2014年2月26日水曜日

中国、中国人民抗日戦争勝利記念日を法律で制定へ:南京大虐殺追悼日を正式な国家記念日に

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●中国の全国人民代表大会常務委員会は2月27日、9月3日を「抗日戦争勝利記念日」、12月13日を「南京大虐殺犠牲者国家追悼日」とする法案を決定した。写真は南京大虐殺記念館。


2014/02/25 23:16   【共同通信】
http://www.47news.jp/CN/201402/CN2014022501002955.html

中国、抗日勝利日を法で確定へ 全人代が審議

 【北京共同】
 新華社電によると、中国の全国人民代表大会(全人代=国会)常務委員会は25日、抗日戦争勝利の記念日と、
 旧日本軍による南京大虐殺の犠牲者追悼日を法律で確定する決定草案を審議した。
 近く正式に可決する見通し。

 安倍晋三首相の靖国神社参拝などを念頭に、歴史認識で対立する日本をけん制する狙い。
 全人代当局者は
 「立法の形で(記念日を)確定し、中国人民の意思を集中的に反映させ、歴史を忘れないようにすることが必要だ」
と主張している。


 「中国が日本に勝った」というのは聞いたことがないが。
 ロシアの参戦で、たなぼたで日本を追い出した、ということで世界的にも中国が日本に勝利したというう話はきかない。
 でも民族の意識高揚のために日本を追い出した日を「抗日勝利日」ということにすることは利にかなっている。


CRI online 2014-02-25 19:40:38
http://japanese.cri.cn/881/2014/02/25/141s217927.htm

中国、中国人民抗日戦争勝利記念日を法律で制定へ

 中国の第12期全国人民代表大会常務委員会第7回会議は25日午後、中国人民抗日戦争勝利記念日の確定に関する決定草案と南京大虐殺犠牲者国家追悼日の制定に関する決定草案を審議しました。

 全国人民代表大会常務委員会法律作業委員会の李適主任によれば、

  「中国人民抗日戦争は中国人民が日本帝国主義の侵略に抵抗した正義の戦争であり、世界反ファシズム戦争の重要な構成部分でもあり、近代中国が外敵の侵入に対抗して初めて完全な勝利を収めた民族解放戦争でもある。
 中国人民抗日戦争の勝利は、中華民族の衰退から振興への重大な転換点であり、民族の独立と人民の解放、新中国成立の重要な基礎を固めたほか、世界各国人民の反ファシズム戦争勝利、世界平和の偉大な事業の実現に大きく貢献した。

 この勝利記念日を制定するのは中国人民抗日戦争で亡くなった英霊と中国人民抗日戦争に貢献したすべての人々を偲び、中国人民が日本帝国主義の侵略に抵抗した苦しい戦いを銘記し、中国人民抗日戦争の世界反ファシズム戦争における重要な地位を示すためだ。
 また、中国人民の国家主権と領土の保全、そして世界平和を断固として守っていく立場を示し、愛国主義を核心とする偉大な民族精神を発揚し、全国各民族人民が中華民族の偉大な復興という中国の夢を実現していくことを励ますためでもある。
 中央人民政府政務院と国務院による抗日戦争記念日の規定に基づいて、草案は9月3日を中国人民抗日戦争勝利記念日に確定した」

ということです。

 一方、南京大虐殺犠牲者国家追悼日の制定に関する決定草案について李主任は、
 「1937年中国を侵略した日本軍は12月13日から40日間にわたり南京でわが同胞に対して残忍な大虐殺を行い、30万人以上を殺戮した。
 国際法に公然と違反するこの暴虐な行為は鉄壁な証拠があり、第二次世界大戦後の極東国際軍事裁判と南京戦犯審判軍事裁判の審理を経て歴史的結論と法律の定論にもなっている。
 南京大虐殺犠牲者の国家追悼日を制定し、国家レベルで追悼活動と関連の記念活動を行うことが必要だ。

 また、法律で制定するのは南京大虐殺の犠牲者と日本帝国主義による中国侵略戦争で日本の侵略者に殺戮された犠牲同胞を悼み、日本侵略者の戦争の罪を暴きだすと共に、侵略戦争が中国人民と世界人民にもたらした深刻な災いをしっかり記憶し、侵略戦争に反対すると共に、人類の尊厳を守り、世界の平和を維持する中国人民の立場を示すためだ。決定草案は12月13日を南京大虐殺犠牲者国家追悼日に確定した」
説明しました。



レコードチャイナ 配信日時:2014年3月7日 12時39分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=84497&type=0

国家戦略「日本叩きのツール」か、それとも一個人の願望か?
中国が南京大虐殺追悼日を正式な国家記念日に

 中国の全国人民代表大会常務委員会は2月27日、9月3日を「抗日戦争勝利記念日」、12月13日を「南京大虐殺犠牲者国家追悼日」とする法案を決定した。
 中国政府全体が日本批判の動きを一気に強化したのではないか…と一見思われるが、冷静に見ると実はある個人が強力にプッシュした産物であり、その影響も限定的だと透けてみえる。

■名ばかり記念日

 まず抗日戦争勝利記念日および南京大虐殺犠牲者国家追悼日は国家の「記念日」および「公祭日」である。

 これだけ読むと、中国はこの2つの日を国民の祝日として定めたかのように思われるが、実はそうではない。
 中国には「全国年節及紀念日放仮弁法」という行政規則がある。
 この第2条によれば、仕事などが休みとなる日は新年、春節、清明節、労働節、端午節、中秋節、国慶節のみだ。

 そして「抗日戦争勝利記念日」および「南京大虐殺犠牲者国家追悼日」の法案は全国年節及紀念日放仮弁法を改正するためのものではない。
 記念日ではあるが、休みになる祝日扱いではないわけだ。
 記念日扱いされている日は多いが、休みになるなどの実益がなければほとんどの人は記憶することはないだろう。
 つまり「抗日戦争勝利記念日」および「南京大虐殺犠牲者国家追悼日」は名ばかりの記念日でしかない。

■鄒建平の活動

 ただし南京大虐殺犠牲者国家追悼日はある程度の重みを持っている。
 というのも今回、追悼日として立法される前から毎年追悼式典が開かれてきたからだ。
 実質的には以前から記念日になっていたと言えるだろう。

 この12月13日の南京大虐殺記念日を正式な国家の公祭日にしようとの提案が初めて登場したのは2005年、江蘇省政治協商会議でのことだった。
 ただしこの時は否決されている。
 7年後の2012年、南京芸術学院の鄒建平(ゾウ・ジエンピン)教授が全国的な公祭日にしようと両会(全国人民代表大会、中国人民政治協商会議)に提案した。

 あるいは鄒建平という名に覚えがある方もいるかもしれない。
 鄒教授は2012年に日本でも話題となった「南京大虐殺否定罪」の発案者だ。
 南京大虐殺否定罪も南京大虐殺犠牲者追悼日も同一人物による発案なのである。

 ある種、南京は鄒教授の持ちネタであり、メディアに取り上げられる鉄板ネタなのだ。

■政治的意図より個人的希望?

 日本メディアは
 「国家レベルの記念日とすることで、安倍晋三首相の靖国神社参拝や歴史認識問題を国を挙げて批判していく意思を明確に示すとともに、安倍政権の歴史認識の問題点を国際社会に広く訴えかける狙いがあるとみられる」
と報じている。

 もちろんこのタイミングで法案が成立した以上、そうした意図は否定できないだろう。
 ただしその裏側には、鄒建平という人物が一人で作り上げた伏線が存在する。
 彼の個人的願望が存在しなければ法案が通ることもなかったのではないか。

 中国が国際世論に働きかけるべくすべてを計画した…のではなく、
 日本叩きのツールとしてある個人の主張が使えそうだったから採用してみたというのが実情に近いのかもしれない。

◆筆者プロフィール:高橋孝治(たかはし・こうじ)
日本文化大学卒業。法政大学大学院・放送大学大学院修了。中国法の魅力に取り憑かれ、都内社労士事務所を退職し渡中。現在、中国政法大学 刑事司法学院 博士課程在学中。特定社会保険労務士有資格者、行政書士有資格者、法律諮詢師、民事執行師。※法律諮詢師(和訳は「法律コンサル士」)、民事執行師は中国政府認定の法律家(試験事務局いわく初の外国人合格とのこと)。『Whenever北京《城市漫歩》北京日文版増刊』にて「理論から見る中国ビジネス法」連載中。





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