2014年2月21日金曜日

「おじけづく花」オバマの影の薄さ:「タフな男」安倍と習近平の豪腕比べ

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●20日、米調査企業ギャロップ社は米国人に対する世論調査の結果を発表した。中国を好きと回答した比率は43%。1979年の第1回調査から19ポイントの低下となった。資料写真。

いまのところ中国は日本とヤルキはない。
 なぜなら、
 中国は「勝ち続けなければならない」という宿命を背負っているが、
それを遂行することは不可能。
 初戦で負けたら、中国共産党は崩壊する。
 それが分かっているから、大きなラッパだけで手出しはしない。
 その間に日本は着々と「対中国抑止力」の増強に励むことになる。
 そんな中国の状態だと当然中国にはストレスがたまる。
 そんなときには、こんなことを言って溜飲を下げることになる。
 「中国と衝突したら、日本は米国に頼れるか?

 「中国は日本がいずれ折れて譲歩するとみている
 そして同じように、
 「日本は中国は深刻な国内問題で手一杯で何もできないとみている
 そして、この深刻な国内問題は永遠に解決できないことであるゆえに、
 「日本は中国は将来、中所得国のワナに捕まって力を失うとみている
 だから、対中国抑止力さえおさえておけば中国は動けないとみているから、その方向で動いているように思える。


2014.02.21(金)  Financial Times
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/40005

安倍首相を望んだことを悔やむ米国政府
(2014年2月20日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)


●安倍晋三首相は米国政府が長年求めてきたような日本の首相だが・・・〔AFPBB News〕

 安倍晋三首相が率いる日本と習近平国家主席が率いる中国との関係を評価するのは極めて簡単だ。
 どちらも相手をあまり好きではない。
 日中双方が、政策目標を推し進める道具としてナショナリズムを利用している。
 どちらも恐らく、相手側に押しがいのある「タフな男」がいることは都合がいいと考えている。

 評価するのがそれほど簡単でないのが、日米関係の状態だ。
 本来であれば、日米関係は日中関係よりもはるかに容易に読み解けるはずだ。
 結局、日本は米国にとってアジアで最も重要な同盟国であり、第2次世界大戦の終結後、米軍の戦闘機と部隊を受け入れる「不沈空母」だったのだから。

■緊張する日米関係

 そして今、数十年間にわたり米国から促された末に
 ようやく強固な防衛態勢を築き、
 平和主義の日本が長年大事にしてきた
 「ただ乗り」の国防政策を見直す意思を持った安倍氏という指導者がいる。

 だが、長年求めてきたものを手に入れた今、
 米国政府はおじけづいている様子を見せている。

 その兆しの1つは、安倍氏が昨年12月に靖国神社を参拝した後に米国政府が「失望」を表明したことだ。
 靖国神社は中国と韓国から、自責の念がない日本の軍国主義の象徴と見なされている。

 以前は、米国政府は内々に靖国参拝への不満を述べたが、公然と日本を非難することはなかった。
 日本政府は今回、米国が日本語できつい響きのある失望と訳された「disappointed」という言葉を使ったことに驚かされた。

 ほかにも緊張の兆候が見られた。
 米国の政治家は、安倍氏の歴史観に対する懸念を表明している。
 バージニア州の議会は、学校教科書に日本海を表記する際には韓国名の「東海」を併記するよう求める法案を可決した。
 米国政府は、安倍氏の指揮下で、やはり米国の重要な同盟国である韓国と日本の関係も悪化したことを懸念している。

 日本の観点から見ると、論争になっている島嶼に対する日本の支配権に対し、
 中国政府が防空識別圏設定の発表で巧妙に対抗してきた時、
 米国政府は十分な力強さをもって日本を支持しなかった。

 米国政府は確かに中国の防空識別圏内に爆撃機「B52」を2機送り込んで不満を表したが、米国のジョー・バイデン副大統領は北京を訪問した時に、この問題をことさら取り上げなかった。

 東京の多くの政府関係者は、米国政府は事実上、中国の一方的な動きを黙って受け入れたと考えている。
 また、彼らは常日頃、
 中国にどっぷり染まった人々を周囲に置く傾向のあるバラク・オバマ大統領の回りに
 「ジャパンハンド」がいない
ことも嘆いている。
 米国政府が日本を支持することは、もはや当てにできない
という感覚が広まっていると語る日本政府関係者は1人ではない。

 このような背景には、安倍氏にも当然分かる皮肉がある。
 1950年以降ずっと、米国政府は日本に対し、再軍備し、現在安倍首相が提唱しているような国防態勢を取ることを迫ってきた。
 ダグラス・マッカーサー元帥の命令で書かれた1947年の平和憲法のインクが乾くや否や、米国人は日本に「交戦権」を永遠に放棄させたことを悔やんだ。

 米軍による占領終了の交渉を任じられたジョン・フォスター・ダレスは日本に対し、30万~35万人規模の軍隊を構築するよう迫った。
 中国は共産主義国家になり、米国は朝鮮半島で戦争を戦っていた。
 東アジアに無力化された「従属国家」を抱えることは、もはや米国に適さなくなっていたのだ。

 何年もの間、日本はこうした圧力に抵抗してきた。
 日本政府は米国の核の傘を頼りにし、ビジネスを築く仕事に勤しんだ。
 日本の唯一の譲歩は、戦闘を禁じられた自衛隊を創設することだった。

 あれから60年経った今、日本には、米国を言葉通りに受け止める指導者がいる。
 安倍氏には、日本の憲法解釈を見直し、場合によっては平和主義を謳った憲法第9条そのものを覆す個人的な信念と地政学的な口実がある。

■中国を挑発しかねない日本のナショナリズムへの不安

 しかし、その瞬間が訪れた今、一部の米国政府関係者は考え直している。
 ある元ホワイトハウス高官によれば、ジョン・ケリー国務長官は
 日本を「予測不能で危険」な国と見なしている
という。

 日本のナショナリズムが北京で対抗措置を引き起こすとの不安感もある。オーストラリアの学者で元国防省高官のヒュー・ホワイト氏は、これが意味することは明白だと言う。「米国としては、中国と対立する危険を冒すくらいなら日本の国益を犠牲にする」ということだ。

 安倍氏が靖国神社を参拝した時、米国政府にメッセージを送る意図もあったのかもしれない。
 日本の右派の奇妙なところは、最も熱心な日米同盟支持者でありながら、同時に米国政府が敗戦国・日本に強いた戦後処理に憤慨していることだ。
 米国の望みに逆らって靖国を参拝することは、日本は常に米国政府の命令に従うわけではないという合図を送る1つの方法だ。

 ワシントンで見られる安倍氏への嫌悪感は、決して普遍的ではない。

 ある意味では、安倍氏はまさに米国という医師が命じた日本の首相そのものだ。
 同氏は日本経済を浮揚させる計画を持っている。
 沖縄の米海兵隊基地の問題を解決する望みが多少なりともある日本の指導者は、もう何年もいなかった。
 日本は長年、国防費に国内総生産(GDP)比1%の上限を自ら課してきたが、安倍氏は国防費を増額する意思がある。

 だが、これらの政策には代償が伴う。
 ワシントンの多くの人が不快に感じる修正主義的なナショナリズムである。

■米国のジレンマと日本の悩み

 「中国が成長するにつれ、
 日本が中国の力に不安を感じる理由がどんどん増え、
 日本を守る米国の意思への信頼がどんどん薄れていく
とホワイト氏は言う。

 同氏いわく、
★.米国は日本の中核利益を守ることをはっきり確約するか、さもなくば、
★.日本が「1945年以降に放棄した戦略的な独立性」を取り戻すのを助けなければならない。
 このジレンマに相当する
 日本の悩みは、
★.一層強く米国にしがみつくか、
★.米国から離れるか、
という問題だ。

By David Pilling
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レコードチャイナ 配信日時:2014年2月22日 5時40分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=83789&type=0

中国と衝突したら、日本は米国に頼れるか?
「米国にとって日本は強大なライバルなので無理」―中国メディア


●21日、日中関係が冷え込む中、「両国が衝突したら米国はどう動く」との報道をたびたび目にする。写真は中国の博物館。

 2014年2月21日、日中関係が冷え込む中、「両国が衝突したら米国はどう動く」との報道をたびたび目にする。
 米国と同盟関係にあるイスラエルでは、
 「日米は困難を共に克服するような関係ではない。
 経済において日本は米国にとって強大なライバル。
 日中で戦争が起きても、米国は日本への適度な支援しかしないだろう」
との意見もある。
 中国メディア・前瞻網が伝えた。

 日中関係について、専門家の中には
 「中国は日本がいずれ折れて譲歩するとみている。
 さらに、米国も衰退の傾向にあると中国はみており、現状を維持すれば中国が望む方向に進むと考えている。
 中国が武力を行使した場合、誰が米国大統領でも、まず日本側に対応を求めるだろう。
 選択の余地がなくならない限り、米国は日中間の戦争に参戦はしない」
との見方が存在する。



サーチナニュース 2014-02-21 11:41
http://news.searchina.net/id/1524758

中国「日本の核物質保持と再軍備化の道を国際社会で阻止せよ」
プルトニウム問題で強い論調、「尖閣問題」に利用か

 米オバマ政権が日本に対し、冷戦時代に日本に提供したプルトニウム300キログラムの返還を求めた件を受け、中国では日本に核兵器の保有に進む考えが強まっているとして、国際社会で阻止すべきといった論調が高まりつつある。
   米国が日本に提供したプルトニウムは茨城県東海村の高速炉臨界実験装置(FCA)で使う核燃料用の約300キログラムで、高濃度であり軍事利用に適した「兵器級」と呼ばれるプルトニウムが大半とされる。
  同プルトニウム300キログラムで、単純計算では原子爆弾40-50発分の製造が可能とされる。
 また、高度な技術を用いればプルトニウム2キログラムかそれ以下で原爆1発が作れるとの見方もある。
  中後政府・外交部の華春瑩報道官は17日の記者会見で、「中国は日本が保有する『兵器級』の材料物質に極めて強い関心を持っている。
 日本が『兵器級核物質』の返還について、関連国に説明することを希望する」と述べた。
  中国国営の中国新聞社は20日付で、「日本のプルトニウム保有」についての中国内からのさまざまな論調を紹介する記事を発表した。
  同記事によると、中国国際問題研究所の曲星所長は
 「もしも日本が(プルトニウム問題で)合理的な説明をしなければ、国際社会は日本が核物質を持つ真の目的を懸念せねばならない。
 日本が兵器級の材料物質を保有することは、国際的な核不拡散の体系を破壊するかもしれない。
 これは、東アジアと世界にとっては深刻な脅威だ」
と述べた。

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 ◆解説◆ 
  原子爆弾はウランやプルトニウムなど、原子核が大きく不安定な物質を利用し、原子核を分裂させて極めて大きなエネルギーを引き出す兵器。
 ウラン型原爆に用いられるのは、ウランの同位体の中でもウラン235と呼ばれる物質で、自然界にはごく微量にしか存在するウラン235の濃縮に高度な技術力と大規模設備、エネルギーの投入が必要だが、爆弾そのものは比較的容易に作ることが可能だ。
 広島に投下された原爆は、ウラン型原爆。
  プルトニウム型原爆に用いられるプルトニウムは、原子炉を運転した結果得られる。
 兵器として利用するためには、同位体の分離などの過程が必要だが、ウラン235に比べれば容易とされる。ただし、日本の原子力発電所で生み出されているプルトニウムには兵器として用いるのに障害になるプルトニウム240の含有量が多く、そのままでは兵器製造には向かない。
  プルトニウム型原爆は、兵器として爆発させるためのメカニズムに比較的高度な技術が必須。
 北朝鮮の核兵器は、プルトニウム型原爆が主流とみられている。米国が世界で初めてニューメキシコ州内で行った実験で用いた原爆や長崎に投下した原子爆弾はプルトニウム型だった。

 中国社会科学院日本研究所のホウ中鵬氏は、米国側の返還要求を
 「日米同盟の亀裂を反映している」、
 「中国はさまざまなシナリオを想定して、日本が核兵器製造という捨て鉢な暴走を始めた時の用意をせねばならない」
と主張した。(「ホウ」はまだれに「龍」)
  記事は、羽田孜首相(当時)が1994年6月17日に述べた「日本は核兵器を保有する能力を持っている」との発言を紹介。
 2002年には民主党の小沢一郎代表が中国の軍事力増強を批判して、
 「あまりいい気になると、日本人はヒステリーを起こす。
 (日本が)核兵器を作るのは簡単だ。
 その気になったら原発のプルトニウムで何千発分の核弾頭ができる。
 大陸間弾道弾になるようなロケットを持っている」
と述べたことも例として、
 「日本国内では核兵器反対の世論が今も主流ではあるが、“自制心”は相対的に低下しており、いくつかの危険な野心が浮上している」
と主張。
  さらに
 「中国、米国、ロシアなど大国は、核の非拡散などの本質的な大問題について連携して、日本社会の道理に反するいかなる思惑に対しても確固たる決断をせねばならない。
 あいまいな部分を残してはならない」
と論じた。
  記事はホウ中鵬氏の
 「日本の“核武装の衝動”を阻止することを、中国と米国の共同戦略にしてよい」
との主張も紹介した。

 中国が同問題に強い関心を示している理由としては、尖閣諸島をめぐる日本との対立で、国際社会に向け
 「日本は危険な国」とする理由に最大限に利用しようという思惑が見え隠れする。
   中国は尖閣諸島の問題で、2010年ごろから日本ととりわけ厳しく対立するようになった。
 中国は当初、
 「釣魚島とその周辺の島々は(尖閣諸島を指す)歴史的にみて中国のものだった」
と主張したが、現在は同主張を強く打ち出すことは減った。

  世界的に見ても、ある土地が古くは1国の領土または領土に準じた扱いをされていても、その後の経緯や当該国のその土地に対する扱いに不備があれば、現在は別の国の領土として公認されるようになったという例は、さほど珍しくない。

 他国の領土を力ずくで奪った場合には、その土地の主権が移ったとは認められないが、その場合「奪われた側」は継続して「自国領である」と主張することが不可欠だ。
 尖閣諸島の場合、日本が19世紀末に実効支配を初めてから中国は1971年にいたるまで、同諸島の領有権を全くしてこなかったという過去がある。
 日本の場合には竹島や北方領土について一貫して、「わが国の領土。不当に占拠されている」と主張しつづけてきた。
 つまり、国際的習慣に合致する言動を続けてきたとの経緯がある。
   尖閣諸島は日本が1895年に尖閣諸島の日本領とすると閣議決定した。
 同決定はただちに外部に公表されなかったなどの問題はあるが、日本がその後に実効支配を進めても中国は抗議しなかったばかりか、尖閣諸島を日本領と認める公式文書(中華民国駐長崎領事名義の中国人漁民救助に対する感謝状、1920年)を発行したり、中華人民共和国が成立した後も、共産党機関紙の人民日報に尖閣諸島が琉球諸島(沖縄)の一部と記述したり、国営出版社の地図が尖閣諸島を日本領とするなどの事実があった。
   そのため中国は、 
古い歴史にもとづく主張をしても、国際社会の慣例からして、自らにとって有利なるとはかぎらない
と悟ったと考えられる。 
 中国はその後、尖閣諸島を「日清戦争の不平等講和条約である下関条約の結果、つまり日本が戦争によって奪った中国領」とする論法を多用するようになった。
 つまり、日本が戦争によって奪った土地なのだから、第二次世界大戦終結時に日本側が認めた国際的な約束に従い、中国に返還すべきとの言い分だ。


(続く)







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