改革が全面的に行われた。
 このたびの改革では起業法人の登録資本金の最低額、経営地点に関する制限、年度監査などの規定が全面的に撤廃され、市場主体の参入のハードルが大幅に引き下げられた。
 ここからわかることは、今や一般的な起業家は自由貿易区の内外で、以前よりずっと緩やかな投資環境に囲まれているということだ。

 「外国人が自由貿易区で起業する」という新しい概念に対し、同区は次のように説明する。
 法律や規則に合致した外国籍の個人は、自由貿易区内に有限責任公司を設立することができる。
 これはつまり、
★.中華人民共和国の各種の法律・法規を遵守し、
★.「中国(上海)自由貿易試験区管理規定」に基づき、
★.自由貿易区のネガティブリストに掲載されていない産業分野であれば、
★.外国籍の個人も企業の登録を申請できる
ということだ。

 全国政協の張小済(ジャン・シャオジー)委員(国務院発展研究センター研究員)によると、上海自由貿易区の建設と発展は歴史的な転換という意義をもつ大きな出来事であり、その設立は中国の未来の対外開放において新しい道や新しいモデルを模索する上での重要な方法になるという。

 多くの代表や委員が、遠くない将来、世界各国の「次のジョブズ」を目指す人たちが上海自由貿易区にやってきて、
 この地で「中国のジョブズ」が生まれると予測する。

(提供/人民網日本語版・翻訳/KS・編集/武藤)


 「この地で「中国のジョブズ」が生まれると予測する」人は誰もいない
 ジョブスみたいな気分やの男が、上海みたいな汚染地区にわざわざやってくるだろうか。
 ジョブスみたいなわがままな男が、報道規制のがんじがらめの上海にくるだろうか。
 常識的にみれば、ジョブスは上海では決して生まれない。
 そんなことは中国自身、百も承知である。
 でも願望を持つことは大切だ。
 「きっと、上海でもジョブスのような男が生まれるはずだ!」
 八方塞がりの中国にあって、そういう小さな明かりを灯すことも必要だ。
 暗がりの一本のロウソクがジョブスの比喩なのかもしれない。
 実際、国際資本が静かに中国から動きはじめている今、上海自由貿易区が果たしてどこまでその機能を果たすのであろうか。
 その動きを止めるための上海自由貿易区の設立であるが、どこまで有効に、つまり期待のどの程度の割合で機能するのであろうか。





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2014年3月9日日曜日

ウクライナ問題:注目すべきは中国の出方、軍事技術は吸収し尽くし、兵器開発への影響は限定的

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●3月5日、緊張が続くウクライナ情勢をめぐり各国が異なる反応を示す中、長期的な視点で考えた場合、最も重要となるのは中国の出方だろう。写真は昨年12月、ウクライナのヤヌコビッチ大統領(当時)と握手する習近平国家主席。代表撮影(2014年 ロイター)


ロイター 2014年 03月 7日 12:51 JST
http://jp.reuters.com/article/mostViewedNews/idJPTYEA2603320140307

コラム:ウクライナ問題、注目すべきは中国の出方

[ロンドン 5日 ロイター] - By John Kemp

 緊張が続くウクライナ情勢をめぐり各国が異なる反応を示す中、長期的な視点で考えた場合、最も重要となるのは米国でも欧州連合(EU)でもなく、中国の出方だろう。

 ウクライナ問題に対する中国のこれまでの反応は例によって控えめなものだが、指導部はロシアの介入を静かに支持し、米国やEUによるロシア孤立化の試みには加担しないようにしている。

 中国の人民日報は、欧米諸国はウクライナへの影響力を行使しようとしており、「冷戦時代の思考」にとらわれていると批判した。

 ロシア政府によると、プーチン大統領と中国の習近平国家主席はウクライナ問題をめぐり電話会談を行い、互いの見解が近いことを確認した。

■<欧米への恐れ>

 ロシアと中国の両方にとって最も重要な外交関係は、圧倒的な軍事力と経済力を誇る米国との関係だ。
 影響力の低下は続いているものの、米国は今も、世界中で軍事力を行使できる唯一の国だ。
 金融・経済の最も重要な中心地であり、「ソフトパワー」はどの国よりも強力で、同盟ネットワークは全大陸に広がっている。

 ロシアと中国はいずれも、対米関係は「協調」や「相互利益」と同時に、「対立」と「競争」に特徴づけられる。
 両国とも、米政府や同盟国の意図を懸念する理由がある。

 ロシアが懸念するのは、米国とEUが単一市場と北大西洋条約機構(NATO)を拡大し続け、ロシアが主張する旧ソ連圏での「特権的利益」を認めようとしないことだ。

 中国が指摘した通り、米国と欧州ではエリート層の多くに「ロシア恐怖症」が根強く残っており、それが外交関係をこじらせ、和解よりも対立を後押しする要因になっている。

 一方で中国は、米国と米同盟国による包囲網を警戒している
 。中国指導部は「平和的成長」戦略を進めているが、軍事力と経済力の拡大は米国との対立や競争を引き起こし、中国による領有権主張や防空識別圏設定、海軍の増強、人権問題などをめぐって緊張は高まっている。

 こうした問題で米国は多くの場合、中国と領有権をめぐり対立する日本、韓国、フィリピン、ベトナムなどを暗黙のうちに支持している。

 米太平洋艦隊の情報部門の統括責任者は、最近行われた米海軍の会合で、中国海軍が
 「東シナ海で日本の部隊を壊滅させるための短期集中的な交戦」
に向けて訓練をしているとし、
 「尖閣諸島の奪取を想定しているとしか考えられない」
と指摘した。

 日本は米国にとって、東アジアでの最も重要な同盟国だ。
 両国の間には安全保障条約があり、沖縄には多くの米兵が駐留している。
 日中間で衝突が起きれば、米国の関与は避けられない。

 英フィナンシャル・タイムズによると、同責任者は、中国の海洋進出を「米太平洋艦隊への対抗が主な目的」だと指摘。
 「人民解放軍は海上戦に関する情報を得るために海に出て行こうとしている」
との見方を示した。

 一方、中国には経済面と軍事面で、他にも脆弱性を抱えている。
 インドとの間では、領有権問題や国際影響力をめぐる競争を背景に緊張が続いている。
 中国と米国はいずれも、アジアでの存在感を高めるためインドとの関係改善に努めてきた。

 また中国は、石油・ガスを中東やアフリカ、オーストラリアからの輸入に依存しているが、供給ルートには米海軍がにらみをきかせる海上交通路も含まれ、この点でも戦略的な脆弱性を抱えている。

■<勢力バランス>

 故事によれば「敵の敵は友人」だが、この言葉は政治力学の原理をうまく表している。

 中国とロシアは米国の敵ではないが、間違いなく同盟国ではなく、域内や世界的な影響力の競争でもライバル的な存在だ。
 中国とロシアはいずれも外交面で比較的孤立しており、米国の対抗勢力を演じるには、新たに非公式な同盟関係を築く必要がある。

 中ロ関係は歴史的にこれまで緊張下にあった。
 毛沢東主席とソ連のフルシチョフ第1書記が1950─1960年代に対立し、両国間に冷戦関係が続いたことは有名だ。

 ロシアが共産圏で指導権を握ることを、中国は受け入れてこなかった。
 米国はロシアと中国の対立を促し、中国と国交を樹立し、ソ連の影響力を抑えるために中国の近代化を支援した。

 しかし歴史的にみても、勢力バランスは、互恵関係よりも利害の一致に基づいている。
 頼れる同盟国というのは、必ずしも好意の持てる存在ではない。

 影響力が大きく低下した現在のロシアは、中国にとってもはや脅威的な存在ではない。
 両国の力関係は同等に近い。
 双方ともエネルギー問題や広範な地政学的戦略において、互いにより緊密な関係を構築する理由がある。

 ロシアはガス輸出先をEU以外に拡大する必要があり、中国は安保状況を改善するため、ガス・石油の供給源を多様化させる必要がある。

 ウクライナ危機を受け、EUはロシアへのガス依存低減を加速させる可能性がある。
 ガス供給元としてのロシアの立場は、アジア市場への輸出を拡大できれば強化されるだろう。

 中国は現在、主に海上輸送で石油と液化天然ガス(LNG)を輸入しているが、供給ルートに問題が生じれば大きな影響を受けることになる。
 パイプラインを通じたロシアからの輸入は調達先の多様化につながり、LNG輸出国に対する交渉力も強まるだろう。

 中国とロシアは過去10年間にわたりガス供給をめぐる協議を重ねてきたが、価格面で折り合えていない。
 ただ、昨年末には合意に近づいたとされている。

 ウクライナ問題は、中国とロシアにとってガス取引の価格以上に重要な意味を持つ。両国の間には、欧米諸国によるシリア介入への反対や民主化推進をめぐる強い不信感など、共通点は多く存在する。

 向こう数カ月や数年の間にロシアと中国の協力関係がさらに強化されたとしても、驚くべきことではない。

*筆者はロイターのコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。





●google画像から


ロイター 2014年 03月 6日 19:21 JST
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYEA2508520140306/

クリミア議会、ロシア編入案を全会一致で可決=ロシア通信

[モスクワ 6日 ロイター] -
 クリミア議会は6日、ロシアへの編入案を全会一致で可決した。
 ロシア通信(RIA)が伝えた。
 決定文書は「ロシア連邦に入る」ことで合意が成立したとしている。



ロイター 2014年 03月 7日 14:39 JST
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYEA2604Z20140307?pageNumber=1&rpc=223=obinsite

焦点:プーチン大統領の危険な賭け、西側との対立で不測の事態も

[モスクワ 6日 ロイター] -
 ロシアのプーチン大統領が、クリミア自治共和国議会によるロシアへの編入要請決議に至る動きを裏で操っているのはほぼ間違いない。
 しかしこれで西側諸国と真っ向から対立することになったプーチン氏のやり方はますます危険な賭けの様相を呈し、不測の結果を招く可能性もある。

 プーチン氏は、今回の決議でクリミアの掌握という面ではウクライナに対して優位に立った一方、ウクライナの親欧米の指導者から反感を買う恐れがある。
 これらの指導者は、南部や東部のロシア系住民に対してはこれまで武力行使や緊張を高めるような行為を厳に慎んできたのだ。

 ロシアの政治活動顧問を務めたグレブ・パブロフスキー氏は
 「われわれは非常に危うい地点に位置しており、政治危機が軍事的な事態につながる恐れがある」
と指摘した。

 ウクライナの指導者は、ロシア編入の是非について住民投票を16日に実施すると決めたことなどを含めたクリミア側の一連の動きの背後には、プーチン氏がいると確信。
 トゥルチノフ大統領代行は
 「これは住民投票ではなく、ロシアの軍事力によって仕組まれたウクライナに対する茶番、欺瞞、犯罪だ」
と切り捨てた。

 ただ欧米諸国としては、プーチン氏に対して行ってきた主張がそっくり跳ね返ってきたことになる。
 つまり、ウクライナのヤヌコビッチ前大統領の退陣は国民の意思だから受け入れなければならない、と主張してきた以上、クリミア住民の意思も認める必要が出てくる。

 プーチン氏は6日の安全保障会議では泰然自若とした様子で、ロシアの金融市場の混乱やウクライナがクリミアの住民投票は非合法だと主張していることに無関心であるように見受けられる。

 プーチン氏からすれば、すべてのカードは自分が握っていると考えているようだ。

■<支配強化に向けた演出>

 過去数日間にクリミアの支配強化に向けてロシアが見せた動きは、完璧な振り付けがなされていた。

 ウクライナ南部のロシア系住民を西部の「過激派」から守るという名目で、ロシア議会ではロシア語を話す人々への市民権申請手続きを迅速化する法案が提出された。
 これにより旧ソ連時代の1954年、当時のフルシチョフ書記長がウクライナに渡したクリミアを再びロシアが支配する上でより有利な態勢が整った。

 一方、あるロシアの安全保障関係筋は
 「プーチン氏は、戦争を欲していない。
 彼はそうした決定をした場合に起きるあらゆる問題や生じる影響を十分に承知している。
 だがもし事態が悪化の一途をたどったなら、他にどうしようがあるのか。
 武力行使はほかの手段がすべてつぶされた際にのみ検討されるだろうが、取り得る選択肢の1つではある」
と強調した。

■<危険の大きい戦略>

 ロシア専門家は、たとえ黒海艦隊の基地があるといってもプーチン氏がクリミアを併合したがっているかどうかは疑わしいとの見方をしている。

 もっともプーチン氏は、西側諸国がヤヌコビッチ氏の失脚に至った一連の騒乱を主導してきた武装市民を支持していることへの相応の対抗策として、武力行使をちらつかせる可能性があるというのが専門家の声だ。

 プーチン氏はそれによってあらためて自身の権威を確立するとともに、統一経済圏を形成して少なくとも旧ソ連の版図の一部でも再統合しようという夢を将来につなぐことができる。
 これまでのところは、ロシアによる統一経済圏に向けた完全同盟に加わったのはカザフスタンとベラルーシの2カ国しかない。

 それでもこれは危険の大きい戦略だ。

 米政府は、ウクライナの民主的な枠組みに打撃を与えている同国やロシアの一部当局者へのビザ発給禁止といった制裁を発動する対応を示した。
 米国防総省もポーランドにおける大規模な空軍演習を発表し、これについて駐ポーランド米大使は、ウクライナ危機を受けて関係地域における同盟国を安心させるために規模を拡大したと説明した。

 さらにロシアの資産価格が急落して脆弱な経済を圧迫し、通貨ルーブルの下落で多くのロシア国民が窮迫を感じている。
 格付け会社ムーディーズは、ウクライナ問題はロシアの信用力にマイナスだと表明した。

(Elizabeth Piper記者)



ロイター 2014年 03月 7日 16:19 JST
http://jp.reuters.com/article/mostViewedNews/idJPTYEA2605R20140307

コラム:市場が織り込む「プーチン氏の勝利」=カレツキー氏

[6日 ロイター] -
 作家オスカー・ワイルドは、結婚を「経験に対する期待の勝利」だと表現した。
 対照的に、
 金融や地政学において、経験は常に期待に勝り、
 現実主義が希望的観測を打ち破る。

 ウクライナにおけるロシアと欧米の対立は、この好例だと言える。
 この問題を非常に危険な状態にしているのは、米国と欧州連合(EU)の政策が、期待や希望的観測に基づいているように見えることだ。
 ロシアのプーチン大統領が分別を持つか、少なくともロシアの経済利益や側近の個人的資産への制裁を恐れて思いとどまるという期待。
 そして、「民主主義や自由」は必ずや独裁主義や軍事的威圧に打ち勝つという希望的観測だ。

 投資家や企業には、それほどセンチメンタルになっている余裕はない。
 銀行家ネイサン・ロスチャイルドがワーテルローの戦いの際に言った「銃声が鳴ったら買え」という言葉は決して忘れるべきではないが、
 今週のウクライナ情勢に対する市場の反応は、ロシアの勝利を市場が信じていると仮定した場合にのみ理解できる。

 ウクライナがロシアのクリミア半島併合を黙認せず、反撃に出るとすれば、軍事的手段や少数派ロシア系住民への圧力に訴えることになる。
 ただ、その場合、ユーゴスラビアのような内戦に突入することはほぼ不可避で、ポーランドや北大西洋条約機構(NATO)、そして米国も巻き込まれる可能性が高い。

 西側諸国には、ロシアの軍事介入を認めるか本格的な戦争突入以外に選択肢はない。
 なぜなら、プーチン氏が自発的にクリミア撤退を決めるとは考えられないからだ。
 クリミアを力で奪い、今さらそれを放棄するのは、ほぼ間違いなくプーチン大統領の終わりを意味する。
 クリミアが「もともと」自国の一部で1954年に偶発的にウクライナに移管されたというのは、軍・治安当局は言うまでもなく、ロシア国民のほぼ一致した見解だろう。
 実際に多くのロシア人が、その是非はさておき、ウクライナはロシアに「属している」と思っている。

 こうした状況で、欧米の経済制裁を受けてプーチン氏がクリミアを手放すと考えるのは、全くの希望的観測にすぎない。
 歴史を通して、ロシアは地政学的な目標のために、西側からは想像を絶する経済的苦難を受け入れてきた。
 4日の金融市場では、プーチン氏がモスクワ株式市場の急落を受けて軍事行動を一時停止するとの見方が広がったが、控えめに言っても、そうした考えは認識が甘い。

 実際のところは、プーチン氏はクリミア介入により自らの立場を悪くしたが、
 不器用にも見えるこの作戦は、欧米メディアが冷笑する戦術ミスとは全く違い、
 教科書にも出てくるような、戦略に則った現実的政治の事例だ。

 プーチン氏は、欧米がクリミア占領を認めない場合、戦争しか選択肢がないという「既成事実」を作り出した。
 NATOによるロシアへの軍事攻撃は、ロシアのクリミア撤退と同じぐらい考えにくいことから、プーチン氏が狙うウクライナ国境線の引き直しは現実味を帯びる。

 現段階での唯一の疑問は、ウクライナ政府がクリミアを黙って手放すか、それとも新たな国境内でロシア系住民に報復しようとするかということだ。
 報復に出れば、プーチン氏にクリミア以外のウクライナ侵攻の口実を与え、全面的な内戦に突入するだろう。

 これは投資家にとって、ウクライナ危機がロスチャイルドが言うような買いの機会となるのか、それとも手遅れになる前に株式や他のリスク資産から撤退するのか判断を迫られる問題だ。
 こうした状況では通常、問題は平和的に解決されることが多い。
 つまり、この場合、欧米がロシアのクリミア併合を黙認し、プーチン氏も納得できる新たな挙国一致内閣がキエフで発足するということだ。

 新たな政府は対立解消のために、公用語としてのロシア語の地位を確約し、NATOやEUとウクライナの関係に対してロシアに事実上の拒否権を持たせる必要があるだろう。
 これが最も起こり得るシナリオで、
 ほとんどの投資家や企業が週末までにそうなると推測している。

★. 問題なのは、可能性はかなり少ないものの、もう1つの選択肢であるウクライナ内戦が起きた場合だ。
 もしこれが現実になれば、欧州や世界経済、エネルギー価格、世界の株式市場に与える影響ははるかに大きい。

 金融史で同様の事例を振り返ると、
 地政学上の激しい対立が起きた際、株式投資家は通常、事の結果が判明するはっきりした確証を得るまで待つ。

 例えば、1991年と2003年のイラク戦争では、「銃声が鳴ったら買え」が正解だったが、株価は戦闘の結果がはっきりして初めて上昇した。
 2002年には、戦争の機運が高まる中でS&P500が25%下落。
 状況がはっきり転じたのは米軍がイラク攻撃を開始した2003年3月で、そこから年末までに株価は35%上昇した。

 同じように、1991年には、米国主導の部隊がサダム・フセイン大統領のクウェート侵攻から6カ月後にイラクでの勝利を確実にし、株価は大きく上昇。
 その後4カ月で25%も上げた。

 ウクライナをめぐる対立により近いのは、1962年のキューバ・ミサイル危機かもしれない。
 同年夏、株価は世界的に20%下落。
 ジョン・F・ケネディ米大統領はソ連の指導者フルシチョフに対し、核戦争も辞さないとの態度で交渉し、キューバからミサイルを撤去させた。
 米株市場は1週間のうちに反転し、その後の半年で約30%上昇した。
 しかし、この年の株価反転も、フルシチョフが引き下がり、ケネディが神経戦に勝利したことが確実になってようやく始まったものだ。

 今週の株式市場の動きについて論理的に説明するとすれば、投資家が今、ウクライナで同様の結果を織り込んでいるのだろう。
 ただし、今回の勝者はロシアだ。

*筆者はロイターのコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。
*アナトール・カレツキー氏は受賞歴のあるジャーナリスト兼金融エコノミスト。1976年から英エコノミスト誌、英フィナンシャル・タイムズ紙、英タイムズ紙などで執筆した後、ロイターに所属した。2008年の世界金融危機を経たグローバルな資本主義の変革に関する近著「資本主義4.0」は、BBCの「サミュエル・ジョンソン賞」候補となり、中国語、韓国語、ドイツ語、ポルトガル語に翻訳された。世界の投資機関800社に投資分析を提供する香港のグループ、GaveKalDragonomicsのチーフエコノミストも務める。



「WEDGE Infinity」 2014年03月06日(Thu) 
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/3655?page=1

混迷極めるウクライナ 
「ロシア化」のドミノを恐れる欧米
廣瀬陽子・慶應義塾大学准教授インタビュー

――WEDGE Infinityのコラムでも昨年12月にご寄稿いただいていましたが(『ロシアの圧力でEU加盟見送り 大規模化するウクライナのデモ』)、デモが続いていたウクライナでついに政権崩壊に至りました。
 ヤヌコービッチ前大統領は逃亡し、暫定政権が発足。
 ウクライナ国内の動向やロシアと欧米諸国の動きが連日報道されています。

廣瀬:
 ロシアのプロパガンダ作戦もあり、かなり情報が錯綜しているようです。
 「ウクライナではもうたくさんの難民が出ている」「東部の人々がロシアに助けを求めている」など、眉唾ものの情報も多い印象です。
 確かに東部には親ロシアの人々が多いですが、全員がそうだというわけではありません。
 政府系テレビ「ロシア・トゥデイ」の女性キャスターが「ウクライナ問題のロシアメディア報道は嘘だらけ」「欧米メディアも含め虚報ばかり」と批判したことも話題になっています。

――ウクライナ国民はどのような反応なのでしょうか。
 東西分裂の可能性は?

廣瀬:
 拙稿で触れたように、国民の基本的な志向(主に、東側と南部が親ロシア、西側が親欧米)はあるのですが、今はウクライナという国の一体性を守りたいと考えている人が多いと思われます。

 リボフという最も西欧的だといわれている西部の都市の知識人が、自分たちが大事にしないといけないのは国の一体性であり、
 すべての人の多様性を認めなければいけない、という趣旨の書簡を暫定政府に提出しました。
 これは、ロシア語の使用を希望する東部の人たちの文化も守るべき、ということを意味しています。
 欧米寄りの西部、しかも知識人から、このような発言があることを考えても、ウクライナの人たちは分裂を望んではいないのではないでしょうか。

――注目すべきは、政権崩壊後、すかさずクリミア半島に上陸したロシアの行動ではないでしょうか。

廣瀬:
 最も懸念されるのが、このクリミア地域です。
 1954年、ソ連の共産党第一書記だったニキータ・フルシチョフが、クリミアの帰属をロシア領からウクライナ領に変更しました。
 この理由は、公にはロシアとウクライナの友好のためだとされましたが、フルシチョフが幼少期を過ごしたウクライナにクリミアを与えたかったからだという説もあります。
 ともあれ、クリミアには、長いロシア領の歴史からロシア系の住民が多く、今回もプーチンはこの人たちを守るという錦の御旗を掲げているわけですが、これはまさにグルジア紛争の論理とまったく同じです。
 最悪のケースは、クリミアが南オセチアとアブハジアのような未承認国家になってしまうということです。

 また、クリミア半島のセバストポリに黒海艦隊の不凍軍港があることも、ロシアがクリミアを手放せない大きな理由です。
 ヤヌコービッチ前大統領はロシアのこの軍港の使用を、天然ガス価格の割引と引き換えに、2045年まで延長しましたが、その前のユシチェンコ氏は親欧米派で、黒海艦隊の早期撤退を求め、2017年までと決められていた使用期間を延長しないと主張していました。
 今回また親欧米政権が誕生すれば、同様の事態も考えられます。

 ロシアとウクライナは双子のような関係と言っても過言ではなく、そのウクライナが親欧米化し、NATOやEUに入ってしまうという事態は、ロシアとしては絶対に許せないことなのです。

――ロシア国内の反応はどうでしょうか?

廣瀬:
 冒頭でも触れたように、ロシア・トゥデイのキャスターは、ロシアのメディア批判だけでなく明確に「ロシアがやっていることは間違っている」と非難しましたが、国民の反応は人によって様々、というところでしょう。
 ですが、やはりクリミアに関しては前述のような経緯から「もともとロシア」という感覚をもつ人が多いようです。

 また、今回のロシアの行動は、国内政策の一環としての面もあると思われます。
 ヤヌコービッチ前大統領は問題だらけでしたが、それでも「合法的」な選挙を経て大統領になったというれっきとした正当性がありました。
 他方、暫定政権は議会で必要な信任票を獲得しているので既に合法ではありますが、その暫定政権が生まれるに至ったクーデターは「非合法」的な手段であり、それによって政権が崩壊するということがロシアの隣で起きてしまっては、国内への影響が懸念されます。
 ただでさえ、ソチ五輪を前に政敵・ホドロコフスキーやプッシーライオットなど、政権にとっての危険分子を釈放していたため、見せしめとして、ウクライナに対して強く出ている側面もあるでしょう。

 なお、ウクライナの動向を静観した場合の影響については、国内的な懸念だけではなく、もちろん、国外、特に近隣諸国についても同じく危惧を強めていると思います。
 つまり、ウクライナのような流れが、冷戦末期の東欧革命のドミノのように、旧ソ連の他の諸国に広がることを何としても防ぎたいとも思っているはずです。

――西側諸国は一枚岩となって、ロシアを孤立化させようとしていますが、なかなかうまくいっていないようです。

廣瀬:
 残念ながら腰抜け、という印象を受けます。
 もともとオバマ大統領はこれまでの国内外の政策の失敗でボロボロですし、仮にロシアとウクライナで戦争が勃発したときにNATOも絶対に参戦したくない、というのが本音でしょう。
 コソボ紛争を繰り返したくないわけです。
 コソボはセルビアが相手でしたが、今回は大国・ロシアが相手です。
 NATOはもちろんロシアをずっと仮想敵国と見なしてきましたが、実際に戦争となると恐ろしいことに違いはありません。

 EUの中でも、ドイツはパイプライン問題はじめ、様々な権益からロシアには強く出ませんし、フランスも2011年に締結したミストラル級強襲揚陸艦2隻をロシアに売却する契約の中止は検討していない、としています。
 一方、チェコがプラハの春の再現だと厳しく批判するなど、東欧やバルト三国などの旧社会主義国はロシアに対してもっと強く出るべきだと主張しています。
 そして、アメリカはウクライナに近いだけでなく、反ロ的であるポーランドやバルト三国との軍事協力を強化する方針を発表しました。
 このように、西側諸国の中でこそ、東西分裂が起きてしまっています。

 また、ここにきて欧米がウクライナに対して金銭的な援助をしようとしていることにも注目です。

 以前の拙稿でも触れましたが、ウクライナがEUに加盟しなかったのは、EUとIMFが提示した金融支援の条件が厳しすぎたためです。
 今もデフォルト寸前で、とにかく支援を求めるウクライナは、もうロシアに頼るしかありませんでした。
 ロシアから援助される状況で、EUに加盟できるわけありません。
 しかし、ここにきて米国とIMFや、EUもウクライナに対する支援を表明しています。
 それだけ、「ロシア化のドミノ」を恐れているのでしょう。
 それを示すように、アメリカはウクライナの隣国であるモルドバにも金融支援を表明しています。
 つまりモルドバをしっかり固め、ウクライナのような状況が拡散しないように必死になっているわけです。

 ただし、暫定政権が発足したものの国全体を把握できていない状態で、金融支援が今のウクライナの窮状をどこまで救えるかは分かりません。

――これまでも国際社会ではロシアと足並みを揃えることが多かった中国も、今回は曖昧な態度をとっています。

廣瀬:
 中国はやはりウイグルやチベットなどの少数民族問題を抱えていますので、過去にはコソボの分離独立にも反対しました。
 しかし、グルジア紛争で「パンドラの箱」を開けてしまったロシアほど開き直ることはできません。
 グルジアのときも、中国は、グルジアの少数民族に対する非人道的な対応は批判しましたが、南オセチア・アブハジアの国家承認はしませんでした。
 ウクライナ問題でも、ロシアに対して賛成も批判もせず、曖昧な態度をとっています。

――北方領土問題を抱える日本は、どう対応すべきでしょうか。

廣瀬:
 安倍首相はプーチン大統領と信頼関係を構築しようとしていました。
 一方でもちろん日米同盟もありますし、G7のメンバーでもあるため、当然西側諸国と足並みを揃える必要があります。

 安倍政権になってから、日本は米ロ両方とある程度良い関係が築けていたと思いますので、ここは仲介役になるぐらいの存在感を見せてほしいと思います。
 EUと比べても日本は中立的な立場をとれますので、そこをうまくいかして米ロ両方の信頼を得ることを目指してほしいです。



「WEDGE Infinity」 2014年03月11日(Tue) 
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/3667

中国メディアは何を報じているか
ウクライナ混乱に中国は高みの見物
軍事技術は吸収し尽くし、兵器開発への影響は限定的

 ウクライナで発生した政変の背景にはロシア寄りかEU寄りかという路線の対立があったが、中国の存在も見逃すわけにはいかない。
 昨年12月にヤヌコビッチ大統領(当時)はデモのさなか中国を訪問して80億ドル分の投資を取り付け、中国側は核兵器を放棄したウクライナ側に安全保障も提供すると確約した矢先である。
 当時既に騒乱状態になりつつあったとはいえ、3カ月も経ずに政権が崩壊すると誰が想像できただろうか。

■ウクライナなしではありえなかった、国防技術の発展

 ウクライナの政変について中国国内ではそれほど大きな関心がもたれているようには見えない。
 もちろん日本でも同様だが、日本と異なる面を探せば、それはウクライナとの関係では軍需産業面についての報道がやはり突出して多いことである。
 それは中国とウクライナ間で兵器開発において密接な関係が続いてきたからに他ならない。

 ウクライナは旧ソ連時代から航空宇宙産業の面で世界に冠たるハイテク技術を持っている。
 中国との軍需産業分野の協力については昨年盛んに試験航海を行った空母「遼寧」がウクライナから購入した「ワリヤーグ」を改造したものであったことは記憶に新しいだろう。

 中国ではここのところ軍備拡張が急速に進み、中でも兵器装備が拡充されている。こ
 うした陰にはロシアやウクライナとの兵器売買や技術協力があったのだ。
 中国の国防技術の発展にはウクライナなしではありえなかったという論評もある。

 とはいえ今回の騒乱に対して中国は現在、高みの見物を決めこんでいる。
 そうした様子を窺わせる記事を二つ紹介したい。
 『環球時報』ネット版に掲載されたウクライナの混乱を中国がどう考えているかが窺える
 「ウクライナの政変は中国の軍需産業に脅威となるか」
いう記事。
 そしてもう一つは中国とウクライナの軍需産業における協力関係の変遷を解説する
 「ウクライナがなければ現在の中国国防の成果はなかったと論評」
という記事である。

* * *

■:記事(1)【2014年2月24 日 環球網(抄訳)】

 政局の混乱は、この国の最も重要な産業の一つ、軍産複合体に大きな衝撃をもたらし、中国やロシア、インド、パキスタン等の国との兵器取引に影響を与えるだろうか。
 中国の専門家は、中国とウクライナの間には長期的な戦略上の利益衝突がないため、ウクライナでどの政党が政権を握っても両国の協力関係には大して影響がないだろうとしている。

 中国とウクライナの軍需産業協力は「ワリヤーグ」(空母)が象徴する大型プロジェクトのほか、艦船、戦車、航空機エンジンなどの分野で非常に密接である。
 ウクライナが中国に輸出する軍事技術は約30種類あり、それは航空母艦、大型艦船等の動力系統、大型輸送機の設計から超音速高級訓練機、戦車エンジン、対空ミサイルや高山山地の活動に適したヘリコプターのエンジンにも及ぶ。

 「ウクライナ特殊技術輸出会社」は北京やイスタンブール、バンコクに代表事務所を置いて武器の輸出入貿易を請け負っている。
 2012年の珠海での航空機ショーでは同社のブースは人気を博した。
 同社は中国側と4隻の大型ホバークラフトの契約を結び、1隻目は既に中国側に引き渡された。(残りを中国側に引き渡すべく港で準備が進められているという報道が3月に入ってからあったばかり:筆者)

★★.「ミニロシア」と呼ばれるウクライナの軍需産業

 ウクライナの軍需産業がこれほど発展している理由は、同国がソ連時代の約35%もの軍需産業能力を引き継いだことが大きい。
 大型の高速戦闘機を除けば、大陸間弾道ミサイルさえも含むあらゆる兵器が注文リストに見られ、軍需産業分野での「ミニロシア」と呼ばれるほどだ。

 1991年に独立してから、ウクライナは世界第6位の武器輸出国となり、50あまりの国と取引関係を持っている。
 ウクライナは2013年にはもともと米国から輸入した武器が主であったタイに121輌の装甲車と50輌の戦車を売りつけた。
 1992年から2013年にはウクライナの軍需輸出額は70億ドルを超えたが、パキスタンや中国がその対象国だった。

 ウクライナの政変がもたらす影響について中国社会科学院の姜毅研究員は、『環球時報』紙のインタビューに答え、ウクライナと中国の間には現実的な利益の衝突はなく、長期的利益や戦略的利益面でも衝突はないと述べている。
 いかなる党派が政権を掌握しても経済発展が必要であり、軍需産業はウクライナが国際競争力を持つ分野なので、ウクライナと中国が提携するプロジェクトに大きな影響はないだろうと予想している。


■:記事(2)【2014年1月15日 環球網(抄訳)】

 2012年は中国とウクライナの国交樹立20周年の年だった。
 両国間は既に戦略的パートナーシップを結んでいるが、記念活動は全く盛り上がっていない。
 4月にウクライナの農業大手ULFと中工国際が40億ドル分の協力契約に調印したことと5月に民間航空機用のエンジンについての全面的協力で契約が結ばれたぐらいだ。

 双方はあたかも軍需産業分野の協力を避けているかのようであり、兵器取引には言及されていない。
 実際には中国はウクライナにとって軍事工業での一番の消費国だが、ウクライナ側といえば、中国が同国にとって一番の軍事技術パートナーとなることを期待していたのだ。

 中国はウクライナから欲しい技術は既にほぼ全て手に入れることができた。
 ただウクライナの軍需産業を知り尽くしたとはいえ、個々の技術分野で両国は依然として協力を続けている。

★★.ソ連時代の友好関係が役立った

 中国とウクライナの軍需産業分野での協力はソ連の解体という特殊な時期に始まった。
 当時、独立国家共同体(CIS)のメンバー各国は政情不安で多くの工場が閉鎖され、多くの専門家は失業し、収入が激減した。
 米国、ドイツ、イスラエル、韓国、シンガポールなどの研究機構は専門家をロシアやウクライナに派遣して好条件で人材リクルートを図った。

 中国にとっては(ソ連が崩壊してからも:筆者)ソ連時代の友好関係が役立っており、ソ連に留学経験のある学者が友人に連絡を取ることでトップクラスの専門家たちが中国にやって来るようになった。
 彼らの多くは中ソ友好を重視し、高い経済的要求もせず、技術や材料を惜しげもなく提供した。

 中国政府はソ連の軍需産業に従事した人材をリクルートすべく「二つを受け入れるプロジェクト(双引工程)」を起動させて独立国家共同体の人材と技術の導入に着手した。
 当時の李鵬総理は、わが国にとって(崩壊したソ連からの人材獲得は:筆者)千載一遇のチャンスであり、これを見逃す手はないと指摘している。
 中国は2002年までの10年間にロシアや独立国家共同体から専門家1万人と2000件超の技術を獲得した。

 2008年に北京オリンピックを開催することが決まると契約数も増えた。
 欧米の安全保障専門家の分析によると、このころ「中華イージス」艦の設計に着手した。

 中国のミサイルが赤外線誘導からレーダー誘導まで飛躍したのはウクライナによる支援が欠かせなかった。
 中国はウクライナのレーダーミサイルを改良し、多目標攻撃能力と全天候作成能力を備えた中距離ミサイルを開発した。

 航空業界では2008年に中国航空工業第二集団とアントノフ社が北京に研究開発センターを設立して輸送機の研究開発に着手した。 
 2011年に陳炳徳総参謀長がウクライナを訪問し、軍事技術協力のメモランダムに調印した。

* * *

■【解説】

 ウクライナの騒乱に中国が高みの見物を決めこんでいる原因の一つには誰が政権を取っても欧州とロシアの狭間で微妙な舵取りを求められるウクライナにとって中国が大切であることはどの政権でも変わらないという自信があるようだ。
 そしてもう一つは本記事で紹介したようにウクライナからはある程度の技術はほとんど吸収したので今後の兵器開発には大きな影響がないという安堵ともいえるような感覚があるのかもしれない。

■現状は「様子見」が現実的か

 もちろん中国にとってウクライナとの関係が軍需産業ばかりの側面で語られていいのか、という疑問はあろう。
 「高みの見物」を決め込んでいるのは、ロシアやEU、米国との関係を壊したくないという配慮もあるだろうし、現状では様子見するしかないという現実的考えがあるかもしれない。
 他国への「内政不干渉」原則を掲げている道義的側面もある。

 また中国にとって体制維持が重要であるから、北アフリカ・中東の政変がジャスミン革命と称されて中国への波及の有無が注目された時のようなことは回避して中国に政変が波及することは何としてでも避けるためにロシアと米国、EUがせめぎあうような地域紛争には触れないのが無難だという考えがあるかもしれない。

 天然ガスや小麦やトウモロコシといった穀物取引も現実的問題として存在するが、穀物取引についてはここ数年本格化し始めたばかりで中国の食糧やエネルギー安全保障を揺るがすほどではない。

 ウクライナとの協力関係がどのように推移するか今後、引き続き注目する必要があるが、今月末に予定されている習近平主席による欧州(オランダ、ドイツ、フランス)訪問でも直々に何らかの態度表明がされるかもしれない。

弓野正宏(ゆみの・まさひろ) 早稲田大学現代中国研究所招聘研究員
1972年生まれ。北京大学大学院修士課程修了、中国社会科学院アメリカ研究所博士課程中退、早稲田大学大学院博士後期課程単位取得退学。早稲田大学現代中国研究所助手、同客員講師を経て同招聘研究員。専門は現代中国政治。中国の国防体制を中心とした論文あり。



2014.03.14(金)  Financial Times
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/40176

ウクライナ危機で中国が立場を示さない理由
(2014年3月13日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

 中国の李克強首相が13日に年次記者会見を開く時に、誰もが満足のいくように答える可能性がまずない重要な質問が1つあった。
 ウクライナとクリミアでのロシアの最近の行動について、中国は本当はどう思っているのか、という質問だ。

 中国政府はこの問題で非常に困った状況にある。
 というのも、過去数週間に展開した事態は、権威主義的な指導部が抱く最悪の悪夢をすべて丸めて、大きなまずい餃子にしたようなものだからだ。

 民衆蜂起は中国政府にとって受け入れ難いものだが、それを言えば、他国による主権国家の領土占領も同様だ。
 特に少数民族とその自決権を保護するという名目で占領が行われる時はなおさら
――中国西部地域のテュルク語族のイスラム教徒やチベット人のことを考えてみればいい。

■ミスユニバースのように平和を求める姿勢

 ウクライナの危機に対する中国の反応は、国際関係に関するミスユニバース美人コンテストの考え方に沿っている。
 中国は世界平和を望んでおり、誰もが仲良くできることを期待しているというわけだ。

 ロシア政府、米国政府、外国メディアが紛争の一方につくようどれだけ強く中国に迫ろうとも、
 中国政府がこれまで進んで言うことはせいぜい、すべての当事者は「冷静さを保ち、自制」し、「平和的解決」に至るべきだというものだった。

 一方、中国外相は3月8日に行った初の年次記者会見を、中ロ関係はかつてないほど良好だと宣言する場に選んだ。
 では、ウクライナ危機に対する中国の本当の立場とはどういうものなのだろうか?

 地名を常にきちんと発音できるとは限らないような、世界の遠く離れた場所について自国指導者が詳しく説明することに慣れている西側の多くの人にとっては奇妙に思えるかもしれないが、世界第2位の経済大国で超大国の座を競う最有力候補の中国は、ウクライナや国際報道の見出しを飾る他の多くの問題について特定の立場を持たないのだ。

 政府のある上級戦略アドバイザーは内々の会話で次のように表現していた。
 「ロシアは我々の友人だが、これはロシアによくある攻撃的行動だ。
 我々はこの問題について目立たないようにし、事態がどう展開するか静観するつもりであり、最後には我々はあらゆる国と友人になるだろう」

 これは、むしろルクセンブルクやニュージーランドのような国が紛争に対して取る政策のように見えるかもしれないが、
 中国は、明らかに他国の勢力圏内にある地域で影響力を行使し始める準備がまだ整っていないのだ。

 対照的に自国の周辺地域では、中国は、はっきりとかつての受け身の姿勢から脱皮し、自国の外交政策を「積極的」だと公然と表現している。

 その姿勢は、東シナ海に浮かぶ係争中の島嶼の上空を含む空域に「防空識別圏」を最近宣言したことから、失踪したマレーシア航空MH370便の捜索で海軍による過去最大の救援活動を展開中であることまで、中国が最近行っているあらゆることで明らかだ。

■東アジア以外では高尚な立場

 東アジア以外では、少なくとも自国の利害が直接関与しない時は、国際情勢における中国の立場はいろいろな意味で高尚だ。

 一言で言えば、中国は、不干渉、対話、交渉、紛争の平和的解決、主権と領土の一体性に対する尊重、規模を問わず、あらゆる国の発言権を支持している。

 中国の外交官たちは、かなり合理的に、外国勢力が他国の内部抗争に介入した時は、ほぼ決まって状況を悪化させると主張する。
 ウクライナの場合、中国は、確実に欧州やロシア、さらには米国に比べても、紛争や結果に対して直接的な利害を持たない。

 確かに中国政府は、ウクライナからのホバークラフトの引き渡しを待っているし、中国は時々、自国軍のためにキエフにジェットエンジンを発注したり、ウクライナでいくつか農業プロジェクトに投資したりしている。これらは到底、核心的利益を構成するものではない。

 「世界が中国の考えを聞きたがる場面がどんどん増えている」。
 ある高官は先週、本紙(英フィナンシャル・タイムズ)に対してこう語った。
 「だが、我々の影響力が大きくなるにつれ、我々はどちらか一方の側についたり、強い声明を出すことになおさら気が進まなくなる。
 なぜなら、我々が重要になればなるほど、我々の影響力が事態を複雑にし、悪化させる可能性が大きくなることを理解しているからだ」

By Jamil Anderlini in Beijing
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レコードチャイナ 配信日時:2014年3月15日 12時2分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=84957&type=0

ウクライナ危機で中国が漁夫の利、
棚ぼた式にエネルギー・軍事技術・ロシア市場を獲得―中国メディア

 2014年3月14日、新華網は記事
 「中国がウクライナ危機の勝者にとの指摘=投資の穴埋めてエネルギー技術獲得」
を掲載した。

 ロシア紙ニェザヴィーシマヤ・ガゼータは13日、
 ウクライナ危機の勝者は中国になる
との見方を示した。
 ウクライナのクリミア共和国の住民投票によるロシアへの編入の動きが進んでいるが、実現すれば欧米とロシアの亀裂は決定的なものとなる。
 欧米企業のロシアからの離脱が予想されるが、中国企業が進出する好機だと分析している。
 また、中国はエネルギーを欲しており、ロシアの天然ガスの有力な輸出先となる。

 米誌ナショナル・インタレスト電子版も12日付で「ウクライナ危機の勝者は中国」との記事を配信した。
 シリア情勢しかり、オバマ政権は外交の失敗に苦しめられているが、ウクライナ情勢は米国にとってさらなる打撃になると分析した。

 米国にとって重要なのは中国対策、アジアへの帰還戦略を成功させることだが、ウクライナ危機はその力が削がれることを意味する。 
 クリミアよりもアジア太平洋の方がよほど重要なのにもかかわらず、だ。

 また、ウクライナ危機は中露を急接近させるという問題もある。
 欧米がロシア批判を強める中、中国はやすやすと対ロシア関係の強化に成功。
 軍事技術の供与などの果実を得るだろうと予測している。


レコードチャイナ 配信日時:2014年3月17日 21時46分
https://www.youtube.com/watch?v=yRLiLoYLK90

ウクライナ危機、どんな結論でも勝つのは中国―中国紙

 2014年3月17日、環球時報は、ウクライナ南部クリミア自治共和国のロシアへの編入の是非を問う住民投票など一連の問題で、「どんな結論が出ようと勝つのは中国」と指摘した。

 ロシアによるウクライナへの軍事介入について、中国は今のところ沈黙を守っている。
 専門家は、ロシアがウクライナへの侵入に踏み切れば、北大西洋条約機構(NATO)加盟国は新たな冷戦状態に入り、米国政府のいわゆる「アジア回帰戦略」にダメージを与える可能性があると予測する。

 欧米諸国によるロシアへの経済制裁が弱まれば、中国は独特の影響力と立場を持つことになる。
 なぜなら中国はロシア制裁案に関与しないからだ。
 これにより、ロシアと中国は欧州連合(EU)の提示額より安い価格での天然ガス輸出契約に合意する可能性がある。

 欧州対外関係委員会アジア・中国担当の顧徳明(グー・ダーミン)氏は「仮に西側諸国が制裁に踏み切れば、中国がその立場を取って代わり、現実的な経済利益を得るだろう。
 エネルギー分野におけるロシアの中国依存は進行する」と指摘している。





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