2014年1月12日日曜日

中国海軍は現代版「万里の長城」:規模にこだわる軍拡が国家崩壊への道を加速

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●『日中海戦はあるか』(夏川和也監修、きずな出版、税抜き2800円)


JB Press 2014.01.12(日)
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/39653

海上自衛隊と米軍の「えじき」を量産する中国海軍
中途半端な軍拡が国家崩壊への道を加速させる

 先週、2013年を振り返り読者ランキングを調べていたら、尖閣諸島を巡る日中の軍事的対立に関する記事が圧倒的に多かったことに驚かされた。
 恐らく読者の方々も同じ感想だったと思う。
 「尖閣諸島の問題が国民の間で風化し始めている」と警鐘を鳴らす軍事専門家は多いが、実際には熱しやすく冷めやすい国民性は、こと尖閣諸島問題に関する限り“汚名返上”されているようである。

■元海将たちが著した『日中海戦はあるか』

 そんなことを思っていたら、机の上に1冊の本がまだ一度も開かれずに置かれているのに気づいた。
 『日中海戦はあるか』(きずな出版、税抜き2800円)というドキリとする題名の本である。

 副題には「拡大する中国の海洋進出と、日本の対応」とある。
 出版されたのは2013年10月15日となっていた。

 何で今まで開きもしなかったのだろうと思ったが、そんな詮索はやめることにして読み始めた。

 するとこれが面白い。
 どんどん引き込まれて一気に読み終えてしまった。

 専門書に近いと思うが、文章が平易で専門的なところには分かりやすい例えが必ずと言っていいほど引かれているので専門知識がなくても読みやすい。

 今回はこの本を紹介ししようと思う。
 筆者・監修者は実はJBpressにも寄稿してもらったことがある 
 夏川和也さん、岡俊彦さん、保井信治さん
である。

 3人とも海上自衛隊の元海将であり、夏川さんは海上幕僚長を務めたあと第22代統合幕僚会議議長に就任した。
 海の防衛に関するプロ中のプロの人たちと言える。

 「日中海戦はあるか」と題名で問われた本の内容は、
 結論から言うと海上自衛隊と中国海軍の彼我の差は依然大きく、
 単純に
 軍事バランスから考えれば中国は日本に侵攻することはできない
というもの。

 ただし、中国を侮ったり対応を間違えたりすればその限りではなく、日本の隙を見つけて必ず行動に移してくるという警鐘も忘れていない。

 この本の面白さは、
 巨額の軍事費を投じて大軍拡を進めている中国が、
 歴史は繰り返すの諺どおり、
 技術力の高さより量や大きさを重視する“伝統”が、
 結局は砂上の楼閣に近いものを作り上げているということを、詳しい技術的な解説で証明してくれていることだろう。

 まさに日清戦争の前に、中国が巨大な空母「定遠」と「鎮遠」をドイツに発注した時のようなことが現代の中国でも行われているという。

■現代版の「万里の長城」を築き始めた中国

 本書では次のように書かれている。

 「弾みのついた海軍大拡張近代化計画は、原子力空母の建設まで止めようがあるまい。
 (中略)中国が原子力空母を含む有力な空母部隊を複数個編成するためには、それだけの予算を長期間投入し続けなければならない

 「しかし、費用対効果、すなわち、本当に役に立つのかという観点から、現代版『万里の長城』になりはしないかと他人事ながら心配になる

 航空母艦を持つということは、それ自体で大きな軍事的誇示になる。
 ウクライナが所有していた旧ソ連時代の空母「ワリャーグ」を中国がスクラップ名義で購入したのが1998年だった。
 その購入経緯を見ても中国が空母をいかに欲しがっているかが分かる。

 当初は船上カジノを作るという触れ込みでマカオの民間企業に購入させた。
 ウクライナの港から中国へワリャーグを回航するためには、ボスポラス海峡やダーダネルス海峡を通過させなければならないが、空母の海峡通過を禁じたモントルー条約に抵触する危険性がある。

 そこでカジノ船という名目で中国まで回航させたのだ。
 しかし、トルコ政府はワリャーグの海峡通過に難色を示し、中国がトルコに中国人観光客を送り込むことを約束して何とかトルコ政府の首を縦に振らせたという経緯がある。

 そしてワリャーグを購入したマカオの民間企業は船が大連港に回航されたあとは行方知れずとなっているという。

 スクラップの身だったワリャーグは改修されて2012年9月、中国初の航空母艦「遼寧」として蘇った。
 そしてその2カ月後には中国の国産ジェット戦闘機「J-15」による発着艦に成功したことが国営テレビを通じて世界に向けて放映された。

 このようにあの手この手の策を弄してスクラップの空母を手に入れ、世界に喧伝する姿から見えてくるのは海軍力を誇示したい中国らしさである。
 面子を何より重んじてきた歴史がその背景にあるのだろう。

 一方、対照的なのは日本である。
 護衛艦「ひゅうが」は世界の軍事専門家からは空母として認識されているが、
 日本は空母ではないと主張する。
 軍事的な威圧を周辺国にかけないための配慮と言える。

■規模にこだわる中国軍拡の陥穽

 威を張りたい中国と、周辺国に配慮を欠かさない日本の違いが見事に表れている。
 これは単なる意識の差でしかないと言えるかもしれないが、中国海軍と海上自衛隊の戦力を比べたとき、実際には目に見えない大きな差となって表れている可能性がある。

 『日中海戦はあるか』では、装備面、技術面などで中国海軍と海上自衛隊を徹底的に比較しており、
 最近の中国の軍拡によって、装備量では中国に圧倒的な差をつけられるようになってきていることがよく分かる。

 しかし、軍備の拡大を急ぐあまり、装備が「張子の虎」のようになっている面があるとこの本は指摘する。
 その事例がいくつも紹介されているが、日本と中国で使われている船舶用エンジンとソナーの差の関係はその典型例と言えるだろう。

 「海上自衛隊はほとんどすべての主力艦がオールガスタービン艦であるのに対して、
 中国海軍にはオールガスタービン艦は1隻もない

 「ディーゼル艦のみ、ディーゼルとガスタービンの併用もしくは、蒸気タービン推進の3タイプである

 「通常型潜水艦がディーゼル機関(特別無音潜行中は蓄電池を用いる電気推進)、
 原子力潜水艦が基本的に原子力で発生させた熱を利用する蒸気タービン機関
であることは、中国水上艦が発生する音と基本的に同じであり、
 パッシブ的には自分で自らの対潜捜索を妨害することを意味している

 「また併用型がディーゼルの併用をやめてガスタービンだけにしても、僚艦がディーゼルを使用すればおなじことだ。
 逆に速力が落ちる分魚雷を回避できる確率が減る」

 非常に簡単に言ってしまうと、中国海軍は湯水のようにお金を使って原子力潜水艦や空母を作っているが、
 万が一軍事衝突が起きた場合、
 それらはすべて日本の海上自衛隊や米軍の格好の標的となってしまう
ということである。

 潜水艦や護衛艦を探知するためのソナーの能力やレーダーの能力も圧倒的に差があり、
その差は縮まるどころか広がっている。
 つまり、
 中国は沈められるための艦船をせっせと量産していることになるわけだ。

 世界の海軍の歴史を振り返っても、
 いま中国が進めているような“中途半端な軍拡”は、
 巨大な資金をどぶに捨てることになるだけでなく、国家そのものの存在も脅かす。
 英国に敗れたオランダ、スペインがまさにそれを物語っているとこの本は言う。

 東京大学の伊東乾准教授によると、国家の平均寿命は人間の一生よりも短いという(「データが明かす、意外に短い国家の寿命」)。
 軍拡に走る中国は自ら崩壊への道を加速させているのかもしれない。

 だとすれば、今のところ中国の海洋進出に過敏になる必要はないというのがこの本の結論であることは最初に書いた。
 しかし、同時に、日本にも例えば法制面などの問題が山積している点は早急に改善しないと、別の意味で中国にしてやられる危険性があることもこの本は指摘している。

 かつて東京の品川港にこれ見よがしに寄港した中国の巨大空母「定遠」と「鎮遠」を見て、日本は危機意識を高めたことが日清戦争での勝利につながった。

 戦争は決して起こしてはならない。
 そのためにも、中国の軍拡に対し、日本の問題点を整理し、抑止力を高めておくことは極めて重要と言える。

川嶋 諭 Satoshi Kawashima
早稲田大学理工学部卒、同大学院修了。日経マグロウヒル社(現日経BP社)入社。1988年に「日経ビジネス」に異動後20年間在籍した。副編集長、米シリコンバレー支局長、編集部長、日経ビジネスオンライン編集長、発行人を務めた後、2008年に日本ビジネスプレス設立。



レコードチャイナ 配信日時:2014年1月16日 7時20分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=81831&type=0

海上自衛隊元海将「中国海軍は日米の格好の攻撃目標」、
中国人少将は「盲目で楽観的」と切り捨

 2014年1月15日、人民網によると、日本の海上自衛隊の元海将が昨年10月に出版した『日中海戦はあるか―拡大する中国の海洋進出と、日本の対応』で、
 「中国は原子力潜水艦や空母を作っているが、万が一軍事衝突が起きた場合、それらはすべて日本の海上自衛隊や米軍の格好の標的となる
と指摘した。

 これを受け、中国の軍事専門家、尹卓(イン・ジュオ)少将は中国中央テレビの取材に対し、
 「米国ですらそのような自信は持っていないのに、日本の自信はどこから来るのか。
 あまりに盲目的で楽観的だ」
と指摘。
 一部の反中国勢力や右翼主義者のプロパガンダに過ぎないと切り捨てた。



レコードチャイナ 配信日時:2014年1月19日 9時35分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=81978&type=0

米中軍艦の異常接近、「中国側の英語力不足も原因」と米海軍司令官―英メディア


●15日、米太平洋軍のサミュエル・ロックリア司令官は、先月南シナ海で中国と米国の軍艦が異常接近した原因の1つに、中国側の英語力不足を挙げた。写真は中国の空母。

 2014年1月15日、ロイターによると、米太平洋軍のサミュエル・ロックリア司令官は、先月に南シナ海で中国と米国の軍艦が異常接近した原因について、
 中国側の経験不足と双方の意思疎通が不十分だったことを挙げた。
 17日付で新華網が伝えた。

 米海軍のミサイル巡洋艦「カウペンス」は当時、中国初の空母「遼寧」の監視活動に当たっていた。
 米国防省の関係者の説明によると、昨年12月5日に中国の軍艦がカウペンスの前方500mまで接近。
 カウペンスが回避措置を取ったため、衝突は免れた。

 ロックリア司令官は海軍のシンポジウムに出席し、
 「中国の小型軍艦は経験が不足していたと思われる。
 われわれはそれを理解しなければならない
と指摘。また、
 言葉の障壁も理由の1つだとして、
 「米国側の船員が英語で呼びかけても、中国側の船員は限られた英語でしか返答できない。
 われわれの言葉を彼らがどのように理解しているのかは誰にも分からない
と語った。

 「米海軍はこの事件の原因を詳細に調査し、すでに中国側と率直な意見交換を実施。
 米中双方は互いに相手の観点を理解している」
と同司令官は話している。


 日本はアメリカと海洋演習をやるから、軍事的緊急時の英語の解釈に問題はないが、それがなされていない中国海軍では、確かにこういう懸念は起こりうる。
 特に急速に拡大する中国海軍ではソフトパワーがそれに追いついていないということが大きな問題になってくる。



サーチナニュース 2014-02-12 16:00
http://news.searchina.net/id/1523843

中国が054A型護衛艦を量産、作戦能力が大幅に向上

 カナダの漢和ディフェンスレビューによれば、2013年9月に中国の054A型護衛艦3隻が進水し、これまでに進水した054A型護衛艦は計19隻になった。
 中国は現在も054A型護衛艦の量産を進めており、「中国の作戦能力は大幅に引き上げられることになる」と論じた。
 環球時報(電子版)が12日伝えた。

  054A型護衛艦に搭載されているディーゼルエンジンの部品と生産許可を中国側に提供したドイツ企業によれば、当初は15隻分の部品と生産許可を提供しただけだったものの、中国は徐々に054A型護衛艦の国産化を進め、
16隻目の054A型護衛艦を構成している部品は約9割が中国産だという。

  054A型護衛艦は満載排水量が約4053トン、射程距離180キロメートル(Km)の艦対艦ミサイルのほか、射程距離50Kmの艦対空ミサイルを装備し、さらにフランス製の軍艦用戦術情報処理装置「Tavitac」を模倣したZKJ-4型戦術情報処理装置と、HN-900戦術データ・リンク装置を搭載している。
  報道によれば、中国が054A型護衛艦を量産しているのは同艦の多用途化および対艦能力、052C/D型駆逐艦との連携による防空能力を高く評価しているからだ。
 さらにもっとも重要な点は054A型護衛艦の対潜能力が052C/D型駆逐艦よりも優れていることだという。
  054A型護衛艦19隻が進水した事実は、中国で護衛艦の更新がまもなく完了することを示すものだ。
 また、054A型護衛艦を改良した054B型が進水すれば、中国の作戦能力は大幅に引き上げられることになるだろう。

 
●054A型の7番艦「益陽」

 
●「溫州」(江凱I型/054型 2番艦)


●「馬鞍山」(江凱I型/054型 1番艦)


【劣化する人心と国土】