●ジレンマ 鉄鋼生産量を削減すれば大量の失業者が出る China Daily-Reuters
中国経済の心配事は不動産、シャドーバンキング、地方債、過剰生産などなどいくらでもある。
どうもいま、製造業の指数が低下しつつあるようである。
中国経済には相当なムリがあることは誰でも知っている。
しかしそれを表沙汰にしないのは、中国経済の躓きが世界経済に及ぼす影響が大きいからである。
しかし、そう隠せるものではなく、何かのきっかけで吹き出すこともある。
要注意である。
どこまで見て見ぬふりをするかである。
『
International Business Times 2014年2月22日 09時53分 更新
http://jp.ibtimes.com/articles/54736/20140222/930481/page1.htm
中国:製造業の経済指標が低下、成長は鈍化
中国製造業の状態を示す主要な経済指数は2月、大きく低下した。
世界第2位の経済規模である同国経済の停滞は、経済学者たちを心配させている。
●浙江省嘉興市のタイヤ工場で働く労働者
HSBAが20日に発表した2月の中国製造業購買担当者指数(PMI)の速報値は48.3と、7か月ぶりの低水準となった。
1月は49.5であった。
PMIは、製造業の成長率の指標であり、50以上が先月より拡大、50以下が先月より縮小を意味する。
同指標は、中国経済の先行指標として観察されている。
HSBCのチームエコノミストであるホンビング・キュー氏は、声明で
「新規受注および生産は、在庫調整の動きの影響を受けています。
製造業の潜在的な成長力は弱まっているのかもしれません」
と述べた。
指標は、1月の懸念結果を拡張する。
また、製造業の純粋な縮小も意味する。
サービス産業を育成しようとしている中国ではあるが、現在の中国経済を牽引しているのは製造業である。
キャピタル・エコノミクス(Capital Economics)の中国エコノミストであるジュリアン・エヴァンス・プリチャード(Julian Evans-Pritchard)氏は20日、
「製造業部門の状態は悪化し続けています。予想以上の弱さです」
と述べた。同氏によると、エコノミストが予測していた最低値よりも低かったとという。
中国の新年にあたる旧正月は、今年は1月31日であった。
そのことが指標結果をゆがめていると指摘するエコノミストも複数いる。
PNCのエコノミストであるビル・アダム(Bill Adams)氏は、速報値の発表を受けて、
「指標は、実質GDP成長率が平均7.7%であった2013年の状態を反映したものです。
トレンドを上回った2013年第4四半期の後、2014年初めの実質GDP成長率は低下する見込みです。
年間実質GDP成長率は7.5%でしょう」
と指摘している。
世界の投資家の多くは、中国の経済成長が鈍化していることを懸念している。
過去10年間は2桁成長だったのが、現在は7~8%の成長率である。
中国は過去10年間、穀物から金属、そしてエネルギー資源まで、膨大な天然資源を消費した。
インフラの構築も進み、中産階級は急速に増加した。
記者:Nat Rudarakanchana、翻訳者:臼村さおり |
*この記事は、米国版 International Business Times の記事を日本向けに抄訳したものです。
』
『
ニューズウイーク 2014年2月27日(木)15時55分
http://www.newsweekjapan.jp/stories/business/2014/02/post-3199.php
想像を絶していた!中国鉄鋼の過剰生産
China Steel Overcapacity Reaching New Heights "Beyond Imagination"
景気後退局面でもブレーキがかからない鉄鋼業界の不毛な過剰生産競争
経済成長の波に乗って拡大の一途をたどってきた中国の鉄鋼業界。
だが成長の鈍化に伴ってこの数年、鉄鋼業界の設備過剰が深刻化。
にもかかわらず、中国最大の鉄鋼生産量を誇る河北省では、老朽化した生産施設の閉鎖をはるかに上回るペースで設備の新設が続いている。
中国鉄鋼工業協会(CISA)の副事務総長、李新創(リー・シンチョアン)によれば、
鉄鋼業界の余剰生産能力は3億トンという「想像を超える域」に達している。
これは、昨年のEUの生産量の2倍近くに相当するという。
景気の減速局面にあるにもかかわらず、今年の鉄鋼製品の需要は前年比3・2%増の7億1500万トンという緩やかな上昇を続けている。
そのため、シェアを伸ばしたい鉄鋼メーカーは生産能力を引き続き拡大。
中国の鉄鋼生産量は今年も3%増加するだろうと、CISAは予測している。
もちろん、当局も問題は認識しており、老朽化した施設を閉鎖するようトップダウンで対策を進めている。
例えば河北省唐山市では、今後5年間で4000万トン分の生産能力を削減する計画だという。
ただし、目に見えた変化が現れるには何年もかかるかもしれない。
鉄鋼の過剰生産は、悪化の一途をたどる大気汚染の一因でもある。
鉄鋼産業で潤ってきた河北省は現在、生産能力の削減による環境汚染対策に先陣を切って取り組んでおり、2017年までに6000万トン分の生産能力を削減する計画だ。
とはいえ、閉鎖される施設は老朽化のため、すでに半年〜1年前から休業状態だったものがほとんど。
つまり、閉鎖しても温室効果ガスの排出量の削減にはほとんど貢献しそうにない。
しかも、河北省では古い施設を閉鎖する2倍のペースで新規施設の増設が続いていると、中国最大の鉄鋼企業である河北鋼鉄集団のマーケティング責任者は明かす。
「生産能力の削減目標が年間1500万トンなのに対し、新規設備の生産能力は3000万トン。
つまり、閉鎖のスピードは十分でない」
と、この人物は言う。
メーカーが拡大路線を突き進む背景には、鉄鋼業が地方経済の屋台骨となっている事情もある。
地方政府としては、環境を犠牲にしてでも経済成長を優先したいと考える。
当局が掲げるすべての生産削減策を実行すれば、河北省だけで20万人が職を失う。
彼ら全員に新たな仕事をあてがうのは、大気汚染対策以上の難題かもしれない。
』