2014年1月23日木曜日

危険な日中の対立―アジアの大国の予測不可能な競争:日中貿易の悪化

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●習近平氏(左)と安倍晋三氏


ウォールストリートジャーナル     2014年 1月 22日 11:03 JST
http://jp.wsj.com/article/SB10001424052702303572904579335450157861992.html?dsk=y

危険な日中の対立―アジアの大国の予測不可能な競争
By     ANDREW BROWNE

 【北京】近代の東アジアの歴史は、中国の衰退と日本の興隆という極めて対照的な命運によって形成されてきた。
 しかし今、双方とも同じような軌道に乗っている。

 それは、世界経済成長の牽引役になったアジア地域にとって良いニュースであるはずだ。
 しかし現実には、それはアジア経済の3分の2を占める日中という2つの大国の間の危険な競争を招いた。

 今日、一連の無人島をめぐって両国が東シナ海上で対峙する中で、歴史家の中には英国とドイツの海軍競争になぞらえる向きすらある。
 それはちょうど1世紀前、世界的な紛争(第1次世界大戦)の契機となった。

 当時、英独は互いの経済が極めて密接に絡んでいるため、両国が戦争に突入することは決してないと考える人々も少なくなかった。
 しかし彼らは間違っていた。

 アジアは今、決して戦争の瀬戸際にはない。
 しかし東シナ海上やその空域では、中国と日本(そして韓国と台湾)の巡視船や戦闘機が危険なまでに接近している。
 そのほか、南シナ海での領有権争いが武力競争のきっかけになっている。
 一方、北朝鮮は米国に対する核攻撃を警告している。

 こうしたあつれきの背後には何が横たわっているだろうか? 
 日本と中国の国力がいずれも強い時代にある中で、東アジア地域の秩序は難題にぶつかっている。
 日中両国がいずれも強いというのは全く新しい現象であり、
 向こう何十年間にもわたって予測不可能な方法で展開する公算が大きい。

 19世紀後半まで、中国がアジアを支配していた。
 その後、日本が近代化に成功し、中国は緩慢な衰退を始めた。

 日中の相対的な強さの逆転は、1930年代に日本が中国に侵攻した時、悲劇的な形を取った。
 最終的には100万人の日本軍が破壊的な占領の中で中国各地を席巻した。

 中国は再び興隆し、今や最高指導者である習近平は自分の祖国の優越性を実現し、戦時中の屈辱を晴らす使命に駆られている。

 一方、中国の復活を眺めて、安倍晋三首相は日本を20年間の停滞から脱却させなければならないと駆り立てられている。

 習氏も安倍氏もトップの座に就任したばかりだが、2人はそれぞれ国内的には前任者たち以上に力を持っている。
 そして双方とも野心的な経済改革のアジェンダ(政策目標)を推進している。

 理論的には、2大経済大国が同時に興隆すれば、互いに恩恵がもたらされ、従って東アジア全域にもそれが広がるはずだ。
 結局のところ、日中両国は極めて相互補完的だからだ。
 日本は圧倒的な工業インフラ、技術の粋、そして金融上の深さがある。
 これに対し中国は低価格品の工業と農産物の大きな源泉だ。

 しかし現実はというと、政治が彼ら2人を引き離している。
 習氏と安倍氏の経済的な野心をかき立てているのはナショナリズムであり、それは力で競われた両国の過去に根付いている。

 東京では、そのダイナミズムは昨年末に行われた2つの対照的な式典の中で鮮明にされた。
 12月30日、安倍氏は東京証券取引所のフロアに立っていた。縦じまの背広を着てピンクのカーネーションを付け、株価指数が過去一年間で57%上昇したことを祝った。
 同氏はその数日前には黒の燕尾服に身を包み、厳粛な表情で靖国神社の神主の後について参拝し、戦没者を慰霊していた。
 同神社には14人のA級戦犯も合祀されている。

 靖国神社参拝は中国の怒りを招いた。
 中国は同神社参拝について日本が戦争を悔い改めないもう一つの証拠だと見なしているからだ。

 次に何が起こるのか?
 将来の形成は、日中両国におけるそれぞれの経済改革の成否も一要素になるだろう。

 安倍氏の計画は危険に満ちている。
 成長拡大のため、安倍氏がこれまで主として通貨切り下げ(円安)と財政支出を打ち出した。
 これを非常に大胆なな金融緩和措置が側面援助している。
 心配なのは、インフレ押し上げ措置の結果、既に高水準に達している日本の政府債務をファイナンスする負担が一層増すことだろう。

 一方、習氏はこれと反対方向にある。
 習氏の目標は中国の成長率を秩序だった形で抑制して、投資を抑え、債務を削減することだ。
 それによって経済を消費主導型の持続的な軌道に乗せたい意向だ。
 一つのリスクは、不動産バブルが急速にしぼみ、中国の躍進を停滞させることだ。

 中国と日本の競争激化がアジアでどのように封じ込められるかは不透明だ。
 アジアではこれまで繁栄が余りに優先されたため、安全保障の構築は二の次にされていた。
 アジアには国家間の紛争を調停するための制度的な取り決めが存在しない。
 日本と中国はホットラインを持たない。
 二国間の首脳会議は少なくとも当分の間、死んだも同然だ。

 これまでのところ、政治的、外交的な緊張はビジネスにそれほど大きな打撃をもたらしていない。
 日中間の緊張が始まった当時、中国は永久磁石のようなハイテク製品に取って不可欠な希土類の対日輸出を禁止した。
 この結果、日本の産業界全体に警戒感が広がった。

 現在、一つ違っていることは、日本企業の幹部が自国の政治家にますます腹を立てていることだ、とゴールドマン・サックス・アジアの元副会長、ケン・カーティス氏は言う。

 同氏は
 「内々では、彼ら日本企業幹部は『わたしは中国人と席に着き、どうすればビジネスができるか話したいのだ』と述べている」
と語った。



レコードチャイナ 配信日時:2014年1月23日 9時9分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=82183&type=0

「日中の経済改革の道は異なり、政治では対立が続く」―米紙


●21日、米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは「日中の経済改革の道は異なり、政治では対立が続く」とする記事を掲載した。

 2014年1月21日、米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは「日中の経済改革の道は異なり、政治では対立が続く」とする記事を掲載した。
 環球時報(電子版)が伝えた。
 以下はその概要。

 中国と日本が上り坂にあることは、世界をけん引するアジアにとって朗報だろう。
 しかし、日中両国は危険な競争に入っている。
 理論的に両国経済の繁栄は相互利益を生み出し、アジア地域も恩恵を受ける。
 日本は優れた工業企業、技術力、金融力を持ち、中国は製造業、農産品輸出の拠点だ。
 しかし、政治的に両国は日ごと疎遠になっている。

 日中関係はどこへ向かうのか? 
 ある程度は両国の経済改革が成功するか否かにかかる。
 「アベノミクス」は円安を呼んで経済を刺激したが、公的債務額は高水準にある。
 中国指導部は消費を刺激し、経済成長を維持しようとしている。
 しかし、債務リスクと不動産バブルが火種になり、経済を停滞に導いている。

 今のところ政治、外交上の緊張はビジネスに大きな影響を与えていない。
 過去と異なるのは、日本の財界トップが政治に対する反感を強めていることだ。
 日本企業関係者は中国側と話し合いたいと考えている。



レコードチャイナ 配信日時:2014年1月23日 7時0分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=82167&type=0

日中貿易は悪化、経済発展の法則が原因=政治による影響は少ないとの見解も―中国メディア


●21日、日中経済技術研究会が主催する日中の経済貿易関係発展と自由貿易圏建設をめぐるシンポジウムが今月18日に北京市で開催された。資料写真。

 2014年1月21日、日中経済技術研究会が主催する日中の経済貿易関係発展と自由貿易圏建設をめぐるシンポジウムが今月18日に北京市で開催された。
 中国物資学院、中国社会科学院(社会科学アカデミー)の世界経済・政治研究所日本研究所、北東アジア開発研究院などの機関から、日中問題の専門家20人あまりが参加し、議論を繰り広げた。
 人民網が伝えた。

 世界経済・政治研究所の倪月菊(ニー・ユエジュー)研究員は「日本の選択 日中韓FTAとTPP」をテーマに発言した。
 それによると、日本は伝統的な経済的利益を考慮すれば、中国、日本、韓国の自由貿易協定(FTA)への参加を選択すると得られる利益は大きくなる。
  一方、伝統的でない利益(日本国内の安全保障戦略、アジアでの主導権争い、国内の利益集団向けの一種の博打行為)を考慮すれば、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)の選択が大きな利益を得ることになるという。

 日本研究所の丁敏(ディン・ミン)研究員によると、2013年の日本経済は円安、株式市場の上昇などが作用して経済が好転したが、日本国内にはなお産業空洞化や構造的な失業の深刻さといった問題が横たわるという。

 新華社の張可喜(ジャン・カーシー)シニア記者は日中韓の経済貿易関係の発展について意見を述べた。
 それによると、最近多くの機関が行った調査の結果、日本企業の対中投資意欲が低下していることがわかった。
 これは主に両国の政治関係の悪化によるものではなく、経済発展の法則によるものだ。
 両国の政治関係の悪化は日本の在中国企業の利益にそれほど大きな影響を与えていないという。

日中経済技術研究会の孫前進(スン・チエンジン)会長(北京物資学院教授)はマクロ物流の観点から、日中経済貿易関係の基本的な情況、天津市と青島市による自由貿易区の申請、山東省の「日中韓地域経済協力モデルパーク」建設、日中韓自由貿易圏の建設見通しなどについて自身の見方を示し、
 「日中両国の経済貿易関係は政治関係の一時的な悪化によって大きな影響を受けることはない。
 どれくらいの影響を受けるかは日中貿易の需要、日本の対中投資の構造、企業の海外直接投資の性質や特徴によって決まる。
 海外投資は企業の長期的な発展における重大な戦略的決定であり、事前に政治的リスクを含む各種のリスクを十分に検討するものであり、軽々しく計画を変更して途中でやめるようなことはあり得ない」
と述べた。

 参加者は日中経済貿易関係、日本の対中投資、自由貿易圏の建設などについて、それぞれの観点や見解を発表した。

(提供/人民網日本語版・翻訳/KS・編集/武藤)


 日中貿易は悪化、経済発展の法則が原因=政治による影響は少ない
と思い込みたい中国の思惑もわかるが、
 政治的にも経済的にも環境的にも
日本は中国から少しづつではあるが確実に離れていっている。
 その分がASEANに回っていることは数字的にも明らかになっているが、中国としてはその事実を認めたくない。
 なぜなら、リレーショナルなゼニゲバ的中国発想では
 「中国という甘くて大きな消費市場を目の前にして、それに食いつかないわけがない」
と思い込んでいるからである
 日本は中国に依存し、中国なしではやっていけないという論理が前面にあって、それ以外は認めたくない心理が働いているということでもある。
 日本がわずかでも中国市場を進んで放棄するわけがないと思い込んでいる。 


レコードチャイナ 配信日時:2014年1月23日 0時26分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=82139&type=0

<日中関係>政治問題が悪化しようとも日本企業の対中投資は続く―中国


●21日、人民網は記事「専門家:日中の経済・貿易関係、政治関係の悪化の影響はあまり大きくない」を掲載した。18日、中日経済技術研究会主催の中日経済関係発展・自由貿易区建設シンポジウムが北京市で開催された。写真は上海の日本料理店。

 2014年1月21日、人民網は記事
 「専門家:日中の経済・貿易関係、政治関係の悪化の影響はあまり大きくない」
を掲載した。
 18日、中日経済技術研究会主催の中日経済関係発展・自由貿易区建設シンポジウムが北京市で開催され、20人以上の日中問題の専門家が参加した。

 新華社の張可喜(ジャン・コーシー)記者は、各種調査で日本企業の対中投資の意欲が下がっていると報じられているが、政治問題の影響というよりも経済問題に起因している、政治問題は中国市場における日本企業の利益に大きな影響はないと指摘した。

 中日経済技術研究会会長、北京物資学院教授の孫前進(スン・チエンジン)氏も日中の経済・貿易関係は一時的な政治問題によって大きな影響を受けることはない。
 経済・貿易関係は貿易需要、日本の対中投資構造、日本企業の対外直接投資の特徴によって決定されるが、各種リスクを勘案した長期戦略によって海外投資は決定されるものであり、そのプランが容易に変更されることはないと指摘した。


 日本が中国から撤退していることを中国が認めれば、日本以外の外資に不安が広がる。
 日本は中国と一戦交えるつもりではないかと勘ぐる。
 とすれば、外資はハイリスクの中国から逃げていく。
 それを阻止するために、「日本企業の対中投資は続いている」と言わざるを得なくなっている。


ロイター 2014年 01月 23日 11:19 JST
http://jp.reuters.com/article/mostViewedNews/idJPTYEA0M00X20140123

コラム:外国企業「中国撤退」の背景


●1月20日、中国からの撤退を決める外国企業が増えているが、最近の撤退は倫理的な理由からではなく、むしろ業績面との関係が深い。

[香港 20日 ロイターBreakingviews] - By Ethan Bilby

 中国からの撤退を決める外国企業が増えている。
 かつては、多国籍企業にとって中国進出は悲願だった。
 しかし、容易な成長が望めなくなった今となっては、「脱中国」は珍しいことではなくなりつつある。
 中国市場への足掛かりを残す企業もあるが、完全に手を引く企業も出ている。

 直近では、ジェネリック医薬品メーカーの米アクタビスが中国事業の1つを売却し、別の事業も売却に向け協議を進めていることを明らかにした。
 ポール・ビサロ最高経営責任者(CEO)はブルームバーグに対し、
 中国は「リスキーすぎる」とし、「ビジネスに優しい環境ではない」
と語った。

 国際進出を目指す企業にとって、中国は無視するのが難しい市場だ。
 米国商工会議所の報告書によると、すでに中国は食料品やスマートフォン、自動車では世界最大の市場で、2015年までには、世界に出回る商品の14%が中国で買われるようになるかもしれない。

 ただ、中国人消費者の好みが多様化するなか、外国企業の撤退も目立ち始めている。
 化粧品メーカーの米レブロンが最近撤退したほか、英スーパーマーケット大手テスコは中国企業との合弁設立により、中国市場での業務展開を実質的に縮小した。

 以前は、外国企業は主に倫理的理由で中国から撤退していた。
 1993年に撤退したジーンズメーカー大手のリーバイスは、現地の人権状況への懸念から契約社員の採用を削減していた。
 米グーグルは検閲をめぐって中国政府と対立し、2010年に撤退を表明した。

 一方、最近の撤退理由は、高尚な主義に基づく判断というより、業績面との関係が深い。

 2012年の中国での売上高が世界全体の2%にとどまったレブロンは、中国事業が期待に沿うものではなかったとしている。
 また、テスコは中国事業の不振が続き、店舗を売却。
 ただ、中国政府系の複合企業である華潤創業(チャイナリソーシズ)と合弁会社設立契約を結び、中国とのつながりは残した。

 それでも、企業が失望感を公にあらわにするのはまれだ。
 ほとんどの企業は、何らかの足掛かりを維持するか、もしくは少なくとも中国に戻るオプションを残している。

 リーバイスは結局、中国での生産を再開し、グーグルは香港に拠点を移してサービスを続けている。
 中国撤退を決める企業がアクタビスで最後になることはないだろう。
 企業にとって重要なことは、どのような形での撤退を選ぶかだ。

*脱字を修正して再送します。

*筆者は「ReutersBreakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。


【劣化する人心と国土】

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