2014年1月25日土曜日

「日本は戻ってきた」:安倍首相の熱意あふれる講演に高評価<ダボス会議>

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●24日、フィナンシャル・タイムズ中国語版は記事「ダボス日記:日中の争い」を掲載した。安倍首相は初日午後の講演という大役を果たしたが、熱意あふれる講演は高評価だったという。写真は22日の講演。

中国政府は各国の駐在大使を総動員して世界中で盛り上げた「反日踏み絵」も、欧米イメデイアに
●.日中間の対立、欧州の目には「まるで子供のけんか」
と揶揄されてしまった。
  安倍さんはダボス会議では
●.安倍首相「日中は大戦前の英独と同じ」、 英紙が指摘「世界の外交界を震え上がらせる発言」
と言われている。
 安倍さんの心づもりは
 「日本はいつでも備えはできていますよ」
という発信であったのだろう。
 対する中国はラッパは大きいが、そこまで腰が座っていないため
 中国外交部は
●.「中国の指導者は忙しい、時間は有効に使う」
として、なんだかよくわからないような理屈をたてて、逃げてしまった。
 日本国内はまるで日中開戦などありえない雰囲気であるが、
 逆に中国では戦争が目前に迫っているような空気が蔓延していて、市民の会話にもそれが頻繁に現れるという。
 それなのに、
 反日開戦で盛り上がる中国が、なぜ黙秘をせねばならないかといういと、
●.日中軍事力比較、「数の中国、質の日本」 「現状では海空ともに日本が優勢」
で、中国としては勝てる見込みがないからである。
 安倍さんから「いつでもどうぞ」と言われても、なかなか「ハイ」とはのれないのである。
 戦争をやるにはあまりにリスクが高すぎるということだ。
 ために民衆から
 「強く抗議」だけする政府、
  「強烈な不満を表明する」だけの当局、
と言われている。
 いかに弱腰といわれようと「口先政府」といわれようと、ここはガマンするしかない。
 なぜなら、
●.中国は武力衝突起きれば「絶対に負けられない」プレッシャー背負う
ことになっており、
 ちょっとでも負けが込むと社会騒乱で共産党政府が瓦解してしまう
可能性が大きいからだ。
 民衆を煽っているのが政府で、
 煽ってはいるが踏み切れないのが政府
というジレンマに陥ってしまっている。 
 「大向う受け」する行動が好きで、メンツ立てで動くため、自らを袋小路に追い込んでしまうというミスを繰り返し犯すという間違いをしてしまう。
 そうでもしないと、政権が保持できないという弱みがある。
 舵取りが難しい。

 なにしろ、英国メデイア(NHKニュース)によれば中国共産党幹部と人民解放軍幹部は
 少なくとも「100兆円」、もしかしたら最大で「400兆円」
という途方も無い資金を海外に隠匿しているという。
★.NHKニュース http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140123/k10014696261000.html
 100兆円とはどれほどの額か。
 日本の国家予算が「103兆円」である。
 少なくとも習近平をトップとする連中は日本の国家予算と同等の資金を間違いなく個人的に秘匿している。
 400兆円ともなれば、日本のGDP(480兆円)にほぼ匹敵、中国GDPの半分に値する。
 まさに共産党幹部と解放軍幹部は下手な戦争をして中国という金づるをパーにするなんてことは絶対にできない。
 「中国」とは彼らにとって金の成る木なのである。
 「負ける戦いはしない」というのが孫子の兵法でもある。 
 なんとか政権にしがみついて、お金を絞りだすというのが彼らの目的でもある。
 下手に日中戦争なんかやって初戦大負けなどくらったら次はない。
 国内が騒乱化して共産党が中国からはじき出されることにもなりかねない。
 ロシアの軍事専門家によれば、日本の2倍ないし3倍の航空機を失えば尖閣諸島は中国が占領できるだろう。
 しかし、その後に日本に奪回されてしまうだろうと予想している。
 中国の今できることは、大音量のラッパを吹きまくることだけのようである。
(注:●.以下はレコードチャイナのニュースタイトル)


レコードチャイナ     2014年1月25日(土) 16時50分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=82319&type=0

<ダボス会議>「日本は戻ってきた」安倍首相の熱意あふれる講演に高評価

2014年1月24日、フィナンシャル・タイムズ中国語版は記事
 「ダボス日記:日中の争い
を掲載した。

 22日(現地時間)、スイス・ダボスで世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)が開幕した。
 数十人もの国家指導者が訪れるだけに、初日午後に講演する指導者は最高待遇の格式で迎えられたと言えよう。
 今年は日本の安倍晋三首相だった。
 経済低迷の影響から過去10年以上もダボス会議で日本の影は薄かったが、アベノミクスで再び世界の注目を集めた。

 安倍首相は30分以上にわたり英語で講演した。
 感情のこもった内容で、東洋の政治指導者の一般的な印象とは異なる。
 東京五輪までの電力業界完全市場化など具体的な改革項目をいくつも列挙していた。
 日本が戻ってきた、日本経済は正常な路線に回帰したとのメッセージが伝えられ、会場でもメディアセンターでも高評価の講演となった。

 この講演では中国については触れないかと思われていたが、安倍首相は名指しこそしなかったものの、暗に中国を批判してみせた。
 むやみな軍拡への反対、国防費の透明化、地域の衝突回避の体制づくりなどがそれだ。



レコードチャイナ 配信日時:2014年1月28日 19時40分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=82473&type=0

<ダボス会議>
積極的に動き回る日本政府高官、中国の抗議を完全にかき消す―中国メディア

 2014年1月27日、スイスのダボスで開催されている世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)を取材中の中国メディア・一財網の記者が、安倍晋三首相をはじめとする
 日本政府高官の外交手腕が「中国より一枚も二枚も上手」
とする手記を掲載した。
 以下はその概要。

 今回のダボス会議は日本人の活躍が目立った。
 日本は25日に和食ビュッフェを各国代表に提供し、大好評を得ている。
 日銀の黒田東彦総裁をインタビューする際、黒田総裁はなんと私のことを覚えていて、自分から私にあいさつし、一緒に写真に収まってくれた。
 もし中国の過激な抗日分子たちがこれを見たら、私を「売国奴」と罵倒(ばとう)することだろう。

 緒方貞子女史(86)は有名な政治学者で、曽祖父は元首相、中国大使だった祖父と父親を持つ。
 緒方女史は中国メディアのインタビューを受けるため、自分から我々にコンタクトをとった。
 安倍首相は英語で演説を行い、黒田日銀総裁は自分から我々に声をかけ、農林水産相も我々のところへやって来て自己紹介した。

 25日はほとんど一日中、会議場のすべてのスクリーンに安倍首相のキャンペーン映像が繰り返し映し出されており、こうした積極的手法により、中国外相の安倍首相に対する抗議の声は完全に消されてしまった。
 会場の中でさえ、中国の声が聞こえないとは信じがたいことだ。
 一方、中国高官たちは国内外のメディアの接触を一切拒否。
 慎重な姿勢を崩さない方針のようだ。

 100年前の日本の首相も今日の安倍首相のように、迅速かつ積極的に当時の内閣を世界の表舞台に引き出した。
 昨日の和食ビュッフェのように、当時の日本は刺身や寿司、日本酒、笑顔のシェフを用意し、大臣や首相は世界だけでなく記者一人一人にも礼儀正しく接したはずだ。
 日本のこうしたすべてのことが、「第1次世界大戦での日本の中国進攻は正しかった」と当時の列強諸国に認めさせたのだ。

 100年後のダボスでも日本が積極的だったのは、やはり遺伝なのだろうか。
 反対に、中国があれほど慎重だったのは、政府の戦略の一つであってほしいものだ。



レコードチャイナ 配信日時:2014年1月26日 2時25分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=82294&type=0

日中間の衝突、世界最大の地縁リスクの1つに―米メディア

 2014年1月22日、米国営ラジオ局ボイス・オブ・アメリカの中国語版ウェブサイトは、日中間の衝突のリスクは14年の世界最大の地縁リスクの1つであると報じた。

 スイスで開催されている世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)の最大のテーマの1つは世界の安全問題だ。
 専門家は日中間のリスクは14年の世界最大の地縁リスクの1つだと指摘している。
●.安倍首相はダボス会議で日中が軍事衝突を避けられるかどうかについて十分な自信があるわけではないと表明した
と記事は指摘している。

 コンサルティング会社ユーラシアグループのイアン・ブレマー社長は「14年に最も深刻な地縁リスクを抱えているのは、イランとサウジアラビア、中国と日本の2つのエリアだ」と指摘した。

 尖閣問題によって過去最悪のレベルにまで冷え込んでいた日中関係は、昨年末の安倍首相の靖国神社参拝によってさらに悪化した。
 復旦大学米国問題研究センターの呉心伯(ウー・シンボー)教授は、安倍首相を予測不能な北朝鮮の指導者・金正恩(キム・ジョンウン)第1書記と同様の「トラブルメーカー」であると認識している。

 日中間で戦争が勃発する可能性については、呉教授は「あり得ない」と否定している。
★.中国は戦争を起こしたいとは思っておらず、
★.日本は戦争を起こそうとはせず、
★.米国は両国の争いに巻き込まれたくない
と考えている。
 そのため、中国と米国の関係が安定している限り、日中情勢は最悪の事態にはならないと指摘した。
 呉教授はまた、
 「米国は靖国参拝と東シナ海問題について自らの立場を表明すべきだ」
と主張した。

 一方、ブレマー社長は米国はそうはしないとみている。
 「中国が靖国参拝問題に関する立場を米国に表明させるという発想は非常に賢明だ。
 しかし、米国がそうすることは、米国と日本の関係にくさびを打ち込むような形になり、米国はそうなることを望んでいない。
 米国の国家利益と必ずしも一致していないからだ」
と分析している。



朝鮮日報 記事入力 : 2014/01/25 11:57
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2014/01/25/2014012500816.html

【コラム】安倍首相の「打つ手」

 スイスの世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)で、安倍晋三首相が朴槿恵(パク・クンヘ)大統領の講演会場に座っている写真を見ると、ある種のペーソス(哀愁)が感じられる。
 「一国の首相がなぜあれほど軽々しく振る舞うのか」
という同情だ。

 北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)第1書記が手を振るとき、私たちは習慣のように不吉さを感じる。
 「口蜜腹剣(口では甘い言葉を言いながら、腹の中は剣があるように陰険・邪悪なこと)」
に対する警戒心だ。
 ならば、安倍首相はどうだろうか。
 トラブルを起こしておきながら愛情を請う悪童に接するときのように、放っておいてもいいのだろうか。

 入江昭ハーバード大学名誉教授は、日本の外交を「無思想の外交」と表現した。
 「良く言えば現実主義、悪く言えば日和見主義」だというのだ。
 こうした現実主義が19世紀末、征韓論を抑えて確立された現実に、私たちは苦々しさを覚える。
 しかも、その現実主義により力を伸ばし、最終的に征韓論を貫徹したことはさらに苦々しい。

 日本の外交の現実主義は、大衆の前で崩れる姿を首相自ら演出する、一種の信念のようなものだ。
 ブッシュ前米大統領の前で「グローリー、グローリー、ハレルヤ」と身ぶり付きで歌った小泉純一郎元首相のパフォーマンスは極端なケースだ。
 安倍首相の振る舞いは小泉氏に比べれば重みがある。

 近代日本の外交原則に「主権線」「利益線」という概念がある。
 主権線は日本本土、利益線は本土の安全を守るため確保しなければならない「味方」の範囲を言う。
 その範囲は時代によって違うが、韓半島(朝鮮半島)は常にその中にあった。
 表立って言わないだけで、日本は今も韓半島の位置をそのように考えているのだ。

 日本は今、韓国が日本の利益線から外れていると思っている。
 もちろん、過去の歴史を覆した日本に大きな責任がある。
 しかし、ゆがんだ歴史観を正すような安倍首相ではない。
 だからと言って、韓半島を諦める日本でもない。
 安倍首相はどのように韓国の離脱を防ごうとしているのだろうか。

 日朝国交正常化の動きはこれまで2度あった。
 どちらも自民党政権が推進した。
 日本の利益線を韓半島全体に拡張しよういう試みだ。
 日朝国交正常化の意義は、国交正常化だけにはとどまらない。
 巨額のカネが付いてくるからだ。
 日本がまだ支払っていない北朝鮮側に対する植民地請求権資金だ。
 14年前の交渉時は50億-100億ドル(現在のレートで約5100億-1兆200億円)との報道があった。
 今話し合うならさらに大きな額になるだろう。

 このカネは、日本が韓半島に対して負った負債だ。
 しかし、誰に返すかは日本の選択にかかっている。
 日朝国交正常化により負債を返済して金正恩政権を引き延ばさせるのか、それとも将来南北統一された後の韓国に借金を返し、韓半島の早期安定に寄与するのか。
 日本は韓国が自国利益線のどの地点にいるかを細かく見極めながら、はかりにかけるだろう。
 日本の選択によって韓国の将来は揺れ動く可能性がある。

 日本の外交が「無思想」で「魂がない」ということは何度も証明されている。
 米ソ対立が激化したとき、火の粉を避けようとしてソ連と国交を結んだのは「親米国」日本だ。
 米国が中国に接近しようとすると、その間に割り込んで中国と先に手を握ったのも日本だ。
 日本は利益のためなら何でもしたし、これからもそうだろう。

 安倍首相の行動を軽々しく考えてはならない。
 内に秘めた「腹剣」を理解し、対応しなければならない。
 日本は今も「打つ手」がある国だ。



JB Press 2014.01.28(火)  The Economist
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/39781

The Economist
日本と中国が繰り広げる消耗戦
(英エコノミスト誌 2014年1月25日号)

 日中間の激しい外交競争は、危険なまでの感情の高ぶりを示している。

 中国と日本の間で繰り広げられている外交の消耗戦は、新たに戦いの火が燃え上がらない日がないほどだ。

 日本は、中国が2013年11月に設定した「防空識別圏(ADIZ)」について、いまだに不満を表明している。
 この領域は東シナ海の一部に及び、日本の支配下にある島々の上空を含んでいる。
 一方、中国は日本の安倍晋三首相が12月26日に靖国神社に参拝したことを非難し続けている。
 靖国神社に祀られている戦死者の中には、A級戦犯が含まれている。

 安倍首相の参拝以降、中国の大使30人以上が世界中の新聞に続々と論文を寄稿し、日本が軍国主義に戻ろうとしているとの非難を展開した。
 日本の外交官も、中国の積極的な軍備増強を批判する寄稿で応酬している。

 どちらの国も、この舌戦に勝っていない。
 1月第4週に入り、戦いは世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)に舞台を移した。
 安倍首相はここで再び中国の軍備増強を批判し、日中の対立を第1次世界大戦前のドイツと英国の関係になぞらえて不安を呼んだ。
 恐らくこれは、不安を利用する戦術なのかもしれない。

 だが、この発言は、外交上の口論がはらむ真のリスクを浮き彫りにしている。 
 こうした諍いは大抵、「面白い」と「恥ずかしい」と「やや不安を抱かせる」のどこかの領域に入ると見られる。
 いわば、夕食会でのちょっとしたもめごとが殴り合いに発展しそうになるのを見ているようなものだ。

 他のほとんどの国には、介入する理由も、どちらかの味方につく理由もない。
 実際、一部の国は他国の忠誠を奪い合う両国の争いに乗じて利益を得ることを期待しているかもしれない。

■国の評判を落とす見苦しい争い

 国際世論の支持を得ようとする日中両国の争いの中で、唯一、明確な勝者を生み出すのが韓国だ。
 中国は先日、1月19日に中国東北部の街ハルビンでオープンした安重根記念館に対する日本からの批判を退けた。
 安はハルビン市内で暗殺を実行した後、1910年に日本によって死刑に処された朝鮮人の国家主義者だ。

 日本が植民地支配していた韓国の統監だった伊藤博文を殺した安を、日本は「テロリスト」と見なしている。
 しかし、中国の報道官は安を「著名な義士」と呼び、即座に話題を安倍首相の靖国神社参拝に切り替えた。
 韓国と中国のつながりは密接になっており、朴槿恵(パク・クネ)大統領は2013年6月に中国を訪問した際、記念碑の建造を求めていた。

 しかし、その他の国々においては、非難の応酬と中傷合戦は両国の評判を落としている。
 中でも最悪なのが、両国の駐英大使による、ハリー・ポッターの物語にかこつけたあてこすりだ。

 まず、中国大使が日本を闇の魔法使い、ヴォルデモート卿に例えた。
 さらに、同大使はJ・K・ローリング氏の大作に関する見事な知識を見せ、靖国神社は「ホークラックス(分霊箱)」だと続けた。
 ホークラックスはヴォルデモート卿が自らの魂の一部を隠した入れ物だ。

 それは違う、と日本大使は反論し、「軍拡競争と緊張激化という悪を解き放った」として、むしろヴォルデモート卿の役回りを演じているのは中国だと主張した。

 同様に見苦しかったのが、安倍首相が年明けにコートジボワールとモザンビーク、エチオピアを歴訪したことを巡る口論だ。
 日本の現職首相がアフリカを訪れたのは8年ぶりで、中国が外交面での支持と天然資源の使用権を勝ち取ったことに対抗する意図があった。
 そのため、安倍首相は気前よく援助を申し出た。

■アフリカ歴訪の安倍首相は「トラブルメーカー」、中国が批判


●中国のAU大使を兼任する解暁岩・駐エチオピア中国大使は安倍首相を「トラブルメーカー」と呼び、戦時中の日本の残虐行為を収めた写真を振りかざした〔AFPBB News〕

 日本の報道官は暗に中国を示唆しつつ、日本の援助は若者や女性を助けるものであり、「素晴らしい邸宅や庁舎」を建てるようなものではないと強調した。

 これに対し、中国のアフリカ連合(AU)大使は安倍首相をアジア最大の「トラブルメーカー」と呼び、日本による戦時中の残虐行為を収めた写真を振りかざした。

 中国は他国の内政への不干渉というお題目を繰り返しているが、
 この内政不干渉はその時々に権力の座にある悪者に中国が与える惜しみない支援の隠れ蓑だとの非難に神経質になっている。

 中国は日本のジャブに対して、それは偽善だと応酬することもできたはずだ。
 何しろ日本もしばしば中国と同じような批判を受けている。
 例えば、欧米諸国がミャンマーの軍事政権との関わりを断った際にも、日本は人道支援を続けていた。

 しかし、中国はかつての戦争に言及する道を選んだ。
 日本は70年にわたって平和を維持しており、戦時中のアジアの記憶はアフリカではほとんど共感を呼ばないにもかかわらず、だ。

■アジアで高まる中国への懸念

 日本による占領を直接経験した国々でさえ、中国のアプローチはあまり効果がないように思える。
 アジア各国は安倍首相の靖国神社参拝に不満を覚えている。
 それでも、安倍首相が計画している防衛費の増額に懸念を抱く国は少ないようだ。

 それどころか、中国の軍備増強と領海紛争に関する強気な主張の方がはるかに問題だとして、日本の姿勢を秘かに歓迎している国がほとんどだ。

 安倍首相は就任1年目に東南アジア諸国連合(ASEAN)の加盟10カ国をすべて訪問するなど、この地域に対するご機嫌取りに余念がなく、靖国神社参拝に対する怒りによってこうした努力が台無しになる可能性は低そうだ。

 一方、中国はこの地域での地歩を失いつつある。
 例えば、ミャンマーは2011年以降、西側への開放政策に転じたが、これには中国への依存を減らす狙いもあった。

 また、カンボジアの実力者、フン・セン首相は長年にわたり中国との友好関係や同国からのひもなし援助を絶賛してきた。
 だが、同首相も今では日本との関係も強化しようとしており、2013年12月には両国の関係を「戦略的パートナーシップ」へと格上げすると発表した。

 一方の中国も、国営の通信社がフン・セン首相に対し、政治改革を推し進めるよう異例の提言をするなど、かつての援助国との新たな距離感を示唆する動きに出ている。

■戦争に言及するな

 ありがたいことに、この対立はまだ第1次世界大戦ではないし、ソビエト連邦と米国の同盟国が互いに対立する陣営に2分された冷戦でさえない。
 各国は中国と日本のどちらかを選ぶ必要はない。
 それどころか、日中両国が抱く互いへの反感が、競争的な援助をかき立てることを期待できるだろう。

 ただし、そうした期待も、対立が紛争に発展する恐れの前ではかすんでしまう。
 この外交を舞台にした「夕食会」では、誰かが実際にパンチを繰り出さないとも限らないのだ。

 中国にとっては、教訓は明白なはずだ。
 歴史を巡る日本との論争で支持を得るには、日本の過去を非難することよりも、自らの現在の行動を抑え、脅威と見なされないようにすることが有効だ。
 例えば、南シナ海では、領有権の主張がさらに激しくなっているとして、
 特にフィリピンとベトナムが中国を非難している。

 安倍首相から見ると違うようだが、日本にとっても、教訓は同じくらい明白なはずだ。
 つまり、靖国神社に参拝することで過去を呼び起こすことで、中国をはじめとする他国に遠い昔の戦争について何度も蒸し返す機会を与えてはならない、ということだ。



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