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エコノミスト 2014.02.24(月) The Economist
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/40017
燃え上がるウクライナ:プーチンの地獄の大火
(英エコノミスト誌 2014年2月22日号)
欧米諸国はウクライナ政府に、そしてロシアの指導者に対して、強硬な姿勢を取るべきである。
●【写真特集】衝突続くウクライナ首都、3日間で約100人死亡
欧州でも美しい都市キエフがまるで戦場のような様相を呈している〔AFPBB News〕
内戦の多くは、恐ろしいほど予測可能なパターンをたどる。
当初は解決可能に見えた対立が激化し、紛争に発展、目標が過激になるにつれ敵意が募り、調停による歩み寄りの可能性が失われる。
ウクライナも、そうした忌まわしい軌跡をたどっている。
2013年11月に平和的に始まった抗議活動は、グロテスクな暴力に包まれて燃え上がった。
欧州でも指折りの美しい都市である首都キエフの中心部は2月上旬、息が詰まるような交戦地帯と化した。
建物やバリケードが焼かれ、数十人のウクライナ国民が死亡した。
一部の当事者間では停戦の話し合いが持たれているものの、現在の惨状が大幅に悪化する可能性が消えたわけではない。
今回の流血の事態は、以前から脆く複雑だったこの国の亀裂をさらに深めるだろう。
全面的な内戦も、現実的な可能性として残る。
この混乱の直接的な責任は、ウクライナの暴力的な指導者、ビクトル・ヤヌコビッチ大統領にある。だが、一番裏で筋書きを書いた者はクレムリンにいる。
ロシアのウラジーミル・プーチン大統領である。
■東でも西でもない
現在のウクライナにあたる地域は、東西を分ける血なまぐさい境界地帯としての長く痛ましい歴史を持つ。
だが、独立国となったのはごく最近、ソビエト連邦が崩壊した1991年のことだ。
かつてオーストリア・ハンガリー帝国の一部だった西部と、ロシア語を話す南部および東部を統合した新国家ウクライナには、常に将来を疑う人がいた。
以来、ウクライナの政治は、内紛と汚職を特徴としてきた
――2004年のオレンジ革命以後も同様だ。
オレンジ革命は平和的な反政府運動だったが、怨恨に満ちた指導者たちのせいで、革命の目指したものは台無しになった。
ウクライナ国民の多くは、自国が腐敗したエリート層に支配されており、その支配者層を通常の民主的な方法で排除することはできないと感じている。
キエフは、「欧州連合(EU)」が「良い統治」と「法の支配」の代名詞となる数少ない欧州都市の1つだ。
騒乱のきっかけは、昨年11月、ヤヌコビッチ大統領がEUとの貿易協定を拒否し、ロシアとの不透明な取引を選択したことだった。
抗議者たちはすぐに大統領辞任を要求し始め、ヤヌコビッチ大統領とロシアのプロパガンダは、彼らをテロリストと非難した。
緊迫した3カ月のにらみ合いを経て、どのような経緯で先の殺戮が始まったかは、はっきりとしない。だが、その大半は、大統領側の人間がしでかしたことだ。
欧米は断固とした対応を取らなければならない。
ヤヌコビッチ大統領の取り巻きには、ビザの発給停止と資産凍結という措置がふさわしい。
米国はこれを既に実行し、EUも検討している。
ヤヌコビッチ大統領は軍の行動を抑え、可能であれば、多くの暴力行為の当事者であるならず者の私服警官たちの手綱も締めなければならない。
だが、反政府側も、全面的な流血の惨事を食い止めたいのなら、妥協する必要がある。
抗議運動の象徴となっているキエフの独立広場の拠点や、占拠したその他の建物を明け渡すべきだ。
最善の選択肢は、双方で暫定的な連立政権を作ることだろう。
大統領選挙は2015年に予定されている。
その予定を前倒しし、できればヤヌコビッチ大統領抜きで今年中に実施すべきだ。
ヤヌコビッチ政権は縁故主義の蔓延、政敵の迫害、メディアの買収と司法の不正操作で悪名高かったが、いまやそれに虐殺が加わった。だ
が、ヤヌコビッチ大統領を動かすのは難しい。
ヤヌコビッチ大統領は、用心棒のような体格でありながら、イタチのように身をよじるのが得意だ。
どんな約束をしようが、危機が過ぎ去ったと思えば、何とか約束を果たさずに切り抜けようとする可能性は高い。
そうなった時には、これまで政権を支えてきた人々、今回の騒乱で失うものが大きい有力者たちが、大統領を強制的に退場させなければならない。
次の展開がどうなるかは不透明だ。
ウクライナの実績ある政治家たちは、獄中の野党指導者、ユリア・ティモシェンコ氏を含めたほぼ全員が、自ら評判を汚してしまっている。
反政府運動には明確な闘士がいない。
その点も、騒乱を止めるのが難しいと思われる理由の1つだ。
■ウクライナ社会の根底にある断層
ウクライナ社会の根底にある断層に橋をかける候補者が現れるとは考えにくい(地図参照)。
ヤヌコビッチ大統領は今でも、東部と南部で支持を得ている。
キエフと、反政権側が政府施設を占拠した西部では、ヤヌコビッチ大統領は悪しざまに非難される。
恐ろしいことだが、国の分裂の可能性も残る。
その運命を避けるためには、何よりも、ロシアの干渉を終わらせる必要がある。
先の紛争に火をつけたのはプーチン大統領ではないかもしれないが、薪を集めたのはプーチン大統領なのだ。
ほとんどの理性的な者の目には、国境を越えたウクライナの混乱を煽ろうという野望は、ロシアが抱くには奇妙なもののように映るかもしれない。
だが、プーチン大統領にとっては、奇妙なことではない。
プーチン大統領は、ウクライナをロシアの勢力圏に欠かせない一部と見なし、オレンジ革命はそれを掠めとるための欧米の策略だったと考えているからだ。
ヤヌコビッチ大統領がEUに背を向けたのは、プーチン大統領の経済制裁と脅しによるものだ。
ぐらついたウクライナの経済を支える金銭的援助と安価な天然ガスをロシアから提供してもらう条件として、ヤヌコビッチ大統領が反政府運動に対して強硬な姿勢を取らざるを得なかったことは明らかだ。
プーチン大統領の圧力と謀略こそが、ウクライナを今の状態に追いやったのだ。
ヤヌコビッチ大統領が権力の座にしがみつき、国内で力を弱め、国外で孤立したとしても、プーチン大統領に不満はないだろう。
プーチン大統領にすれば、ロシアに依存する指導者がまた1人増え、従順な属国のコレクションに加わることになるからだ。
だが、プーチン大統領はそれで満足しないかもしれない。
ロシアのタカ派は、ずっと前から、ニキータ・フルシチョフがウクライナに移管した黒海のクリミア半島(通説ではその時酔っぱらっていたと言われている)の併合を望んでいる。
今回の騒乱を口実に、プーチン大統領がクリミア半島奪取に動く可能性もある。
いずれにしても、
ウクライナの悲惨な状況を目にしたロシア国民は、街頭デモや政争を仕掛けても破滅への道に至るだけだとの確信を増すことだろう。
■クレムリンとの対決
欧米がこの無法に立ち向かうべき時は既に来ている。
国連安全保障理事会の常任理事国として事態を台無しにする権限、膨大な化石燃料の埋蔵量、そして多くの核兵器を持つ国に立ち向かうのは難しい。
だが、そうしなければならない。
最低でも、外交上、ロシアが法治民主国家だというふりをするのはやめるべきだ。
主要8カ国首脳会議(G8)からも締め出すべきだろう。
何よりも、ウクライナをはじめ、プーチン大統領が勝手に自らの遺産の一部と見なす旧ソ連諸国が主権国家であることを、欧米は一致団結して教えてやる必要がある。
ウクライナの騒乱のタイミングには、荒っぽい正義のようなところがある。
2008年にロシアが南隣の小国グルジアに侵攻したのは、ちょうど北京五輪の開幕のタイミングだった。
そのため、欧米は型通りの抗議はしたが、意味のある報復は行わなかった。
キエフの一連の出来事は、2週間にわたる「プーチニズム」の祭典となるべく開催されたソチ冬季五輪のさなかに起きた。
欧米は、欧州の真ん中での騒動となった今回こそ、プーチン大統領にやりすぎたことを分からせなければならない。
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英エコノミスト誌の記事は、JBプレスがライセンス契約 に基づき翻訳したものです。
英語の原文記事はwww.economist.comで読むことができます。
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ロイター 2014年 02月 23日 11:42 JST
http://jp.reuters.com/article/jpUSpolitics/idJPTYEA1M00H20140223
ウクライナ議会が大統領を解任、野党勢力が首都掌握
[キエフ 23日 ロイター] -
ウクライナの最高会議(議会)は22日、職務不履行を理由にヤヌコビッチ大統領の解任を決議した。
大統領は北東部ハリコフに移動したとみられ、首都キエフは野党勢力が掌握した。
一方、職権乱用罪で服役していたティモシェンコ元首相は釈放され、反政権派を前に演説を行った。
議会は大統領の解任を賛成多数で決議。
また、来年3月に予定されていた大統領選を前倒しし、5月25日に実施することも決議した。
ヤヌコビッチ大統領はテレビ局のインタビューで、辞任を否定し、ウクライナを離れることはないと述べた。
議会の決議は「違法だ」とし、「現在目にしていることはクーデターだ」と非難した。
インタファクス通信は、大統領が出国を試みたが国境警備当局に拒否されたと報じた。
ヤヌコビッチ大統領の政敵とされるティモシェンコ氏は、車椅子で独立広場のステージに上がり、反政権派を「英雄」だと称えた。
また、ウクライナは近い将来、欧州連合(EU)に加盟するとの見方を示した。
ティモシェンコ氏は2011年に禁錮7年の実刑判決を受け服役していた。
米政府は同氏の釈放を歓迎すると表明。
同氏が釈放され親ロシア路線のヤヌコビッチ大統領の解任が決議されたことで、ウクライナは今後、欧州寄りになる可能性が高まった。
ウクライナでは、大統領が昨年11月、ロシアからの支援を受け入れ、EUとの協定締結を見送ったことが引き金となり、反政府デモが続いていた。
反政権派と治安部隊の衝突により過去数日間で82人が死亡した。
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2014/02/23 23:02 【共同通信】
http://www.47news.jp/CN/201402/CN2014022301001859.html
ウクライナ政権が崩壊 大統領権限、暫定的に議会議長へ
● 22日、ウクライナの首都キエフで、デモ隊と治安部隊の衝突で死亡した犠牲者を追悼するため、ろうそくをともす人々(UPI=共同)
【キエフ共同】ウクライナ最高会議(議会)は23日、ヤヌコビッチ大統領の権限を、野党側から選出されたトゥルチノフ議会議長に暫定的に移すことを決めた。
議長は議会の各党に対し、25日までに暫定政府の樹立で合意するよう要請した。
野党主導の議会はヤヌコビッチ政権の閣僚を次々に解任。
与党、地域党からは数十人の離党者が出て連立を組んでも過半数を維持できない状態に陥り、ヤヌコビッチ政権は崩壊した。
地域党の議会会派は23日、首都でデモ隊数十人が治安部隊との衝突で死亡したのは大統領らの責任だと非難する声明を発表。
大統領は自身が事実上率いた与党から見限られた。
』
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JB Press 2014.02.24(月)
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/40024
革命成就したウクライナ現地リポート市民が武具で身を固める首都キエフを歩く
筆者は2月21日夜(大統領と野党との間で協定が成立した後)からウクライナの首都キエフに滞在している。
2013年11月21日のEU連合協定調印延期に端を発した抗議行動は、3カ月後にはビクトル・ヤヌコヴィッチ政権の転覆に終着しようとしている。
■防具と武器で身を固める市民
●ウクライナ国旗を模したリボンを配る市民
ここまで拡大・悲劇を招いた主因は、政府側の対応ミスにほかならないのだが、詳細な議論は、近日中の別稿に譲るとして、本稿では、筆者が見聞した独立広場(Maidan)周辺のもようについて、撮影した写真を交えて報告させていただきたい。
2月22日昼前、筆者は運行を再開した地下鉄で独立広場に向かった。
独立広場直下の「独立広場」駅と「フレシャーチク」駅は乗り換えのみで、地上出口へのアクセスが閉鎖されている。
●ゴミ山のようなバリケード
そのため、1つ離れたアルセナール駅で下車し、徒歩で中心部に接近することにした。
道路の往来は規制されておらず、徒歩で様子を見にきた市民の姿が多数見られた。
アルセナール駅に近い議事堂前のマリンスキー公園は、政府側が市内撹乱のために主として東部ウクライナから動員されたチトゥーシキ(Titushki)と呼ばれる暴力集団のキャンプ地であったが、多数の簡易トイレを残して昨晩のうちにすみやかに撤収した後だった。
●角材とヘルメットで武装した市民。街並みは無傷
市民の多くが防具と武器で身を固めているのは、本来、このチトゥーシキに対する自衛のためであるが、危険が去った今では自らの信条を表すアイテムとして機能している。
大統領が機能しない中、ウクライナ最高会議が政治の中心となっており、議事堂の警備は極めて重要である。既に内務省やミリツィア(民警)は市外に退去しており、その警備は抗議集会側の自衛組織(Samoobarona Maidanu)が担っている。
●マリンスキー公園
市民は柵越しにおとなしく議事進行を見守るだけである。
なお、議事堂内部は、平時と同じく、国家警備局(UDOU)の隊員が担当しており、自衛組織との役割分担は21日の両者間合意に基づくものであるという。
この議事堂へのアクセスを巡っては、多数の血が流された。
政府側は、巨大なコンクリート塊やKMAZトラックでバリケードを築き、その脇の建物から、インスティトゥーツィカ通りを上ってくる活動家を狙撃していた。
急所を一撃された死体が多く、そのため狙撃手に対する市民の怒りは峻烈で、狙撃手の特定、さらには命令を下した上層部(大統領を含む)に対する追及が開始されていると聞く。
■町で目につく銃撃戦で命を落とした市民への献花
●遺族のスピーチに涙する市民。後方は炎上し廃墟と化した労働組合会館
議事堂から500メートルほど歩くと、大統領府ビルに着く。
大統領府の向かいには観光の名所「キメラの家」があり、平時は観光客も自由にアクセスできるが、この日は二重に警備されていた。
議事堂同様、外部は自衛組織、建物内部は国家警備局という役割分担が徹底されており、両者間で緊張関係は見られなかった。
報道では、市民が侵入したと伝えられるが、筆者が見た限りはそのような行動は確認できなかった。
●議事堂を警備する自衛組織
大統領府のスポークスマンから、
「大統領は2月20日夜にキエフを発ったが、多くの職員が通常通り大統領府内で勤務しており国家機能は不全に陥ってはいない」
と説明された。これは各省庁ビルでも同様のようだ。
次にインスティトゥーツィカ通りに戻り、独立広場に向かって下り、ウクライナ・ホテル近くまで達すると、ようやく集会側のバリケードが出現する。
治安当局側のものと対比すると単なるゴミの山にしか見えない。
●市庁舎内の睡眠所
実際、中身は廃材や廃タイヤ、石畳を砕いて作った土嚢だ。火炎瓶や燃えたタイヤによる黒煤が路上に広がるが、煙や臭いは感じない。
この付近では多くの活動家が19~20日の銃撃戦で命を落としており、あちこちで献花がなされていた。
ウクライナのテレビ局は狙撃によって倒れた活動家の姿を容赦なく映しており、一般市民はその映像から死亡場所を特定しているのだろう。
●市民も無料の飲食にあずかる
独立広場まで下ると、まず炎上して廃墟と化した労働組合会館が目につく。ここは、抗議集会の本部が置かれていた場所だ。
独立広場内のステージでは、ミサや遺族のスピーチが断続的に続いており、活動家や市民の多くが聞き入っていた。
犠牲者は「英雄」と称されており、いずれは記念碑や記念館で歴史に名前を残すことになるのだろうか。
独立広場を横断するフレシャーチク通りでは、テントが撤去されておらず、多くの活動家がその周辺で佇んでいた。
モロトフ(火炎瓶)も、ガソリンが満たされたまま置かれている。
■秩序ある市民意識に市民社会の成熟を感じる
●政府側のバリケード、後方は議事堂
彼らの飲食は厨房組織(Kukhnia Maidanu)が提供しているが、現在は、活動家だけでなく、見学に訪れた市民にも振る舞われていた。
フレシャーチク通り沿いの建物の多くは、今も抗議集会側に占拠されたままになっているが、特にキエフ市庁舎は、市民に開放されており、何のチェックもなく見学することができた。
●大統領府、右側はキメラの家
建物の1階は医療やトイレ、2階は睡眠場所と食堂に用いられているようである。
なお、占拠は、参加者の数を背景に、抗議集会側の代表者が家主と交渉して明け渡させることで実現している。
先の労働組合会館中は賃料を支払っていたが、すべての物件において支払いがあったかどうかは定かではない。
市内の中心部を見聞した限りでは、抗議集会側の高い規律と秩序ある市民意識が感じられた。
月並みな言葉だが、市民社会の成熟と言い換えることができようか。
●地下鉄車内
自衛組織は、装備も年齢層も出身地もバラバラで明らかに寄せ集めであるが、任務に忠実であり、「革命」における自らの役割を喜んで演じているようであった。
彼らが展開したフレシャーチク通りには多くの商店が並ぶが、商店のショーケースも陳列品も無傷のままである。
こうした集会側の規律の高さもキエフ市民の支持につながっているのだろう。
市民からは、ボランティアだけでなく、食材や寝具、医療品、さらにはモロトフ用のガソリンまで提供されていた。
●大統領府を警備する自衛組織
一方で、政府による治安維持能力は失われているにもかかわらず、市内は無秩序状態に陥っていないことは、驚嘆すべき事実だ。
何人かのキエフ市民は「むしろ民警がいないから治安が良い」と笑って筆者に教えてくれた。
そもそも民警は、汚職で悪名高いが、さらに「革命」時にはチトゥーシキの狼藉を黙認する行為により、完全にキエフ市民の敵となってしまったようだ。
●特需を期待する地下鉄駅の花屋
狙撃を許可したヤヌコヴィッチ政権は抑圧体制にほかならず、治安維持機関は抑圧するための政府による暴力装置、という構図が出来上がってしまっている。
他方で、市民間の愛国心(Patriotism)の高揚も感じられた。
シンボルカラーはもはやオレンジではなく、ウクライナ国旗色そのものであり、国旗を持ち歩く市民、国旗カラーのリボンを身に着けた市民が圧倒的に多数であった。
●独立広場を上った路上で多くの活動家が狙撃された
街のあちこちで国歌斉唱が突如として沸き起こる光景は、オレンジ革命時には全くなかったことだ。抗議集会側も、愛国心という単語を頻繁に用い、抗議集会そのものを抑圧に対する愛国的行為として位置づけようとしている。
だが、キエフの抗議集会側が、愛国者と抑圧者、という対立構図を作ってしまうと、ウクライナの国家統合がますます困難になる。
キエフは多様な地域性を持つウクライナの一部に過ぎないことを我々は理解すべきであろう。
藤森 信吉 Shinkichi Fujimori
北海道大学グローバルCOEプログラム「境界研究の拠点形成」研究員。慶應義塾大学修士課程修了、在ウクライナ日本国大使館専門調査官、国際金融情報センター研究員などを経て現職。ウクライナ外交の専門家。
』
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レコードチャイナ 配信日時:2014年3月4日 9時48分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=84311&type=0
ロシアがウクライナに最後通告、
「これが本性だ!」「中国にとってロシアは米より危険」―中国版ツイッター
●4日、ロシアのウクライナへの軍事介入については中国のネットでも注目を集めており、ロシア側がウクライナに対し降伏をするよう最後通告をしたことについても多くのコメントが寄せられている。写真はロシアのクレムリン。
2014年3月4日、ロシアのウクライナへの軍事介入については中国のネットでも注目を集めており、ロシア側がウクライナに対し降伏をするよう最後通告をしたことについても多くのコメントが寄せられている。
ウクライナ南部クリミア半島に駐留するロシア黒海艦隊は3日、半島内のウクライナ軍に対し、現地時間4日午前5時(日本時間同日正午)までに降伏しなければ攻撃すると最後通告している。
以下は中国版ツイッターの代表的な書き込み。
●.「ロシアを支持する意見は理解できない。
今のウクライナのように、かつて中国もロシアから同様の仕打ちを受けたのだ。
これがロシアの本性だ!」
●.「ウクライナへの軍事介入に反対するロシア人は、ロシア各地で反プーチンの抗議活動を行っているという。
自国民ですらプーチンに抗議しているのに、中国でロシアを支持する声があるのはなぜだ!」
●.「中国にとって、ロシアは米国より危険な存在だ。
歴史から見ても、米国は中国を援助したのに対し、ロシアは略奪を行ったのだ」
●.「ウクライナは中国にとって重要な戦略的パートナーだ。
特に軍事産業における中国の発展はウクライナが大きく貢献している。
ウクライナの技術と製品の提供がなければ、中国初の空母・遼寧号も完成しなかったことだろう」
●.「中国でロシアの軍事介入を支持する者は、考えがおかしい」
』
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レコードチャイナ 配信日時:2014年3月4日 13時46分
http://say-move.org/comeplay.php?comeid=1053078
ロシアのウクライナ軍事介入、中国が板挟みに=「この曖昧な立場は誰にも理解できない」―中国専門家
●3日、ロシアのウクライナ軍事介入に関して、ロシア側は中国の支持を得ていると発言したが、中国外交部は明確な姿勢を示していない。中国の曖昧な姿勢は中国の微妙な立場を反映している。資料写真。
2014年3月3日、ロシアのウクライナ軍事介入に関して、
ロシア側は中国の支持を得ていると発言したが、中国外交部は明確な姿勢を示していない。
曖昧な姿勢は中国の微妙な立場を反映している。
香港・明報が伝えた。
北京大学国際関係学院の牛軍(ニウ・ジュン)教授は、
「中国はロシアの軍事介入に関して、批判と支持の両方の考えを持っている。
この曖昧な立場は誰にも理解できない」
と指摘した。
英紙フィナンシャル・タイムズは、
「ウクライナは中国にとって中東欧州戦略の要。
中国とウクライナは2012年に農業の協力関係を結び、軍事においても密接な関係がある。
ロシアは中国への先進兵器の輸出を拒んでいるため、ウクライナがロシアのコントロール下に置かれることは中国にとっては決して良いことではない」
と報じている。
さらに、中国共産党機関紙の人民日報は、欧米諸国がロシアのウクライナ軍事介入を批判していることに対し、「冷戦思想から脱していない」と批判。
こうした機関紙の報道からも中国の微妙な立場がみてとれるという。
戦略的パートナーであるウクライナへの支持、ウクライナを自国勢力の範囲内とみるロシアへの配慮という板挟みにあう中国の立場は、確かに誰にも理解できないのかもしれない。
』
【資料】
『
レコードチャイナ 配信日時:2013年9月25日 7時55分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=77100&type=0
ウクライナが中国最大の海外農場になる!=300万haの農地提供へ―香港紙
●23日、「ウクライナが中国最大の海外農場となる」と香港紙が報じた。ウクライナは将来的に、中国に穀物栽培や家畜飼養のための土地300万ヘクタールを提供すると見られる。資料写真。
2013年9月22日、香港紙サウスチャイナ・モーニング・ポストは、「ウクライナが中国最大の海外農場となる」と報じた。
23日付で環球時報が伝えた。
ウクライナ独立通信社によると、農業や畜産業、食品生産などを扱うKSG Agro社が中国の新疆生産建設兵団に10万ヘクタールの農地を提供する契約が交わされた。
提供するのはドニプロペトロウシク州の農地で、中国とウクライナの共同経営となる。
最終的に提供される土地の面積は300万ヘクタールになると予測されている。
契約期間は50年で、穀物の栽培や養豚に使用される。
これにより、ウクライナは中国最大の海外農場となる。
今 回の提携での総投資額は、26億ドル(約2570億円)にのぼると見られている。
専門家は、中国からの投資がウクライナの技術向上に役立つとしている。
ここ数年で農業分野におけるウクライナと中国の協力関係は急速に強まっている。
2012年の両国の農業貿易額は3億6400万ドル(約360億円)だったが、2013年は上半期ですでに3億3300万ドル(約330億円)に達している。
ウクライナの専門家は、
「世界総人口の5分の1を抱える中国には耕地面積が世界全体の9%しかなく、
国内で日に日に増加する食糧需要に対応するには、海外での生産を拡大する必要がある」
と指摘している。
(注:300万ヘクタールとはほぼ九州の大きさ)
』
ウクライナを巡っては、中国に不利あるいは有利、日本に不利あるいは有利といった様々なぶつかり合う意見がメデイアを賑わしている。
事が起こった以上、それぞれれに影響がでることは当然。
不利になることもあり、有利になることもある。
静かに収まって時間を経てそれから出るのが綜合の評価。
いまは思惑が語られている。
『
レコードチャイナ 配信日時:2014年3月5日 11時18分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=84393&type=0
中国はウクライナ問題でどう動くのか?EU加盟が実現すれば中国の国防に打撃
●日増しに緊迫するウクライナ情勢。関連してロシア、欧州、米国の動静が報じられていますが、では中国政府はどのような動きを見せているのでしょうか。
日増しに緊迫するウクライナ情勢。
関連してロシア、欧州、米国の動静が報じられていますが、では中国政府はどのような動きを見せているのでしょうか。
実は昨年12月、
中国とウクライナは「領土の一体性」を相互に支持するとの合同声明
を交わしています。
ロシアによるクリミア切り取りの動きはその声明に反するもの。
中国はロシアとの関係、自国の軍事的・経済的利益をてんびんに掛けながらの苦しい状況に追い込まれています。
■「領土の一体性を尊重」…わずか1日で消えた文言
中国外交部の定例記者会見では3月2日、3日とウクライナ情勢に関する答弁がありました。
ところがこのわずか1日の間で、中国側の立場には微妙な変化が生じています。
▽中国外交部ウェブサイト、2014年3月2日
Q:
3月1日、ロシア連邦議会は、ウクライナ国内のロシア人、同胞、ロシア軍兵士の安全を守るためとして、プーチン大統領に軍事力行使の権限を与えました。
このようなウクライナ情勢についてどうコメントされますか?
A:
中国側はウクライナ情勢について深く注目している。
ウクライナ国内で見られた極度の暴力行為については批判する。
ウクライナの各勢力は法律の枠組に基づいて平和的に内部の亀裂を解決し、ウクライナの各民族人民の合法的権益を擁護し、いち早く社会の正常な秩序を取り戻すべきだと促してきた。
中国は一貫して内政不干渉の原則を堅持しており、ウクライナの独立、主権、領土の一体性を尊重する。
ウクライナ情勢がここまで発展してしまったのには原因がある。
中国側は注意深く情勢を見守る。
国際法と国際関係の基本ルールを尊重するという基礎のもと、対話と交渉によって政治的対立を解決し、地域の平和と安定を維持するよう、各派に促すものである。
--
▽中国外交部ウェブサイト、2014年3月3日
Q:
ロシア議会はウクライナに対する軍事力行使を承認しました。
中国側はロシア側を外交的に支持しますか?
中国側はウクライナ新政権を承認しますか?
A:
第一の問題については昨日の表明に注目してください。
中国政府はウクライナ問題について、外交原則と国際関係の基本ルールの順守を堅持しています。
同時にウクライナ問題の歴史的経緯と現実の複雑性も考慮しています。
中国の立場は原則の堅持であると同時に、現実に基づいて行動すること、つまり客観的、公正、公平、平和的であると言えるでしょう。
第二の問題についてはウクライナの法律に基づいて判断しなければなりません。
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2日の報道官答弁では「領土の一体性を尊重」と明言しているのですが、3日の答弁ではその言葉が消えています。
一応、前日の表明に注意して欲しいとの文言も入っているのですが、こうした答弁では従来の表現を繰り返し使用するのが定石であり、消えた文言は大きな意味を持ちます。
代わりに「現実に基づいて行動」との文言が入りました。
ロシアの行動への配慮、将来的にロシア支持に転じられるよう含みを残した言葉と見るべきではないでしょうか。
なお同3日、中露外相は電話会談を実施。ロシア外務省は「幅広く見解が一致した」と発表しています。
■中国とウクライナ
さて最後に中国にとってウクライナはどんな存在か、どのようになるのが望ましいのかについて簡単に。
中国とウクライナは昨年から急速に関係を深めています。
9月には「中国がウクライナ全土の20分の1を借り上げ」という誤報が流れましたが、それも農業技術協力などの経済関係深化のニュースが激しく誤訳された結果です。
12月にはキエフでのデモが続く最中にヤヌコビッチ大統領が中国を訪問。
中国・ウクライナ友好協力条約に調印しました。
ちなみに
「国家の主権、統一、領土、領土の一体性の問題における両国相互の強い支持は戦略的パートナー関係の重要な内容であると両国は強調」
「ウクライナが核兵器の使用による侵略、あるいはこの種の侵略という脅威にさらされた場合、ウクライナに相応の安全保証を提供する」
との条項が含まれています。
ウクライナ新政権が
「ロシアに領土を切り取られそうなんですが」
「核を持ってるロシアに脅されているんですが」
と言ってきたら中国もばつが悪いんじゃないか、と。
このヤヌコビッチ大統領の訪中ですが、最優先の目的は金を借りること。
国債買い上げを打診したはずですが、中国は計80億ドルもの投資を約束しつつも、国債買い上げについては言質を与えていません。
そもそも現在のウクライナの混乱は複雑な歴史的背景があるのはもちろんですが、直接の要因はウクライナにデフォルトの危機が迫っていることにあります。
欧州の
「金を出してもいいけどIMFの管理下に入れよ。燃料補助金とか社会福祉削れよ」
というつれない態度を前に、ヤヌコビッチ大統領がロシア側に転んだという背景があるわけです。
まあすでにデモが始まっているタイミングだったとはいえ、あの時中国が国債ドカ買いを表明していたら事態に変化はあったかもしれません。
■ウクライナ問題が中国の軍事に影響
というわけで、ウクライナの混乱が続けば中国の投資がパーになるリスクが潜んでいます。
それ以上に問題なのは軍事面です。
中国はロシアから多くの兵器を輸入していますが、同時にロシアが売ってくれないものをウクライナから入手するという裏技も使っています。
空母・遼寧号もウクライナから。その艦載機であるJ-15もウクライナが保有していたSu-33の試作機T-10K-3を輸入することで開発に成功しています。
もしウクライナがEUに加盟すれば中国への武器禁輸義務も課されるわけで、中国の軍事開発には大きな影響を受けることになります。
とはいえロシアの影響力が強化されても迂回(うかい)輸入は困難に。
針がどちらに揺れても軍事面では中国にあまり得がないという厳しい状況です。
◆筆者プロフィール:高口康太(たかぐち・こうた)
翻訳家、ライター。豊富な中国経験を活かし、海外の視点ではなく中国の論理を理解した上でその問題点を浮き上がらせることに定評がある。独自の切り口で中国と新興国を読むニュースサイト「KINBRICKS NOW」を運営。
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レコードチャイナ 配信日時:2014年3月6日 5時58分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=84402&type=0
ウクライナ情勢緊迫化で中国が「漁夫の利」
―米ロ「新冷戦」下で日本は踏絵迫られる?
●政変で親欧米派の暫定政権ができたウクライナが揺れている。最悪のシナリオとみられていた軍事衝突はいったん回避される見通しとなったが、ロシアは軍事介入の構えを崩していない。資料写真。
政変で親欧米派の暫定政権ができたウクライナが揺れている。
ウクライナとの国境付近で実施されていたロシアの軍事演習の参加部隊に撤収命令が発せられたこともあり、最悪のシナリオとみられていた軍事衝突はいったん回避される見通しとなったが、ロシアは軍事介入の構えを依然崩していない。
ロシアのプーチン大統領はウクライナ南部クリミア半島への軍事展開を正当化。
これに対しオバマ米大統領は
「ロシアの行動が国際法に違反している。誰もだまされない」
と批判。
双方とも強硬姿勢を崩しておらず、
米ロによる「新冷戦」時代に突入した
との見方も出ている。
プーチン大統領は「ロシア市民が生命の危険にさらされている」などとして、ロシア議会の上院にウクライナ領内にロシア軍を展開するための同意を求め、上院はこれを全会一致で承認した。
ロシアの黒海艦隊が駐留し、ロシア系住民も多いクリミア半島ではすでにロシア軍とみられる武装部隊が展開し、現地を掌握しつつある。ロシアとつながりが深いウクライナの東部地域などでも今後、「ロシア系住民の擁護」を理由にロシア軍が介入する懸念が出ている。
日米欧など主要7カ国(G7)と欧州連合(EU)の首脳はロシアの軍事介入を非難する共同声明を発表した。
ウクライナを巡る国際的緊張がやや和らいだものの、米ロ関係は最悪の状態に陥っている。
ロシアのソチで開かれるG8準備会合への出席については、参加国の温度差が浮かび上がっている。
日本の外交は、北方領土返還を念頭に置いた親ロ路線と、安倍晋三首相の靖国神社参拝や河野談話再検証など米国が主導した「戦後レジューム」からの脱却方針を背景に微妙な状況にある米国との関係を重視する路線との間で、どちらにも配慮せざるを得ないのが実情。
外交の優先順位が問われ、いわば「踏み絵」を迫られた格好である。
ウクライナをめぐる米ロ冷戦を背景に、日米間に吹いている微妙な「隙間風」は、日本と尖閣諸島問題を巡って冷え込んだ関係にある中国にとっては好都合ともいえる。
米ロ両国とも新興大国・中国の支持を求めているからだ。
ロシア政府によると、プーチン大統領が4日ウクライナ情勢をめぐり、中国の習近平国家主席と電話で協議。両首脳は「緊張が緩和し、クリミア半島やウクライナ東部のロシア系住民に対し安全保障を提供すること」への期待を表明したという。
オバマ大統領も3月下旬に予定されている習主席との首脳会談で中国の支持を取り付けるとみられる。
中国としても、米中「新型大国関係」の実現に向け米国との融和路線を取らざるを得ないのが実情だ。
新型大国関係は習近平・中国国家主席が昨年6月の米中首脳会談で唱えた、米中のG2による太平洋分割論。
米中両国が衝突を避け双方の核心的利益を尊重、ウインウインの関係を構築し、アジア太平洋地域を米中の2大国で共同管理しようという構想。
オバマ大統領側近のライス大統領補佐官(国家安全保障担当)は「中国に関しては、われわれは新型大国関係を機能させるよう目指す」と明言している。
(Record China主筆・八牧浩行)
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