2014年2月24日月曜日

ますます影の薄いオバマ:「聴衆は大統領の言葉を無視しながら、礼儀正しく拍手を送る」

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ウォールストリートジャーナル     2014年 2月 21日 18:38 JST
http://jp.wsj.com/article/SB10001424052702304775004579396432630018964.html?mod=WSJJP_hp_bottom_3_3_bucket_3_right

【オピニオン】重大問題から目をそらす米国のアジア政策

 アジアの将来にとって最大の脅威は気候変動なのだろうか。
 今週のケリー米国務長官のアジア歴訪に基づけば、そう考えたとしてもやむを得ない。
 国務長官は中国の挑戦的な行動への懸念に関して控えめに主張し、代わりにあまり重要ではない環境問題に焦点を当てることを選んだ。
 結果的にその歴訪は、4月に予定されているオバマ大統領のアジア訪問にとって何の準備にもならなかった。

 ケリー長官は気候変動が、テロやアジアの海と空での衝突を引き起こしかねない数多くの領有権争いと同様に重大な安全保障上のリスクだという考えを中国やインドネシア政府に対して強調した。
 数年にわたって秩序の維持にもっと関与して欲しいと懇願されてきた米国のそうした鈍感さは、オバマ大統領が4月に来訪した際の対応に跳ね返ってくる。
 聴衆はオバマ大統領の言葉を無視しながら、
 礼儀正しく拍手を送ることだろう。

 ケリー長官には少し同情すべき点もある。
 というのも、アジア歴訪は、味方であるはずの民主党議員が大統領貿易促進権限(TPA)、通称ファストトラック(早期一括審議)権限に関する法案の審議を拒否したことで、環太平洋連携協定(TPP)の交渉が台無しとなった直後になってしまったからだ。
 今や米国と太平洋沿岸諸国との間で交渉されたいかなる取り決めも、すべての議員によるあら捜しの対象となってしまった。
 他に重視すべき問題がなくなったケリー国務長官は、地下で起きているマグマ活動と温室効果ガスの排出とに関連性があるかのように、インドネシアのケルート火山の噴火を引き合いに出して気候変動対策を呼びかけた。

 ケリー長官はオバマ政権の大失敗に終わった「グリーンエネルギー」政策についても強調し、アジアの開発途上国に、米国が多額の税金を投じて行った無駄な公共事業をまねるよう促した。
 米国政府は納税者に大きな負担となったにもかかわらず、ほとんど売れていないプラグイン・ハイブリッド車「シボレー・ボルト」のようなグリーンプロジェクトに数十億ドルを浪費した。
 もしこれが、米国政府のアジアに対する経済戦略だとしたら、欧州株に再び目を向け始めるときが来たのかもしれない。

 アジアが直面している重大な問題について発言したとき、ケリー長官は無力のように見えた。
 中国政府が一貫して北朝鮮政府をかばい、北朝鮮に核保有を許してしまったという事実があるにもかかわらず、ケリー長官は北京で、北朝鮮の核軍縮に向けた中国の「真剣な取り組み」を称賛した。
 それなのに、ソウルを訪問した際には、北朝鮮を支援する中国政府を名指して批判した。
 これは面と向かって中国と対決する度胸はないが、陰では喜んで批判するという姿勢
を示唆している。
 自信に満ちた超大国のとるべき態度ではない。

 アジア歴訪に日本を含めなかったことで、ケリー長官は日本政府と韓国政府の関係を修復する機会も逸した。
 オバマ大統領は4月に日韓を訪れるが、首脳会談は新たな構想を打ち出す場ではない。
 ケリー長官が日韓の亀裂に対処するため、イスラエル・パレスチナ和平交渉に対するのと同じくらいの時間を費やしてくれていれば良かったのだが。

 自由貿易交渉が脱線し、米国政府の能力に対する同盟国の疑念が高まっている中、
 オバマ政権が残された3年間にアジアで何をしようとしているのかを見極めるのは難しい
 先週にタイで行われた軍事演習など、米国は依然として多くの重要な役割を果たしているが、「アジアへのピボット」という大げさなレトリックが不必要な問題の原因となっている。
 期待値を上げてそれを下回るよりも、穏やかに話しながら実力行使に訴える方が、米国と同盟国の利益にかなうであろう。

 中国政府は米国の「アジアへのピボット」に関して、安定を損ね、逆効果を生むとして批判しているが、
 中国の行動で、米国は言うほど怖くないということを露呈してしまった。
 米国政府がアジアとの軍事関係を拡大し、そこでのプレゼンスを拡大するという話し合いをしているさなかに、中国は領土をめぐって近隣国と対決するという計画をより強引に推し進めた。
 中国は保有する核兵器の近代化、ステルス戦闘機の開発、海軍の規模拡大、宇宙開発なども継続してきた。
 中国が機運は自国にありと感じているのは明らかだ。

 オバマ政権はアジアのもろい安定性を維持するための新しい手段を見つけ出さなければならない。
 米国のアジアに対する深い関与は負担が大き過ぎるというのであれば、政府はその方針を転換する義務を米国民に負っている。
 しかし、アジアが米国の未来にとって本当に重要であるならば、オバマ大統領は太平洋地域における米国の圧倒的な影響力を維持するために、本格的な政策で自らの大げさな言葉を裏付けなくてはならない。

   By     MICHAEL AUSLIN
(マイケル・オースリン氏はアメリカン・エンタープライズ研究所の日本部長で、wsj.comのコラムニストでもある)



ウォールストリートジャーナル   2014年 2月 23日 12:53 JST
http://jp.wsj.com/article/SB10001424052702304775004579399963728126086.html?mod=WSJJP_hpp_LEFTTopStoriesSecond

【現地記者に聞く】WSJ中国通コラムニストが語る日中関係

 ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)「CHINA WORLD」のコラムニストで最近では
 「ナショナリスト本田悦朗氏がアベノミクスで目指す目標」
を書いた中国通のアンドリュー・ブラウン記者に小野由美子日本版編集長が日中関係について聞いた。
 以下はインタビューの一問一答ー。

 Q:
 日中間で緊張が高まっていることについてどう思うか。

 A:
 今、われわれが直面している問題と過去の問題の違いは、今の問題のほうがはるかに長い期間にわたって持続していることだ。
 過去にも、暴動で日本製品を売る店が破壊されたり、北京の日本大使館が攻撃されたりする反日活動はあったが、すぐに収まった。
 ボイコットが大きく成功したことはなかった。

 しかし、今は長期間にわたって日本に敵意が向けられている。
 もう1つ興味深いのは、中国政府が政治関係と経済・商業関係を区別しているように見える点である。
 だから、尖閣諸島(中国名:釣魚島)や防空識別圏(ADIZ)、安倍(晋三)首相の靖国神社参拝などの政治問題めぐって政治的関係がぎくしゃくしても、ビジネスは多かれ少なかれ、いつも通り続いた。

 だからといって、全てがうまくいっているというわけではない。
 日本の企業の中には、中国事業の長期的な展望を疑っている企業もある。
 こうした企業はおそらく、中国というかごに全ての卵を入れるより、地域全体にもっと均等に分配すべきだと考えているだろう。
 その結果、中国に向かっていたかもしれない投資がベトナム、インドネシア、タイといった国に流入している。

 しかし、長期的には中国は日本を必要としているし、日本にも中国が必要だ。
 両国にとって、日中関係は経済的に極めて重要な関係である。

 言うまでもなく、
 中国側は、中国が日本を必要とする以上に日本は中国を必要としていると言うだろうが、ばかばかしく、無意味な考え方である。
 ゼロサム思考だ。
 実際には、両国は日中間の貿易と投資によって強化され、一層豊かになる。

 Q:
 中国は政治と経済を切り離すことに成功しているか。

 A:
 中国政府が反日感情を制御する能力を見くびってはいけない。
 最近の北京の日本大使館前でのデモも慎重にコントロールされていた。

 中国政府が気を付けなければならないのは、反日デモでも、何に対するデモであっても、
 デモ参加者が自国の政府の攻撃を始めるような状況に発展することである。
 中国人はこのような状況を「虎を駆る」と表現する。

 人々は過去に、反日デモがいとも簡単に反政府デモに変化する様子を目にしている。
 だから中国政府としては、反日感情を抑えておかなければならない。

 Q:
 政経分離は難しいということか。

 A:
 東京都が島(尖閣諸島)を購入したとき、当初の衝撃が収まったあと、日本の自動車メーカーはデモや暴動で大打撃を受けた。
 日本車を運転していた中国人が1人か2人、負傷した 。
 武漢の負傷者は重傷で 、全国的に注目された。
 日本の自動車メーカーは非常に困難な状況に陥った。
 販売は急減した。
 メーカーは反日デモの被害にあった自動車を修理するという保証付きで車を売るなど対策をとらなければなくなった。
 日本の自動車メーカーの販売は以前の水準にかなり近いところまで戻っている。
 回復したと言える。

 貿易の流れを見れば、危機的な状況にはないことがわかる。
 わかるのは通常通り、ビジネスが行われているということだ。
 データ上ではいつもとは違うことを示す要素は一切ない。

 Q:
 安倍首相は靖国神社に参拝し、ダボスでは中国に関する発言を行った。中国は安倍氏をどう見ているか。

 A:
 安倍首相の下での日中関係の展望については、私はかなり悲観的だ。
 中国共産党が強硬路線を取ることを幹部レベルで決定していることは明白だ。
 習近平国家主席が権力基盤を固めている段階で、強硬路線以外ありえない。
 国家主席が最も避けたいのは対外関係、特に日本との関係で弱腰に見られたり、譲歩しているように思われたりすることだ
 だから中国側が寛大な態度を示したり歩み寄りの精神を示したりすることは難しい。

 興味深いのは、今年後半に中国でアジア太平洋経済協力会議(APEC)が開催されたときに、どのような力学が働くのか、である。安倍首相も参加するが、問題は安倍氏と習近平国家主席が会談を行うか、である。

 もちろん、会合で顔を合わせることはあるだろうが、2国間の首脳会談は行われるのか。
 中国が会談の条件として、尖閣諸島(中国名:釣魚島)について紛争があることを認めるように日本に求めたとしても私は驚かない。

 日本は現在、紛争はない、尖閣諸島はわれわれのものだ、主権は日本にある、国際法上でも日本のものと認められている、と主張している。
 この点について日本は断固とした態度を取っている。
 日本にしてみれば、単なる尖閣諸島の問題ではない。
 日本の考え方はこうだ。
 戦争中にこれほど多くの犠牲を払って、
 法の支配に基づく戦後の新秩序を築いたのに、
 中国の脅しやいじめを前にそれを犠牲にすることになるのだろうか。
 これが日本の立場のようだ。

 中国が安倍氏の退陣まで待つ、安倍氏には対応しない、と決定する可能性は十分にあると思う。
 中国としては、安倍氏が靖国に再び参拝するかどうかわからないまま2国間の会談を行うのは相当なギャンブルだろう。

 安倍氏は靖国にはもう参拝しないと断言できるだろうか。
 例えば、参拝の意思の有無については発言しないと言って、棚上げにすることはあるだろうか。
 中国にとっては、それでは受け入れられないだろう。
 安倍氏が中国側に、靖国に参拝しないという私的なメッセージを送ることはできるだろうか。
 そのようなメッセージを送った場合、中国側が公表しないと信じられるだろうか。
 安倍氏もまた、靖国神社参拝によって自分自身を非常に苦しい立場に追い込み、2国間関係の改善や日中首脳会談を妨げる、克服不能な障害になるかもしれない事態を引き起こしたのではないだろうか。

アンドリュー・ブラウン記者
 ウォール・ストリート・ジャーナル上級特派員兼コラムニスト
 アンドリュー・ブラウンはウォール・ストリート・ジャーナルの上級特派員兼コラムニスト。1982年にサウスチャイナ・モーニング・ポストに記者として就職、その後、ロイター通信に移り、20年間、アジア各地の支局で支局長を務めたあと、アジア太平洋担当の編集長に就任した。中国、台湾、香港での在住歴は35年以上を超える。
 2004年にウォール・ストリート・ジャーナルに入社。07年に同社の北京チームが国際報道でピューリッツアー賞を受賞したときのメンバーの1人。11年に米国海外記者クラブ の賞を受賞したチームのメンバーでもある。



レコードチャイナ 配信日時:2014年2月26日 18時49分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=84012&type=0

米国人の5割以上が「オバマ大統領は国際社会から尊重されていない」と回答―米世論調査会社


●24日、台湾・中央社によると、米国の国際世論調査会社・ギャラップが行った調査で、米国民の53%が「オバマ大統領は国際社会から尊重されていない」と感じていることがわかった。資料写真。

 2014年2月24日、台湾・中央社によると、米国の国際世論調査会社・ギャラップが行った調査で、米国民の53%が
 「オバマ大統領は国際社会から尊重されていない」
と感じていることがわかったという。
 25日付で中国新聞社が報じている。

 現在、ウクライナ問題をめぐってロシアと協議を重ねているオバマ政権にとって、この数字はうれしくないだろう。
 今回の調査で、
★.「尊重されていない」と答えた米国民は、昨年の43%より10ポイントも上昇。
★.反対に「尊重されている」と答えた米国民は、昨年の51%から41%に下がっている。

 この結果についてギャラップは、
 「ロシアとの緊張関係やイスラエルとの同盟関係、シリア情勢などの難局に、オバマ政権が手をこまねいているイメージがあるため」
と指摘する。
 さらに昨年、米中央情報局(CIA)元職員スノーデン容疑者が同盟国に対する情報収集活動を暴露したことで、オバマ政権は欧州連合(EU)加盟国だけでなく、ラテンアメリカ諸国からも激しい非難を浴びた。
 このことも、国際社会におけるオバマ大統領の影響力低下の大きな要因になっているという。



レコードチャイナ 配信日時:2014年2月27日 6時30分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=84055&type=0

米議会調査局が懸念表明、「安倍首相の歴史観、
米国人の考えと対立する危険ある」―中国メディア

 2014年2月25日、米議会調査局は、最近の日米関係に関する報告書を公表した。
 人民日報(電子版)が26日付で伝えた。

 報告書では、日本をかけがえのない同盟国だと位置づける一方で、安倍首相の靖国神社参拝などで日韓関係が冷え込んだことについて、「米国の国益を損ねる」と懸念を表明した。

 報告書ではさらに、
 「安倍首相が米国のアドバイスを無視して、突然、靖国神社に参拝したことは、日米両国の信頼の一部を傷つけた可能性がある。
 首相の歴史観は、第2次世界大戦とその後の日本占領についての米国人の考えとぶつかる危険がある」
とも指摘した。






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