2014年1月27日月曜日

「中国は黄金の市場」時代が終焉:魅力ある市場だが撤退するリスクもある

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●28日、中国の潜在力を認識する日本企業は、中国における業務を縮小させたり、中国から撤退することはないとみられている。


レコードチャイナ 2014.01.27(月)  The Economist
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/39776

多国籍企業:魅力を失う中国
(英エコノミスト誌 2014年1月25日号)

中国での外国企業の状況は厳しくなりつつある。
踏みとどまりたければ、適応しなければならない。

 米コカ・コーラの最高経営責任者(CEO)を務めた故ロベルト・ゴイズエタ氏によれば、1981年4月15日は「世界の歴史のなかでも、ひときわ重要な日」となった。この日、中国で、共産革命以来初めて建設されたコーラ瓶詰め工場が操業を開始したのだ。

 この発言は大げさだが、全くのでたらめでもない。
 毛沢東の破滅的な政策のせいで、中国経済はずたずたにされていた。
 国民の最高の望みは「回転する4つのもの」、すなわち、自転車、ミシン、扇風機、腕時計を手に入れることだった。
 当時の中国の指導者、鄧小平による外国企業の誘致は、中国を世界最大級かつ最も急成長する市場へと変えていく一連の変革の一環だった。

 過去30年の間、中国には多国籍企業が流れ込んできた。
 金融危機以降は、多くの企業が中国に救いを求めた。
 だが今、ゴールドラッシュが終わりそうな気配を見せている。

■痛みが増し、利益が減る

 中国市場は今でも、いくつかの点では世界で最も魅力のある市場だ。
 中国が世界の個人消費に占める割合は8%ほどにすぎないが、2011~13年には、ほかのどの国よりも消費の成長に貢献した。
 米ゼネラル・モーターズ(GM)や米アップルなどの企業は、中国で膨大な利益を上げている。

 だが、多くの外国企業にとって、状況は厳しくなりつつある。
 その主な原因は、成長が減速する一方、コストが上がっていることだ。
 才能ある若い労働者を見つけるのが難しくなり、賃金も高騰している。

 中国政府は以前から常に、一部の分野の企業に困難を強いてきた。
 例えば外国の銀行や証券会社の市場参入を制限し、米フェイスブックや米ツイッターなどのインターネット企業を締め出してきた。
 だが、そうした厳しい姿勢は、広がりつつあるように見える。

 米シスコシステムズ、米IBM、米クアルコムといったハードウエア企業は、エドワード・スノーデン氏の事件後に生じた逆風に直面している。
 製薬会社の英グラクソ・スミスクライン(GSK)は、汚職捜査で罠にかかった。
 アップルは昨年、保証の不備を巡る屈辱的な謝罪に追い込まれた。
 米スターバックスは、価格を不当につり上げているとして国営メディアに非難されている。

 影響が広範囲に及ぶ消費者権益保護法の改正法が3月に施行されれば、多国籍企業に対する攻撃が激しさを増す可能性がある。
 さらに、役人の浪費に対する中国政府の取り締まりも、贅沢品を売る外国企業を直撃している。

 競争は過熱している。
 中国は以前から、グローバルブランドにとっては世界で最も過酷な戦場だったが、長らく品質で後れを取ってきた国内企業も競争に参入しているのだ。
 その多くはいまや国外で経験を積み、なかには独創的な製品を開発している企業もある。

 北京小米科技(シャオミ)と華為技術(ファーウェイ)は、世界に通用するスマートフォンを開発した。
 三一集団の優れた掘削機は、日立建機や米キャタピラーの高価格製品に戦いを挑んでいる。
 消費者はもはや、外国ブランドという理由だけでは、高額な割増価格を支払わなくなるだろう。

 インターネットに精通し、ブランドに対する忠誠心を持たない中国の消費者は、世界で最も要求の厳しい消費者なのだ。

 中国を離れた企業もある。
 化粧品メーカーの米レブロンは2013年12月、全面撤退を発表した。
 続いて化粧品の世界最大手、仏ロレアルも、中国での主要ブランド「ガルニエ」の販売を打ち切ると発表した。
 家電量販店の米ベストバイ、同分野の競合である独メディア・マルクト、さらにはインターネット大手の米ヤフーも、既に撤退している。
 食品小売の英テスコは、単独での中国進出をあきらめ、中国国有企業との合弁会社の設立に踏み切った。

 中国にとどまっている会社も、一部は苦戦を強いられている。
 IBMは先日、2013年第4四半期の中国での売り上げが23%減少したと発表した。
 酒類大手の仏レミー・コアントローは、中国での販売減少により、2013年第1~第3四半期のコニャック「レミー・マルタン」の販売が30%以上も落ち込んだことを明らかにした。

 ファストフードチェーンの米ヤム・ブランズは2013年9月、同年1月からの中国の既存店売り上げが16%減少したと発表した。
 ヤム・ブランズの苦戦の一因は、同社の鶏肉供給業者が抗生物質を違法に使用したとされる件について、当局の調査を受けたことにもある。

 もはや投資家たちは、中国に多額の投資をする企業を高く評価していない。
 本誌(英エコノミスト)の「中国依存指数」は、中国での売り上げに注目して米国の多国籍企業を評価するものだ。
 中国への依存度が大きい企業は、これまでは他社をしのぐ業績を上げていたが、ここ2年を見ると、株価は比較的低調だ。

 米ゼネラル・エレクトリック(GE)のジェフリー・イメルト会長兼CEOの言葉を借りれば、
 「中国は大きいが、難しい・・・(ほかの)同じくらい大きな国々は、中国ほど難しくはない」。
 中国にとどまりたい企業は、いっそうの努力を必要とするだろう。
 多くは戦略の変更を迫られるはずだ。

■「1つの中国」は終わった

 第1に、コストが上昇しているということは、戦略を成長から生産性向上へと切り替えなければならないことを意味する。
 これは当然の対応と思える。
 しかし中国では昔から、「問題があるなら人を増やせ」というメンタリティが一般的だった。

 コストを管理する1つの方法が、製造だけでなくサービス分野でも、人に代わって労働をこなす技術に投資することだ。
 また、電子商取引やスマートフォンから生まれるビッグデータの波の活用という点でも、多国籍企業はアリババ・グループ(阿里巴巴集団)やテンセント(騰訊控股)といった地元企業に後れを取っている。

 第2に、管理を厳格化する必要もある。
 ロンドンのGSKのトップは、同社の中国での問題は、現地の幹部が「当社のプロセスと管理の枠を外れて」行動したことも一因だったと認めた。
 本社の経営陣は、現地幹部の行動と安全基準を世界のほかの場所と同じ水準に保たなければならない。

 中国の消費者は、欧米の消費者以上にソーシャルメディアの活用に積極的なため、スキャンダルが持ち上がれば、あっというまに国中に広まってしまう。

 最後に、「1つの中国」という方針は、もはや意味をなさない。
 ほとんどの企業が中国事業所を開設したのは、中国経済の規模が2兆ドルに満たなかったころだ。
 経済規模がまもなく当時の5倍になろうとしているにもかかわらず、多くの企業はいまだに上海の拠点から中国事業を経営しようとしている。

 そうした戦略には、ほとんど意味がない。
 食べものやファッションなどの好みが省や都市により異なり、しかも各省や巨大都市は、欧州の各国と同じくらいの人口を抱えているからだ。
 中国国民のうち、約4億人は標準中国語を話さない。
 従って、安全基準や幹部の行動にはCEOがしっかり目を光らせておく必要があるものの、マーケティングや、恐らくは製品開発といった分野はローカライズすべきだろう。

 中国はいまでも実りの多い貴重な市場だ。
 生産性を高め、ガバナンス(統治)を改善し、地域の好みに対応できる企業は、今後も繁栄できるだろう。
 だが、黄金時代はもう終わった。

© 2014 The Economist Newspaper Limited. All rights reserved.
英エコノミスト誌の記事は、JBプレスがライセンス契約 に基づき翻訳したものです。
英語の原文記事はwww.economist.comで読むことができます。



レコードチャイナ 配信日時:2014年1月28日 8時10分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=82378&type=0

「中国は黄金の市場」時代が終焉、中国から撤退する企業も―英紙


●26日、中国は30年にわたって世界中から企業が群がった魅力を失いつつある。写真は上海最大の繁華街・南京路。

 2014年1月26日、環球時報によると、英紙エコノミストは25日、中国は30年にわたって世界中の企業を引きつけてきた魅力を失いつつあると指摘した。
 金融危機以降、多くの企業が中国に期待をかけたが、そうしたブームは過ぎ去ったという。

 世界全体の消費に占める割合は8%だが、中国は現在も魅力ある市場であり、2011~2013年において消費成長に対する貢献度はどの国よりも高かった。
 しかし、中国の経済成長鈍化やコスト上昇、競争激化などから、中国に進出した企業の多くは日増しに厳しい状況に置かれている。

 中国は世界各国ブランドの競争が最も激しい市場となっており、これまで立ち後れていた国内企業も現在はその競争に加わっている。
 多くの中国企業は海外から吸収した経験や自主開発した製品を武器にしており、中国の消費者も海外ブランドにばかり目を向けるわけではなくなっている。

 そうした中、中国から撤退する企業も出てきている。
 コストの上昇によって高い効率が求められるようになり、経営層にはより的確な戦略と安全基準の確保が求められるようになっている。
 中国ではSNSの利用者が多いことから、スキャンダルなど問題が発覚すれば命取りになりやすい。
 また、経済環境の変化や地域に応じた弾力的な経営戦略も不可欠となっている。

 中国は現在も魅力ある市場であり、現状に十分対応できるような企業は利益を上げているものの、
 「黄金時代」はすでに過去のものとなっている。



レコードチャイナ 配信日時:2014年1月30日 0時4分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=82542&type=0

日本企業の中国離れ、「ない」との見通し―中国メディア

2014年1月28日、経済観察網によると、日本国際協力銀行の調査部門の責任者が中国の関係部門に対し、2013年度の海外直接投資に関するアンケート結果について説明した。
 以前は日本製造業の企業は中国を最も潜在力のある投資対象と見ており、中国は最大の投資対象国だったが、2013年調査では4位に後退。
 1位はインドネシアに交代し、2位はインド、3位はタイという結果になった。

 調査によると、第1に労働力コストの上昇、次いで人材の募集と技術力やモラルのある人材を維持するのが難しいことが中国の順位が下がった原因だとされる。
 しかし、日立中国の総代表を務める小久保憲一氏は
 「かつては中国で生産し、海外に販売したが、現在は生産も販売も仕入れも中国で行われる。
 中国の工業生産技術の進歩は多くの部品生産水準を世界最高水準に押し上げ、価格も抑えられている。
 そうした製品を日立の調達システムに取り込めば、生産コストを引き下げ、利益率を高められる」
と話している。

 現在日本企業の多くが中国における経営戦略を見直しており、中国を単なる生産の場から「生産+販売」へと転換させ、中国を販売市場としてより重視するようになりつつある。
 小久保氏は流ちょうな中国語で
 「中国の市場規模とその成長ペースは多国籍企業を今も大きく引きつけている」
と指摘した。
 2013年の中国の国内総生産(GDP)は日本の約2倍で、1年の増加幅はインドネシア1国の年間GDPにも匹敵する。

 そのため、国際協力銀行の調査でインドネシアが日本企業の投資対象国の首位という結果が出たとはいえ、
 中国の潜在力を認識する日本企業が中国における業務を縮小させたり中国から撤退したりする計画はなく、
 実際に中国における業務を縮小あるいは撤退を進めている企業は3.5%に過ぎない。



レコードチャイナ 配信日時:2014年2月1日 8時10分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=82696&type=0

日本企業は中国から撤退しない―中国メディア


●28日、経済観察網は、「日本企業は中国から撤退しない」と題する記事を掲載した。以下はその概要。写真は上海で行われた展覧会での日立ブース。

 2014年1月28日、経済観察網は、
 「日本企業は中国から撤退しない」と題する記事を掲載した。
以下はその概要。

 日本国際協力銀行の調査部門の担当者が中国の関係部門に、2013年度の「海外直接投資に関するアンケート」の結果を説明した。
 今回の調査で明らかとなった重要な要素は、以前、日本メーカーは中国を最大の投資対象国としていたが、今回の調査では4位に後退したことだ。

 調査によると、中国が順位を下げた原因は2つあり、1つは労働力コストの上昇、2つ目は高い技術力とモラルを併せ持つ人材の確保が難しいことだ。
 しかし、物事には表と裏が存在する。「中国市場に対して楽観視している」と語るのは日立中国の総代表を務める小久保憲一氏だ。

 小久保氏は
 「かつて我々は中国で生産したものを海外に販売していたが、現在は生産・販売・仕入れのすべてが中国で行われる。中国の工業生産技術の進歩により、多くの部品の生産レベルが世界最高水準となった。価格も抑えられている。こうした部品を調達すれば、生産コストを引き下げられ、利益率も高められる」
と話す。

 現在、多くの日本企業が中国での経営戦略を見直している。中国を単なる「生産」の場から「生産+販売」へと転換させ、消費市場としての中国により注目している。
 小久保氏は流ちょうな中国語で「中国の市場規模とその成長ペースは多国籍企業を引きつけてやまない」と指摘した。
 2013年の中国の国内総生産(GDP)は日本の約2倍である。

 国際協力銀行の調査では、インドネシアが日本企業の投資対象国の1位となったとはいえ、中国市場の潜在力を認識する日本企業が、中国での業務を縮小させたり、中国から撤退したりする動きは基本的にはない。
 中国における業務を縮小、または中国からの撤退を進めている企業はわずか3.5%に過ぎない。

 労働力コストの上昇は確かに避けて通れない課題だ。
 しかし、「大規模生産と大規模消費が実現できれば、上昇した労働力コストは中国国内で消化できる」と小久保氏は話す。
 また、労働力コストの上昇の裏には労働の質の上昇もある。
 「知名度のある多国籍企業にとっては、人材確保への影響は大きくないだろう」としている。

 2014年以降、中国は日本メーカーの筆頭の投資先ではないかもしれないが、労働力コストが国内で消化できるという前提に立てば、潜在力の計り知れない消費市場を持つ中国は、依然として日本に抗いようのない魅力を与え続けるだろう。



【劣化する人心と国土】

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