2014年2月20日木曜日

大気汚染は中国都市部の常態:主要74都市で1月に発生せずはラサ市のたった1都市のみ

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●深刻な大気汚染が発生した北京、初めて「橙色警報」を発令:北京は人の住むところにあらず(写真は「CNSPHOTO」提供)


サーチナニュース 2014-02-20 18:14
http://news.searchina.net/id/1524694

中国の主要74都市「1月に大気汚染発生せず」はラサ市のみ

●チベット:ラサ市

中国政府・環境保護部は20日、1月における全国主要74都市の大気汚染発生状況の観測結果を発表した。
 74都市の平均で、大気汚染が発生しなかった日は31日中の37.6%、
 軽度の場合を含めて大気汚染が発生した日は62.4%だった。

 大気汚染が1日も発生しなかったのは、チベット自治区のラサ市だけだった。

  74都市の平均で、
★. 軽度の汚染が発生した日は26.8%、
★. 中度の汚染は16.2%、重度の汚染は16.2%、
★. 厳重な汚染は5.0%
だった。
  汚染が発生しなかったのはラサ市だけで、舟山(浙江省の島嶼部)、昆明(雲南省)、海口(海南省)、中山(広東省)では汚染が発生しなかった日は80%以上100%未満だった。
   逆に、邯鄲(河北省)、〓台(同)、武漢(湖北省)など51都市では、汚染が発生した日が50%以上だった。 (〓は「形」のつくり部分をおおざとに)

  空気汚染がひどかったワースト10都市は
 石家荘(河北省)、
 保定(同)、
 邯鄲(同)、
 衡水(同)、
 済南(山東省)、
 唐山(河北省)、
 成都(四川省)、
 西安(陝西省)、
 武漢(湖北省)
の各市。
  空気の質が良かった10市は
 ラサ、
 舟山、
 海口、
 昆明、
 福州(福建省)、
 厦門(アモイ、福建省)、
 深セン(広東省)、
 珠海(同)、
 恵州(広東省)、
 中山
の各市だったという。



サーチナニュース 2014-02-21 16:30
http://news.searchina.net/id/1524818

深刻な大気汚染が発生した北京、初めて「橙色警報」を発令

 北京市の大気汚染応急指揮本部は21日、大気汚染の程度を4段階で示す警報制度を2013年10月に導入して以来、初めて「橙色警報」を発令した。
 橙色警報は4段階中3番目に深刻な大気汚染が発生した場合に発令される警報だ
 新京報が報じた。

  北京市は20日に4段階中2番目に深刻な大気汚染が発生した場合に発令される「黄色警報」を初めて発令したばかりだった。 
 北京市は現在、湿度が高いうえに風も弱いため、大気の質が「重度の汚染」に達しており、関連部門は市民に対し、子どもやお年寄りはできるだけ室外で運動しないよう呼びかけ、マスク着用などの措置を取るよう呼びかけた。
 また、外出の際は自家用車などの使用を控え、公共交通機関を利用するよう呼びかけている。
  「橙色警報」では、汚染物質を排出する企業の輪番停産もしくは生産の制限、全市内で花火や野焼きの禁止といった強制措置が取られる。



レコードチャイナ 配信日時:2014年2月23日 6時10分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=83847&type=0

北京・天津・河北、1月の大気汚染基準超過日数は7割―中国


●21日、北京・天津・河北の13都市で大気環境基準を達成した日数の割合は平均25.4%、基準を超過した日の割合は平均74.6%だった。写真は北京の円明園。

 2014年2月21日、人民日報海外版によると、中国環境保護部の担当者は20日、北京・天津・河北、長江デルタ、珠江デルタ各地域および直轄市・省会都市(省政府所在地)・計画的財政上独立市など74都市の1月の大気汚染基準達成状況を発表した。

 これによると、北京・天津・河北の13都市で大気環境基準を達成した日数の割合は平均25.4%、基準を超過した日の割合は平均74.6%だった。
 また、大気汚染物質のうち、基準を超過した日数が最も多かったのはPM2.5(粒径2.5マイクロメートル以下の微小粒子状物質)で、基準を超過した日の割合は81.5%に達した。
 PM10(粒径10マイクロメートル以下の微小粒子状物質)がこれに続き17.9%だった。

 北京市重度大気汚染応急指揮部弁公室は20日12時、大気汚染黄色(重度汚染)警報を発令した。
 「北京市重度大気汚染応急対応マニュアル(試行版)」が施行されて以来、北京で黄色警報が発令されたのは今回が初めてとなった。

(提供/人民網日本語版・翻訳/KM・編集/TF)



International Business Times 2014年2月17日 21時45分 更新
http://jp.ibtimes.com/articles/54539/20140217/767329.htm

中国: スモッグ汚染に対して風力発電などに多額の投資、それでも石炭が主力


●中国甘粛省玉門市の有毒な煙を吐き出す石油化学プラント

 中国北西部の河西回廊(カセイカイロウ)には環境に配慮した再生可能エネルギーの設備が多数建設されている。
 しかし多くの指標を基にすると、ここが再生可能エネルギーの要所になるのは困難な状況だ。

 河西回廊は、東は烏鞘嶺から始まり、西は玉門関、南北は南山(祁連山脈と阿爾金山脈)と北山(合黎山および龍首山)の間の長さ約900キロメートル、幅数キロから100キロと不規則な西北-東南方向に走る狭く長い平地である。
 回廊の形をなし、黄河の西にあるために河西回廊と呼ばれる。
 漢族、回族、モンゴル族、ユグル族、チベット族など多くの民族が居住する。
 古代のシルクロードの一部分として、古代中国と西方世界の政治・経済・文化的交流を進めた重要な国際通路であった。

 ゴビ砂漠の南端に沿って走るこの回廊には強風が吹きつける。
 重工業産業と石炭火力発電所が立ち並ぶ。
 まるで乾燥して埃の多い大草原に林立する礎石のようだ。
 砂漠から吹きつける風は、煙突からのスモッグを舞い上げて遠くの山々の稜線をぼかすと、都市部上空を厚く覆う。

 中国甘粛省(カンシュクショウ)河西地方にある都市、酒泉の中で、玉門(ユーメン)石油工業基地は、この厳しい産業景観の中心地近くに位置する。
 かつて石油でにわか景気にうるおった町は人口約2万人となり、町の運命は石油が激減するにつれて衰退した。
 何千人もの人々が引っ越して、現在はゴーストタウンのようになっている。
 有毒物が混ざった排気ガスを吐き出す石油精製所と石炭火力発電所が点在している。

 良くも悪くも中国はここに再生可能エネルギーの最大の投資を行うことを選択した。

 太陽電池パネルが石炭火力発電所の周囲のビルの屋上でキラキラと輝いている。
 その一方で砂漠から吹きつける極寒の強風に何百もの風力タービンが回転している。
 世界最大かつ理論的には中国の有毒な石炭火力発電所に代わる環境に配慮した持続可能な動力源となるはずのプログラムの一環として、20ギガワット(GW)という巨大風力発電所が建設中である。


●中国の風車。河西回廊の風力発電所

 1つ問題がある
 河西回廊の太陽光発電や風力発電は、効果の程よりも話題性が先行している。
 石炭で熱く燃える恐竜の隣に最新技術の再生可能エネルギーが奇妙にも並置されたことは、中国のエネルギー政策が分裂している証拠であり、温室効果ガスの主な原因であるCO2が世界最悪の排出量で依然として吐き出され、隣国や遠く離れた太平洋上にまでスモッグを輸出していることを際立たせている。

 「1つの石炭発電所が停止しても、別の発電所が稼動を開始する」
と環境問題に取り組む活動を展開しているウェブサイト「クライメット・デスク(Climate Desk)」のジェームズ・ウェスト(James West)シニアプロデューサーは指摘する。

 河西回廊の重工業や石炭火力発電所に起因して環境被害が継続して発生していなければ、中国の再生可能エネルギーへの幅広い取組みは地域のグローバルモデルになっていただろう。
 国有企業は過去10年間で、酒泉だけでも、風力発電と太陽光発電でそれぞれ6GWと1GWの設備を開発した。
 酒泉の新再生可能エネルギー工業団地のゲートの後ろに連なる数十の風力タービンブレードは、地域の風力発電ブームがさらに続くことを示唆している。

 「目標は2015年に風力発電の容量が15GWに達すること、
 それに加えて2025年までにさらに25GWを追加して、総容量40GWに到達することだ」
と酒泉発展改革委員会のリュウ・シュシェン(Wu Xuesheng)エネルギー局長が述べた。
 これはニューヨーク市すべてを賄える、または10の石炭火力発電所に匹敵する電力で、おそらく世界のトップ3の風力エネルギー生産地点となるのに十分な電力量である。
 酒泉は、中国の再生可能エネルギーへの投資に関する最も明白な例であり、中国各地で同様の建設が進んでいる。

 環境汚染の悪化に直面している中国当局は、これまでにない規模で風力、太陽光、水力発電の開発を、そしてそれにやや劣る水準で原子力発電の開発を、化石燃料以外の資源として追求してきた。
 これには2つの理由がある。
 これらの資源は継続性が見込まれることと、石炭からの有毒な汚染は政府が非常に危険と認識しているレベルに達しているためだ。
 中国のスモッグは、飛行機のパイロットが時に視認性の難しさから着陸を困難と感じるまでになっている。
 そして大気汚染から保護するマスクは、中国市場で最も売れているアイテムの1つとなっている。

 すでに中国は、メキシコほどの規模の国に十分供給できる電力を生産できる風力タービンを設置している。
 他のいかなる国も、投資に関してはこれに匹敵できない。

 再生可能エネルギー開発に対する中国の国家政策の枠組みが制定されたのは2005年である。
 当時、世界の総風力発電容量に対する中国のシェアはわずか2.1%だった。
 7年後の2012年、同国は75GW以上の設備をベースに世界の風力発電の27%を占め、米国(21%)やドイツ(11%)がそれに続いていると世界風力エネルギー会議(GWEC)の統計は伝えた。
 中国の4つの風力タービンメーカーが市場シェアでトップ10内に入り、世界的な風力発電産業を引き継いでいる。

 ブルームバーグ・ニュー・エナジー・ファイナンスの統計によると、2012年に、中国の グオディエン(Guodian Corporation)社がスペインの電力会社イベルドローラ(Iberdrola)社を抜いて、稼働中の風力発電設備の所有量で世界最大となった。
 グオディエンが2012年末に所有していた稼働中の風力発電設備の容量は13.7GWで、イベルドローラは13.3GWだったが、グオディエンが大規模な開発パイプラインを維持しているのに対しイベルドローラは非中核的な風力設備の売却を進めているため、この差は今後さらに広がると予想される。

 新たな風力発電の追加による70GWは2015年までに実現が期待され、これと並行して大規模な水力発電120GW、太陽光発電5GWが中国の第12次5か年計画に含まれ、2011年から2015年までの戦略目標とされる。
 中国当局は、非化石燃料による発電量を2015年までに、一次エネルギーにおける現在の消費量9.8%(中国国家エネルギー局:NEAの統計による)から「11.4%」にまで増加させたいとしている。

 これらの目標は既に北京の国家歴史博物館の巨大な宣伝活動や風力発電所の写真に代表されるように、国家の威信をかけた問題となっている。

■石炭への依存は変わらない

 しかし、今のところ様々な理由から、中国が大幅に汚染を低減できるとは考えにくい。
 酒泉や蘭州などの都市で日中を過ごすと、スモッグの色が紫色あるいは茶色に変化するのがわかる。
 新エネルギーの影響は限定されたものであるとされる主な理由は、環境に優しい新たなグリーン電力を分配するために必要な電力網が、再生可能エネルギー源の開発に追いついていないことである。

 「ここ数年で非常に多くの風力発電や太陽光発電を建設した。
 今では送電線でいっぱいだ
と蘭州の国連工業開発機関(UNIDO)国際太陽エネルギーセンター技術振興担当のリー・シミン(Li Shimin)副経営理事はIBTimes(アイビータイムズ)に語った。


●河西回廊では送電線が草原を越えて設置されている


 投資への魅力を高めるために中国財政部が導入した太陽光発電利用システムへの国家補助金制度などもあり、再生可能エネルギーの開発者は新しい風力タービンと太陽発電パネル設置を急いだ。
 多くの新たな開発が現在も適切な電力網を待っている。
 その結果、環境に優しいグリーン電力が稼動されるまでに困難が立ちはだかり、一方で石炭火力発電所は空気を汚染し続けている。
 酒泉の繁華街から数十キロの所にある新たな100メガワット太陽光発電施設のプロジェクトマネージャーによると、ソーラーファームは電力網が十分整っていないため、総発電量のわずか40%の稼動となっているという。

 典型的な中国のやり方として、当局は可能な限り迅速にギャップを埋めることを約束しており、実際に、巨大な送電網プロジェクトが計画されている。
 2013年に750キロボルト(kv)の送電線を配備し、2015年までに新たに800kvの送電線が稼働予定であるとリュウさんは指摘して
 「そうなれば電力網全体が再生可能エネルギー容量と一致できるだろう」
と述べた。

 2011年から2015年の間に中国全土の電力網に2兆5,500億元(約43兆円)の投資が行われ、この期間中に新たな電源による送電を実現する予定である。
 これは中国の経済全体の年間投資額の約百分の一に等しく、世界で2番目に高額だ。
 約5,000億元(約8兆円)は酒泉や蘭州のある甘粛省を含む北西部と、東部の広州や北京、上海などの大都市を含む地域で高電圧の送電線を改良するために使用される。

 しかし高圧送電線が適所にあっても、再生可能エネルギー発電が、増大する中国のエネルギー需要に対応している化石燃料発電所に取って代わることはないだろう。

 「風力と太陽光発電は継続的に供給することができないことが問題になっている
とリーさんは語った。

 2013年、甘粛省の風力発電所は1880時間の有効時間を記録したと酒泉のリュウさんは述べている。
 これは施設の21%の稼働率に等しい。
 酒泉の風力発電のピーク量は、世界中の風力発電所の平均稼動の25%~30%以下である。
 問題は、この地域の風の断続的な性質である。
 同様に太陽光発電は平均設備利用率約25%であり、気象条件や昼夜光サイクルの変動に起因して一定性のない稼動になっている。
 効率的な電力網がない中で損失を最小化しピーク需要を満たすためには、再生可能エネルギーを蓄積して、化石燃料を燃焼するのが、増大し続ける中国のエネルギー需要を満たす唯一の方法である。
 このため、石炭は甘粛省だけでなく、中国全体でも今だに主力燃料である。

 石炭以外の石油や天然ガスといった化石燃料は主に輸入されているが、
 中国で溢れている石炭は、中国経済の奇跡の力を供給する発生源として有力視されている
 最近の中国政府のグリーンエネルギー推進は、総エネルギー生産における石炭のシェアを減少させるかもしれないが、安い石炭への依存はすぐに取って代わられることはないだろう。

■増加する石炭使用量

 中国の石炭消費量は2035年にピークを迎える。
 このとき中国は世界の総消費量の57%を占めるようになり、世界の他の地域を合わせた総消費量よりも多くを占めるようになる、と国際エネルギー機関(IEA)は2013年に推定した。
 経済が成長し続け、これに追従して電力需要が増加すると、
 2010年から2040年までに石炭火力発電量は530ギガワット増加し
 電力容量の平均正味追加量は年間約18ギガワットと見られている。
 また、2005年から2010年までの正味追加量は年間59ギガワットであったとIEAは指摘している。
 これは平均18ギガワットの中型発電所が毎年新しく稼動していくのと同じで、環境汚染を削減し、空気の質を改善するための達成感はあまりない。


●中国甘粛省、蘭州ではスモッグのために一日中かすんでいる

 多数の石炭プロジェクトにより、中国の石油・天然ガスの輸入依存度が減少し、中国の石炭採掘と消費を後押しすることが予測される。

 「合成天然ガスや合成液体を生成するため、石炭を含む中国でのプロジェクトの潜在的な規模は非常に大きい」
と国際エネルギー機関(IEA)エネルギー市場・安全保障局長の貞森恵祐(サダモリ・ケイスケ)氏は2013年12月に業界のレポートで書いている。

 現状の代替エネルギー源やその関連施設建設などへの大規模な投資にもかかわらず、中国の厖大な石炭消費に楽観的になれる理由は何もない。
 中国石炭工業協会(CNCA)による同国の総石炭消費量は2012年の35億2,000万メトリックトンから2020年には48億メトリックトンに増加すると予測される。

 代替エネルギーの継続的かつ大規模な投資にもかかわらず、エネルギーの大幅で迅速な方向転換に期待している人はほとんどいない。
 中国の国営英字新聞の『中国日報』は、同国の悪名高い大気汚染への懸念を、皮肉をこめたジョークの形で発信した。
 人気を博したこのジョークでは、ある人が
 「北京のスモッグがあまりに濃いため、天安門広場にある巨大な毛沢東主席の肖像画を見ることができない
と言った。
 すると別の誰かが
 「スモッグが濃いから見えないのか。
 私は毛沢東の肖像画が印刷された紙幣を見ることはない
と返答している。
 (中国では100圓から1分まで12種類の紙幣と、毛沢東の新紙幣が6種類の都合18種類の紙幣が流通している。)

 このジョークのオチは明らかだ。
 紙幣が見えない、つまり文字通り、かつ比喩的に、収益がないという意味である。

Reporter Name:JACOPO DETTONI 翻訳者:加藤仁美
 *この記事は、米国版 International Business Times の記事を日本向けに抄訳したものです。



【資料】

世事関心】 二面性を持つ中国はどこへ・危機(1)ー環境破壊

公開日: 2013/02/23







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