2014年1月19日日曜日

JAXAと日本企業が「宇宙ゴミ」掃除に挑戦:

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●毎日新聞より


サーチナニュース 2014-1-19 20:00
http://news.searchina.net/id/1521450

JAXAと日本企業が「宇宙ゴミ」の除去に挑戦=香港

 日本宇宙航空研究開発機構(JAXA)と日東製網は2月下旬を目処にスペースデブリ(宇宙ゴミ)の除去に向けた実験を実施する。
 サウスチャイナ・モーニング・ポストが伝えた。

 地球の周囲には約1億個ものスペースデブリが存在すると推計されている。
 スペースデブリとは、役割を終えた衛星やロケット、放出された部品、破砕した破片などで、地表から高度約700―1000キロメートルにその多くが存在し、地上から観測可能な約10センチメートル以上のスペースデブリだけでも約2万2000個に達すると言われる。
 ネジのような小さな物であっても、衛星や宇宙ステーションなどにぶつかれば大惨事を招く危険性がある。

 JAXAと日東製網は2月下旬に打ち上げ予定の人工衛星から宇宙空間に約300メートルにわたってアルミ製の網状ワイヤを展開、ワイヤで磁場を発生させる。
 理論上は磁場によってスペースデブリを吸引し、大気圏に向けて落とすことで燃え尽きるという。

 日東製網はサウスチャイナ・モーニング・ポストの取材に対し、網状ワイヤの開発は約5年前から開始していたことを明かした。
 日東製網によれば、網状ワイヤは頑丈さと柔軟さを兼ね備えた3本の金属繊維でできており、すでに全長1キロメートルの網状ワイヤも製造できているという。

 JAXAは将来的に宇宙船に網状ワイヤを搭載し、ロケットのエンジンや衛星などといった大きなスペースデブリの除去に取り組む計画だ。



毎日新聞 2014年01月09日 12時19分(最終更新 01月09日 16時08分)
http://mainichi.jp/select/news/20140109k0000e040164000c.html

宇宙ゴミ:漁網で除去へ 町工場とJAXA協力

 人工衛星やロケットの残骸など、宇宙空間を漂う無数のデブリ(宇宙ごみ)を取り除くための実験が2014年早々、宇宙空間で本格的に始まる。
 高速で飛ぶデブリに網状のアルミ製ワイヤを接続して発生する磁力で減速させて大気圏に落とす。
 デブリ除去のためのワイヤを宇宙空間で展開するのは世界初の試み。
 その最先端技術を支えているのは中小規模の町工場の力だ。

 2004年4月、広島県福山市を本拠とする「日東製網」(本社・東京)に宇宙航空研究開発機構(JAXA)から問い合わせがあった。
 「金属のひもで網が編めますか?」。
 質問したJAXAの河本聡美・主任研究員は
 「メーカーに片っ端から協力を依頼して何度も断られた。
 わらをもつかむ思いだった」
と振り返る。
 漁網が主力製品の同社の技術者らは、不思議に思いながらも引き受けることにした。

 上空700〜1000キロに集中しているデブリは過去に打ち上げた人工衛星やロケットの部品が大半で、超高速のため宇宙船にぶつかれば大事故になる。
 全体の数は1億個以上。
 危険な10センチ以上のデブリ約2万2000個は動向が把握されているが、年々増える小さな破片は既に対策が不可能な量という。
 09年に起きた米国とロシアの衛星衝突事故以降は特に増加ペースが加速しているが、人工衛星による回収実績はこれまでわずか数個にとどまっている。

 JAXAが研究しているのは、大きめのデブリに長さ数キロの網状のワイヤを取り付けて磁場を発生させ、1年ほどかけて移動速度を下げることで地球に落とすという方法だ。
 大半のデブリは大気圏での摩擦熱で燃え尽きるとみられ、最もコストのかからない除去方法と考えられている。
 河本さんはワイヤの強度確保のため、幅10センチほどの網型にすることにしたという。

 日東製網の技術者・尾崎浩司さんは
 「引き受けてから10年、商売にならなくてもものづくりのプライドだけで続けました」
と話す。
 材料に提供された太さ0.1ミリのアルミ線は折れやすいため編むのが難しく、100メートルの発注に1メートルしかできなかった時もあった。
 だが漁網で培ったノウハウで機械の改造を繰り返し、07年にはJAXAと連名で特許も取得。
 09年には漁網用を改造したデブリ除去ワイヤ専用機を完成させた。

 2014年3月までに打ち上げ予定の三菱重工のロケットに搭載される香川大学の人工衛星が、初めて長さ300メートルの網状のワイヤを宇宙空間で展開し磁場を発生させる実験に挑む。
 同大工学部の能見公博准教授は
 「日本は宇宙での実験がまだ進んでいない。
 伸ばしたワイヤに磁場を発生させるのはどの国もまだ成功しておらず、デブリ除去に使えるという証明になる」
と説明する。
 JAXAは15年には長さ数キロのワイヤを使い本格的なデブリ除去実験を始める計画で、19年の実用化を目指す。
 河本さんは
 「町工場のものづくりは日本の力。
 手遅れになる前にここまでこられたのは、民間の技術力のおかげ」
と感謝する。
 水産学の学位を持つ尾崎さんは
 「海の研究をする僕らの工場が宇宙に関わるなんて想像もしなかった。
 何とか実験が成功してくれれば肩の荷が下りる」
と空を見上げている。




【劣化する人心と国土】


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